
多くの方々のご支援により屠畜寸前に救われてNPO法人あしずりダディ―牧場命の会に引き取られた由美子は観光馬車を曳くという次の役割を担うため2020年1月25日に訓練を受ける北海道に旅立ちました。雨の高知から2泊3日の旅、1月27日に到着した幕別町にあるノースポールステイブルの空は青く晴れ渡っていました。南国から氷点下の世界へ、トレーナーとなる蛭川さんとのファーストコンタクトがスムースに行われました。
翌日から始められた訓練、初めて迎える十勝の朝はマイナス18℃、経験したことのないことばかりでも由美子は直ぐに新しい環境に馴染んでいきました。そして、ドライビングを経ていよいよソリを曳く練習がスタートしたのは2月7日でした。
高知の片田舎で一人ぼっちだった由美子にはたくさんの仲間もできて順調に訓練は進んでいきました。雪解けが始まり馬車の訓練も段々と本格的になってきました。
北海道にも遅い春が訪れ、馬搬や馬耕も訓練の一環に加わってくるようになり、夏に向かって一段と逞しくなった由美子になりました。
初めて曳くドクターバギー、バイクの音に驚いたり、またまだ課題は多くありますが北海道に来て半年になり何事ものんびりモードの重種としてゆっくり成長している由美子です
ゆっくりと時は流れて初めてのビクトリア馬車、北国の秋景色を背景に由美子の充実した訓練の日々が続きます。そして、秋も深まる10月には幼いころから慈しんでくれた高知のお母さんが訪ねて来て感動の再会をしました。
由美子が北海道で迎える2度目の冬が訪れ、年が明けると3月には高知に帰ってからのパートナーとなるソラちゃんも馬車修行のために北海道にやってきました。春が来て梅雨のない北海道に夏が訪れようとする6月30日、由美子は1年半も慣れ親しんだノースポールステイブルを巣立つ日が来ました。高知まで2泊3日の旅です。
7月2日、道中のトラブルもなく予定した時刻に由美子は建設中の新しい牧場に到着しました。出迎えたソラちゃんに手綱を取られ新居へと向かい新しい日々がスタート、5日後には岡山からルシーラもやって来ました。南国の夏の日差しを浴びて新しい役割の準備を始める予定だったのですが・・・
そんな由美子の右前脚に異変が生じたのは8月でした。痛くて歩けなくなり、放牧もできず3本足で寂しそうな眼をして馬房に閉じこもる日が続きました。大阪から馬専門の獣医に何度も来てもらい、11月になってやっと歩けるようになりました。その間には、元の牧場にいた馬たちも仲間に加わりましたが、10月に彼女のパートナーも牧場を去り、肝心の馬車も訓練が滞ったまま振り出しに戻りました。
年が明けて元気を取り戻した由美子は、馬車プロジェクトに向けて新たなスタートを切ります。応援してください。