
みなさん、寒い日が続いていますがお元気ですか?
インスタライブでの鉄板ネタが
ふとんがふっとんだの佐藤彩未です。
前回Part 1とPart 2でそれぞれ、バレエとの出会いから留学時代のお話を書かせて頂きました!
今回はPart 3ということで、オーディションと就職についてのお話です。
1と2をまだ見ていない方はこちらから↓
<わたしがバレリーナになれた理由>
私は昔から身長も低く、骨格も決してバレエ向きではないので、お世辞にもバレリーナを目指せるほど、バレエが上手ではありませんでした。
幼少期に山ほど出たコンクールも予選にギリギリ通れれば良い方で、入賞なんて当時は雲の上の存在で、
発表会などもだいたい端っこで、ちゃんとした主役も留学するまで踊ったことはありませんでした。
つまり特に秀でたバレエの才能は私には無かったということです。
そんな私が何故バレリーナになれたのかと聞かれたら
"絶対諦めなかったから"
と答えます。
実際、バレエを諦めるタイミングはたくさんありました。
楽しいだけで続けるには、特にバレエはお金がかかるのはもちろん、週1回では中々上達しないので、週何度も通って同じことを続けるという根気がいります。
でも最終的に、そこまでコンクールの予選すら受からないレベルで続けてこれたのはやはりバレエが大好きだったのだと思います。
正直バレエは楽しいけどレッスンは辛いことの方が多くて、「バレエやめたい!」と思ったことはたくさんありますが
私は非常に頑固な所もあるので、私ならできるという身体から湧き出る謎の自信のおかげで
「絶対にやめてやるもんか!」と今日の今日までバレエを続けてこられました。
そして何より私の挑戦をいつも後押ししてくれる家族がいたおかげです。
↑発表会でもらったたくさんのお花を抱えて幸せそうな私
昔は結構色黒でした。
<コンプレックスを武器にする>
私は身長が153cmしかありません。
バレリーナでもこの身長は小さい方で、海外では子供サイズです。
なのでオーディションではいかに目立てるかを考えて、真っ赤などの覚えやすいレオタードを着ます。
番号順で並ばなければならない時と、カンパニークラス(バレエ団員達とレッスンを受ける)以外はできるだけ一番前の一番真ん中に立って踊ります。
ディレクターが1人だと目の玉は2つしかない訳で、そのくらい図々しくないと大人数がいるオーディションでは視界にすら入れないからです。
バレエ団のオーディションはだいたい2パターンあって
・誰でも受けられるオープンオーディション
・招待されないと受けられないプライベートオーディション
(本当に見たい人だけ呼んで少人数でオーディションしたり、バレエ団の団員と一緒にレッスンを受けたりする)
あとは稀にスカウトなんかもあります。
世界中の有名バレエ団が毎年ニューヨークなどの大都市でオープンオーディションを開催するのですが、だいたい100人以上が参加するので、私も何十回も受けに行きましたが、
バーも前の人と50cm間隔とかで立たされて、ほとんどちゃんと踊れず…
いつもおそらく体型が理由でセンターまで行けたことはほぼなく踊りを見てもらう前に不合格でした。
オーディションで途中で切られることを「カット」と言います。そのまんまで容赦なくばっさりと切られます。
こんな気持ち(笑)
そしてあるオーディションに即落ちた後の、帰り際にエレベーターの中で一緒になった知らない子たちが
「スタイルの良くない人とアジア人はそりゃ不合格だよね」と、まんまスタイルの良くないアジア人の私の目の前で話していたのを覚えています。
英語わからないと思ったのかな?
思わずツッコミそうになりました。
私の小ささがよくわかる写真がこちらです↓
↑ここに写ってるほぼ全員がカナダやアメリカの有名なバレエ団で今も踊っています。
↑バレエ団のイベントで。
私これ一応ヒール履いてるんですよ(笑)
でも洋服はキッズコーナーで買ってたので安くてお得でした!
よく「身長が低くて…バレリーナになるのは諦めようかな」というお声を聞きますが、
私は身長が低いことが嫌、または不利だと思ったことはオーディションぐらいで、
逆に門さえくぐれてしまえばそれは大きな武器になると思っています。
もちろん前提として、スタイルが良くない分、周りより秀でたテクニックがあったり、ちゃんと踊れるレベルでなければなりません。
身長が高い人は迫力があって、手足のラインが綺麗でポーズのひとつひとつが絵になり羨ましくなりますが、
小さい人の良いところは、軽い分たくさん男性を組む機会をもらえたり、大人になっても子供の役ができたりと、小さい人にしか出来ないこともたくさんあるからです。
留学時代もバレエ団にも、背の低い上手な男の子が必ずいたので、そういう子達の相手役として選んでもらえたり、アクロバットな振付(空中へ飛ばされたりとか)が出来るのも小さいダンサーの醍醐味です!
私は正直小さくてバレエ人生得だったなあとしか思ったことはありません。
ただ普通に踊るときは、大きく見える動き方をするように気をつけています!
とはいえ、やはり厳しい世界のバレエ団のオーディションは難航しました。
私は4歳からバレエしかやってこなかったので、もうバレリーナになる未来しか選択肢にはなかったので
ここまで人生かけてきて諦めるつもりは全くなく、挑戦と挫折を続けて
2016年に無事、マイアミのアーツバレエシアターオブフロリダバレエ団に合格することができました。
夜中に合格通知が来た時は、お母さんに電話して泣きましたよ。
これが「人生で嬉しかった瞬間BEST3」の二つ目です。
↑契約書にサインした時の写真
<プロ=むちゃ振りに応える>
こうして憧れのプロのバレリーナ生活が始まった訳ですが、このマイアミのバレエ団には最終的に3年間在籍しました。
ちなみに合格通知を貰ってから実際に働くまで1年半の時間がかかってます。
アメリカでバレリーナとして働くためのアーティスト就労ビザの取得がとても難しく、
「なぜアメリカ人ではなく、日本人を雇わなければならないのか」
つまりどれだけ自分がバレエ界に必要な存在であるかを証明しなければならないからです。
↑これが実際に提出した書類300枚越え
受賞歴などほぼ全くなかった私は、このために3つのコンクールに出場しました。
どういう風に書いて提出したらいいか全くわからず、例がなかったので、同じビザを取得した先輩に教えてもらったりしながら、
バレエの履歴書を20枚くらい書いて、今まで出場した舞台やコンクールをすべて細かに記入しました。
出場した証明や受賞した証も提出しなければならなかったので、
幸いほとんど取ってあった昔のコンクールや舞台のプログラムと賞状を、日本にいる母にスキャンして送ってもらいひとつひとつ英語に翻訳して…
と1〜2ヶ月毎日作業していたと思います。
結果、無事一発でビザを取得することができました!
取れなくて何回も挑戦する人も多いのでとてもラッキーでした。
外国人として仕事をするのがいかに大変なことかということを現地に行く前に思い知らされました。
マイアミはビーチなどのリゾート地で有名ですが、1年中夏なので本当に快適でした!
ラテン系の移民が多く、多国籍なのでアジア人差別を受けたことは一度もありませんでしたが、よく中国人には間違えられ道端で「ニーハオ」と叫ばれたりしたことはありました(笑)
さて、これは世界共通だと思っているのですが、バレリーナはむちゃ振りが多いです。
プロ=踊れて当然
なので、どんな踊りを与えられてもすぐに踊れるレベルにあるべきなのです。
バレエ教室の発表会のように、1つの踊りを数ヶ月かけてみっちり練習することは少なく、
本番数日前〜1週間前に振付を渡されることもザラで、練習回数3回とかで舞台に立つこともあります。
私は振付を覚えるスピードは普通ですが、自分のものにして踊れるようになるまでに相当な時間がかかります。
バレエ学校時代から、時間内にできないのなら、練習時間を増やすしか踊れる方法はないと思い、時間を見つけてとにかく練習することで補っています。
どんな状況でもすぐ踊れるようになれるレベルまで上げることがこれからの私の課題です。
マイアミでは特にその日のディレクターの気分でリハーサルが行われていたので
いきなり言われて1時間以上踊りっぱなしの日もあれば、今踊るか次踊るかと待ち続けて全く踊らない日もありました。
以前インスタライブでお話しましたが、17分あるアクロバットな踊りをコーチ(指導者)なしで3日で覚えて舞台で踊った時は壮絶で、私のバレエ史上一番記憶に残る公演でした。
↓
この公演は3部作で、私は全部続けて踊らなければならなかったので
舞台の袖で早着替えをして合計40分くらい踊り続けました。
ディズニーランドの近くに住むとあまり行かない、というように
マイアミに住んでても毎週末ビーチで日光浴…なんて暇は無くとにかく大変で1日1日の課題をこなしていく毎日でした。
ある日ぱっと横を見たら、そこに存在するはずのないありえない人物が普通に一緒にレッスンを受けていたり…
(ロシア マリインスキーバレエ団プリンシパル ディアナ・ヴィシニョーワ様)
ほんとに毎年ふらっと来られてレッスン一緒にして、更衣室でお話までしました神様ありがとうございます。
春休みや祝日の時には、ビーチでバナナボートやパラセイル↓をしたり
フロリダディズニーワールド、パナマやラスベガスに旅行に行ったりもして海外生活を満喫できました!
実は高所恐怖症なので、めちゃくちゃ怖かったです!
マイアミでは厄年かと思うくらい面白い事件もたくさん起こりました…。
以前詳しくインスタライブでお話したので、ぜひIGTVのアーカイブから観てみてくださいね!
毎週1回必ず配信をしています。
↓
次回は最終回
『日本で再出発編』をお送りします!
お楽しみに!
佐藤彩未
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