2021/01/15 19:53
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今回は、11月27日に行われた初心者向けジン入門イベント レポート後編(※前編はこちら)。13名の参加者と共に、それぞれ特徴的な4種類のジンとYOHAKHUを飲み比べた交流イベントの様子をお届けする。

 

テイスティングの会場は、三浦さんがオーナーを務める世界各国の料理とともに700種類以上のクラフトジンを愉しめるレストラン「TOKYO FAMILY RESTAURANT(東京都渋谷区)」。

-------この記事に出てくる人-------

依田 昂憲(よだ・たかのり)さん
長野県佐久市にある130年以上の歴史をもつ日本酒蔵 芙蓉(ふよう)酒造の6代目。クラフトジンのつくり手。

三浦 武明(みうら・たけあき)
アジア最大級のジンの祭典「ジンフェスティバル東京」を主催、日本におけるクラフトジンのムーブメントを牽引。「YOHAKHU」開発のアドバイザー。


それぞれのジンからつくり手の想いを受け取った参加者たちが紡ぐ言葉

三浦さんからのフィードバック後に行われた試飲会には、計13名の参加者が集まった。都内・外から集まった参加者は、普段からクラフトジンに慣れ親しんでいるという方は少なかった。そこで今回のイベントでは、試作品に対するフィードバックの基準となるよう、異なるカテゴリの4種類のジンを用意した。

 

写真左から、アカエゾマツを使用し、ローカル性を感じる『火の帆(北海道)』。リンゴを活用したジン『Le Gin(フランス)』。地中海のボタニカルであるオリーブやタイムからその土地の風景を想起することのできる『GIN MARE(スペイン)』。トニックウォーターで割ったときの香りの変化や調和感を捉えることのできるロンドンドライジンの代表『NO.3(イギリス)』。そして、依田さんのつくる『YOHAKHU』だ。

それぞれと試作品を比較することで、参加者から的確なフィードバックを引き出し、開発に活用することを目指す交流イベントだ。

 

(写真、奥右)三浦さんからフィードバックを終え、緊張していた表情が少し綻ぶ依田さん

乾杯後は、ひとりひとりがゆっくりと静かにジンを堪能する様子が印象的だった。 

ジンと一言でいっても、海をイメージするものや森をイメージするもの、あるいは、夕暮れの川辺、焚き火を前にゆったり飲んでいるようなシーンを彷彿とさせてくれるもの、さまざまなジンを飲むことは、旅に近い体験かもしれない。

長野県が出身だという参加者は、「YOHAKHU」についてこう語ってくれた。

「こんなに香りがあるけれど、ウイスキーの世界とも違う……今日は新しい世界に出会いました。私が長野県出身だからか『YOHAKHU』からは地元を感じます。そしてリンゴが香るけれど、どこか春っぽいというか。なのに、どこか儚くて切ないような感じがします」(参加者)

TOKYO FAMILY RESTAURANTで提供されるのは30ヶ国以上の本格料理。旅をするような感覚で、世界の料理を楽しむことができる。

また、会場となったTOKYO FAMILY RESTAURANTが提供してくれるスパイシーな料理の数々。ジンと一緒に食事を堪能できたことで、自身のライフスタイルに重ねたフィードバックを寄せてくれる参加者もいた。

「自分にとってのお酒の楽しみ方は“何に合わせるか”ということです。今日はスパイスの効いた料理が多いですが、それぞれのジンのおかげでまろやかに口の中に広げてくれるような感じがしました。飲んだことのないお酒ばかりでしたが、どれも非常に印象的で。食事をより豊かにしてくれるお酒がジンなんだなと思いました」(参加者)

 

日常的にお酒を飲むことが少ないという参加者からも驚きの声があがっていた。

「今日、はじめてクラフトジンを飲ませてもらいました。フレグランスみたいで、お家で飲むのにすごくぴったりなお酒なんだなと思う。依田さんがつくっていらっしゃる『YOHAKHU』も、香水のよう。若い女性や普段お酒を飲まない方も、おうちで今日は疲れたから一杯やろう!といった時に、部屋中に香りが広がるのはジンの副産物ですよね」(参加者) 

好意的なフィードバックはもちろん、少々手厳しいフィードバックも。参加者がそれぞれの感性で紡ぐ言葉に依田さんは、真剣に耳を傾けていた。

「『YOHAKHU』を飲んだ感想ですが、コリアンダーの香りが強く感じました。“長野らしさを表現する”という意味では少し、強すぎるのかなというのは正直ありましたね。他の4種類を飲ませていただいたからの感想ですが、ジンっていう飲み物は本当にローカルの味を出すんだなと。だから、依田さんがこれから何を輪立たせるのかなっていう意味では、あとひとつ工夫がいるような気もします」(参加者)

 

「一番最初にストレートで飲んだ時の香りが一番きついなと思ったが『YOHAKHU』でした。ただ、その後トニックをいれて置いておくと、どんどんまろやかになっていく。それこそまさに、飲む香水みたいな印象ですよね。

トップノート(※)にパンチがあって、その後に若干スパイシーさもあり、最後に、ゆっくり振って飲んでみるとほとんどリンゴジュースみたいな。まろやかで角がなくなる感じがすごくありました。長い時間ゆっくりかけて楽しむのにめっちゃいいなって感じです」(参加者)

※トップノート……最初に感じる香り。その後、ミドルノート、ラストノートと三段階で表現される香りの変化をさす言葉


想いを込めてつくられた依田さんのジンを飲んだイベント参加者たち。さまざまな感想がありながらも一様にして、今日はじめて出会ったジンへの感謝と悦びを感じているようだった。私たちにとってジンの世界に触れることは、いつでも驚きと好奇心が満たされる体験のようのだ。

飲み手に応えられる、つくり手でありたい


イベント終盤、依田さんの表情はどこか満足そうなものへと変化していた。依田さんはつくり手として、ジンを飲んでくれた方の表情を見逃してはいなかったからだ。そこには、言葉だけでは表現できないものがあった。

「まず、飲んでくださった方の表情を見てホッとしているところがあります。改めて思いましたが、いろんな人とこうやって楽しく飲むことは、大切にしたいことだなぁと思いました。コロナ禍において、こういう機会が減っている状況もあるからかもしれませんが初対面同士でも、お酒が間にあると潤滑油になるんですよね。こういった空間のマジックは酒にとって最高の要素です。

もちろん、つくり手としては約1ヶ月後に向け、三浦さんのフィードバックを再現しなきゃいけない。でも今日参加者のみなさんからいただいた言葉やおいしいといって召し上がっていただいたこと。飲んだ後の表情。言葉だけではなく、召し上がっていただいた方の感想は大切にしていきたいですよね。

 

今後は、試作品としての最終系に向けて最後の蒸留をします。今日のフィードバックを元に、調整をしていきます。ひとまず、今やれることをフルスイングで挑むしかない。ある程度の絵は見えてきました。それが再現できるか、自分の腕にかかってますよね、楽しみにしててください」(依田さん)

完成品まであと1ヶ月。次に出会う「YOHAKHU」は、どんな風景を私たちに見せてくれるのだろう。

----from JUNIPER 探求者募集----

fromJUNIPERとは、130年以上の歴史を持つ日本酒蔵「芙蓉(ふよう)酒造」とともに、長野県や佐久エリアの地形、歴史、里山、生き物、植生(ボタニカル)を探究し、“風景とつながるジン”の開発を目指すコミュニティです。

詳細はこちら▷▷“from JUNIPER” クラフトジン 探究者募集!長野から世界へ

探求レポートはこちら▷▷

《探求イベントレポート#01》大地の力と人の営みが生み出した、佐久の風景を知る
《探求イベントレポート#02》イヌワシが教えてくれる、自然の中で生かされているということ。

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