
「観山ビジネスサロン」の主宰者、「観山」グループがどんな企業なのかを
知っていただきたくて、いろいろな角度からこれからも記事を書いて
いきたいと思います。
さて、今回は、社長に続き、副社長の川畑裕次郎のインタビューを
ご紹介します。
「NPO法人ファザーリング・ジャパン」さんの
「イクボス・ロールモデルインタビュー」という記事を
転載します。
今回のイクボスインタビューは、北九州市・福岡市で飲食店を
展開する株式会社観山(観山グループ)の代表取締役副社長
川畑裕次郎さんが登場です。
同社は、1982年、北九州市小倉の割烹旅館・観山荘本館から
料亭・観山荘別館が独立してスタート。その後福岡市に進出し、
会食等に最適な桜坂観山荘、モダンな日本料理レストラン
IMURI(イムリ)、西洋菓子工房IMURIの3店舗をオープン。
いずれも安定的な人気を誇っています。
多忙な印象の飲食店業界ですが、同社では最近、
男性社員が育休を取得し、話題となりました。
―4店舗すべて、人気が高い飲食店ですね。
川畑:私の父が、北九州市で観山荘本館を創業しました。
福岡に進出して約20 年になりますが、初めはとても苦労しましたね。’
99年にオープンしたレストランIMURIでは、設立当時から今の料理長と
店長、そしてスタッフの加計が一緒に頑張ってくれています。
この3人と15年以上ともにやってきたからこそ、今のIMURIが
あると思っています。
私たちのベクトルは、同じ方向を指していたと思います。
到達点は、「今日来店されたお客様に、満足して帰っていただけたかどうか」。
それが自分たちの仕事だという意識を、皆が共有していました。
―経営者と同じ意識を持っていたと。
私がいなくても、スタッフだけで回せる組織が理想です。
”自分のお店だ”と思って動いてほしかったので、ほとんどの権限を
スタッフにゆだねました。
例えば、料理長には、お客様に喜んでいただけるものを
提供するなら、決まったメニューは作らなくていいと言いました。
毎日仕入れた最高の食材を、料理長が好きな形で出してくれ、と。
今でも基本的には、そのスタイルです。
店長や加計にも、お客様にどういうサービスやプレゼントを出すか、
すべて任せました。
「ディスカウントなどお金に関することはできないが、
モノはいくらでも自由に使ってくれ」
「目線はお客様に向けなければだめだ」ということを、ずっと伝えました。
―目的と裁量を渡したのですね。勇気がいることだと思います。
川畑:人間なので、ミスは当然発生します。
でも、遠慮して何も行動しないより、失敗して学ぶことの方が
大きいですし、最終的にはお客様の満足へとつながります。
挑戦したことに対する文句は、一度も言ったことがありません。
一番嫌なのは、嘘と不正。自分のために不正を働いたり、
お店を私物化した人には辞めてもらったこともあります。
チームプレイなので、勝手なことをする人は自然と淘汰されていきました。
私の理想は、いろんなところが飛び出ているけれど、
遠くから見ると丸く見えて、ボールのように動き回ることができる組織が。
今の観山が、まさにそうです。こだわりの強い”職人”や
個性的なメンバーもいますが、だからこそ洋菓子店を作るなど、
新しいチャレンジができたと思っています。
―レストランIMURIの男性スタッフさんが2か月間の育休を取られたそうですね。
川畑:私自身、福岡に進出して2年目に結婚し、3年目に子どもを授かりました。
今では女3人、男1人のパパです。
立ち上げメンバーの3人にも、それぞれ子どもがいます。
当時は、子どもが生まれたからといって休むなど、考えられないことでした。
しかし今は、親になる人の育ってきた環境や受けた教育が、
私たちの頃とはまったく違います。
それに、子育ての大変さは私たちも分かっていたので、
一度やってみようということになりました。
決断したのは料理長です。
彼の方から「私たちがフォローします。2か月間、何とかみんなでやりましょう!」
と言ってくれたのも大きかったですね。
洋菓子店のメインパティシェにも、今年双子の赤ちゃんが生まれました。
お子さんが3人になり、彼が保育園の送り迎えをしなければいけなくなった。
そこで半年ほど、時短勤務を取り入れました。
初めは、他のメンバーから不満が出ないか心配していましたが、
話を聞くと「そんなことはない」と全員口を揃えて言うのです。
また、メインパティシェには「あなたが帰った後、みんな頑張ってくれている。
何かしてほしいことはあるか?」と聞きました。
すると、「通常の残業手当以外にも、手当てを出してくれないか」と提案されたので、
それも実施しました。
彼らの育休や時短勤務は、スタッフたちで考え、実現したことです。
もし私の方から、「育休したい、時短勤務したいと言っているから
何とかしろ」とトップダウンで命令していたら、反発を招いていたかもしれません。
子育てをしながら頑張るスタッフのために動く経験で、持ちつ持たれつの
関係がスタッフ同士で生まれ、みんなが支え合うようになったと思います。
―そのような配慮をするようになって、社内で何か変化はありましたか?
川畑:辞める人がいなくなりましたね。一緒に働く仲間のために動きたいと
思えるメンバーが残るようになりました。
業績も落ち込まず、安定しています。
”ここで働いて良かった”と思える会社に―イクボス10か条の中で、
特に心掛けている項目はありますか?
川畑:「ダイバーシティ」ですね。
子育ての事情を理解して、運動会などは必ず休めるようにしています。
夏休みには、子どもがいる社員のところにお肉を送るんですよ。
家族が笑顔になれば、スタッフたちも気持ちよく働けるのではないかと
思っています。
―社長自身のワークライフバランスはいかがですか?
川畑:最近、ようやくきちんと休むようになりました。
私の両親はほとんど休みなく働いていたので、それが当たり前だと
思っていたのです。
でも、私が休まないと従業員も気兼ねするのではと思い始め、
あえて月に3、4日は休日を設けるようにしました。
その時は、連絡も極力してこないようになりましたね。
私がいなくても、ちゃんとお店は回りますから。
―今後、イクボスとして目指すところはありますか?
川畑:来年から、深夜の営業形態を見直す予定です。
覚悟はいりますが、子どもがいる社員のためにも時間の改革は必要でしょう。
百貨店も定休日を作るなど、世間でも意識が変わってきていますよね。
常に忙しくしていては、いずれ脱落者が出てしまいます。
最終的に、スタッフが「この会社で働いてよかった」と思ってくれるようにしたい。
会社にとっても社員にとっても、良い環境を作りたいと思っています。
―川畑社長、ありがとうございました。
税務署から2回の優良法人表彰を受けている観山グループ。
安定した経営はさることながら、育休取得や時短勤務、就業時間改革の実現で、
ますます魅力的な会社になることでしょう。
毎日のように満席になるレストランには、
今日もお客様とスタッフさんの笑顔が溢れています。
<企業情報>企業名:株式会社観山(観山グループ)本社所在地:
福岡県北九州市小倉北区