
ニトリホールディングス(HD)がデジタル技術で事業を変革する「DX(デジタルトランスフォーメーション)」を急いでいる。物流子会社で今秋にもブロックチェーン(分散型台帳)を使った新システムを稼働させ、外部受託を2030年までに数百億円事業に育てる計画だ。電子商取引(EC)サイトの運営ノウハウをクラウドサービスとして事業化した米アマゾン・ドット・コムのように、ニトリは家具の王者から物流の「プラットフォーマー」へ軸足を広げる。
ブロックチェーンを採用した狙いは3つある。
まずは紙伝票の撤廃だ。契約や決済情報をブロックチェーンで管理すれば、中小事業者でも正確な取引履歴を保存できるようになる。末端まで正確な情報を届けられれば、確認の手間などが省ける。サプライチェーン全体で納期を短縮できる利点もある。
2つ目は、運送会社ごとの得意技の共有だ。提携運送会社に得意技を登録してもらい、最適な人員配置を目指す考えだ。新システムではブロックチェーンを使ってトラックの現在地や作業内容を追跡し、機動的に発注できる仕組みを整える考えだ。「他社の荷物も共同輸送して、積載率を高めたい」と深作CIOは話す。
新システムで中小の運送会社を束ねることで受託を伸ばし、将来的には「家具の配送に限らず、宅内清掃などのサービス事業にも展開できる」と深作CIOは期待する。外販を30年までに数百億円事業に育てる計画だ。国内アパレル大手や食品大手と、物流面での提携で話を進めている。
ホームロジにデジタル技術を投入し、新たな売り上げを稼ぐ事業に変貌させれば、家具販売に次ぐ柱を育成できる。DXは将来、ニトリの業態すら変えてしまうかもしれない。
(柳澤のコメント)
絶えず新しい価値を市場に提供できるかどうか。それこそ会社の使命だと思います。家具から始まり、物流にも拡張し、さらに新たな価値を産み出していく。
ニトリの挑戦から目が離せないですね。