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写真:2003年に竹島水族館に入社した小林龍二さん。低予算で入館者数をV字回復させた立役者です。
走り続ける水族館。社歴5年以上の「ベテラン」たちのその後
ベテラン、と言っても彼らの年齢が高いわけでも社歴が長いわけでもない。竹島水族館の飼育係で最年長は2006年入社の三田圭一さん(39歳)。今回便宜的に「ベテラン組」に入れた平松涼太郎さんに至っては大卒入社5年目の26歳に過ぎない。
管理職である小林館長と戸舘副館長(どちらも40代半ば)が竹島水族館(以下、タケスイ)を徹底的に改革し続けてきた結果、入館者数は約4倍に伸びたタケスイ。その怒涛の勢いについて来たスタッフは三田さんのみだった。
そんなタケスイに光明が見えていることは前回の記事でも書いた(記事はこちら)。2020年7月に取材したときから約4年が経過しているが1名しか離脱していないのだ。個人的に最も心配だった酒向穂(めぐみ)さんから話を聞こう。あれ? メガネを取ってちょっとあか抜けた雰囲気になりましたね。
「ICLという手術で眼の中にコンタクトレンズを入れました。かなり快適です。生き物のお世話も自分の判断でやれる範囲が広がって、気持ちに少しだけ余裕が生まれました」
後述する山田圭祐さんの下で淡水魚の飼育を主に担当している酒向さん。リクガメとスッポンに関しては自分が中心となって世話をしていると胸を張る。どんな業種でも、「この分野は私が一番知っている」と思えることが自信とやりがいにつながるのだ。
2020年当時の酒向さん。カピバラ並みに無表情で心配でした。やる気がないわけではなく、極度に緊張していたんですね。
タケスイは「天国のように働きやすい職場」と評する女性飼育員の過去
2019年入社の酒向さんが最初に任されたのはカピバラの飼育。退職してしまった前任者から人気のカピバラショーを引き継いで「ガチガチに緊張しながら」3回ほどやったが、コロナ禍で中止に。雄雌のカピバラは2022年5月と2023年2月にそれぞれの天寿を全うした。
それでも酒向さんはめげずに前を向いている。「次はこの人が辞めちゃうかも」と思っていたのは僕だけで、本人は「天国のように働きやすい環境」だと感じていたという。なぜなら、前職の警察犬訓練所が軍隊並みに過酷だったからだ。
「5年間、住み込みで働いていました。朝は6時起床で、食事の時間は15分ぐらいですぐに犬の世話です。夜中に呼び出されることも少なくありませんでした」
この労働環境に比べたらタケスイは確かに天国だろう。「海兵隊出身のアメリカ人はどこでも働ける」的な発想だけど……。
タケスイでは秋のグランドオープンに向けてカピバラの展示を再開する予定だ。パワーアップした酒向さんによるカピバラショーが見られる日は近い。
現在の酒向さん。余裕を感じさせる明るい表情です。新たに入ったコツメカワウソもチームで担当しています。
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