
酸性ストレートを学ぶ上での基礎を知ることが大切です。
必要最低限の基礎を把握し、実戦に活かすことで
基礎が深まり理論となります。
酸性ストレートをこれから始める方も
すでに実戦でやっていらっしゃる方も言えることは
【基礎力】が大切ということ。
これから始める方はもちろんですが、
すでにやっていらっしゃる方こそ基礎に立ち返ることで失敗リスクが減り、クオリティが格段に上がります。
1stステップとして、固い基礎を学ぶよりもメリットを知ることで酸性ストレートをよく知ることができます。
2ndステップはメリットを知った上でリスク、できない施術の限界を知るということ。
酸性ストレートはどんな髪質でも施術できるわけではございません。
メリットとデメリットを知ることでお客様への提案の幅が大幅広がります。
3rdステップで1st,2ndで学んだことを活かして早速実践で試し
失敗してしまった時にまた基礎に戻るというサイクルでレベルアップしましょう!
【メリットとは?】
①酸性ストレートは従来のアルカリストレートよりも圧倒的にリスクが少ない
そのリスクというのが〈ビビるリスク〉〈伸びないリスク〉
アルカリの場合は癖が強くても髪質が弱っていたら還元させる前にアルカリ膨潤と軟化が進みすぎてしまい(過膨潤、過軟化)髪はボロボロになります。
酸性ストレートはアルカリを基本的に使いませんのでアルカリによる作用を気にせず
ゆっくりと還元剤の反応を待てますので酸性ストレートの方がしっかり伸びるケースもよくあります。
②水分を過度に流出させない
縮毛矯正後は髪が硬くなる原因は〈水分、タンパク質の流出〉
これもアルカリによる作用がほとんどです。
軟化、膨潤させることで髪質は多くの隙間が生まれます。
還元剤の反応やアルカリが作用し続けることで髪内部のタンパク質はどんどん流出します。
(薬剤放置中に髪が明るくなる反応)
この状態に180度のアイロンダメージが加わることで更に髪が焼けてしまい水分がない状態で固定されます。
その点酸性ストレートはアルカリ膨潤と軟化をしませんのでタンパク質流出が最小限です。
※還元剤が流出はさせますので0ではありません。
さらにsins酸性ストレートは酸熱効果もございますのでさらに水分を逃さない設計となっております。
結果どの矯正剤よりも柔らかく、潤いのある状態で仕上がります。
③エイジング毛や産毛の繊細毛の対応も可能
これこそが酸性ストレートの魅力の一つです。
アルカリでの施術は困難であった顔まわりの産毛や痩せ細ってしまったエイジング毛の矯正。
髪体力が弱っているこういったケースの髪質に限って癖が強いケースも多々あります。
アルカリでは困難ですが当然トリートメントでは伸びません。
その場合に酸性ストレートは微力でも緩やかに還元をさせることが可能です。
アルカリでは伸ばせないようなケースを酸性でのアプローチは可能になるため
施術の幅が大幅に広がります。
STEP1-1【酸性で癖を伸ばすには?】
従来の縮毛矯正との違いとしてはアルカリによる〈軟化〉をするかしないかです。
軟化をするかしないかが縮毛矯正をする上で大きな違いです。
【軟化】
アルカリによる作用で髪内部のpHが弱酸性→アルカリに移行することでキューティクルが開く作用
薬剤浸透がしづらい太毛、硬毛であればいいですが
細毛、エイジング毛、ダメージ毛など元々キューティクルが少なかったり
ダメージによってキューティクルが剥離している場合は
アルカリを使うことで取り返しのつかないダメージにつながることがあります。
ではアルカリで軟化をさせずに酸性でストレートをするにはどうすべきか?
酸性領域で還元する還元剤である〈スピエラ〉〈GMT〉を使用して矯正をします。
STEP01-2【スピエラを知る】
酸性ストレート施術する上で欠かせない還元剤が〈スピエラ〉
pH6.8で最も還元する酸性領域で最も働いてくれる還元剤です。
特徴としては
・タンパク質流出が少ない
・独特の柔らかさ
・艶感の向上
アルカリでは作ることのできないような質感を作ることが可能です。
ですがそのスピエラにももちろん注意点がございます。
注意点①各社スピエラ濃度を知る
スピエラの濃度によっては同じ添加量でももちろん還元力が変わってしまいます。
とりあえず10%混ぜようみたいな使い方はNGです!
注意点②スピエラのリスクを知る
柔らかさを作ることのできるスピエラですが、還元剤ですのでもちろんリスクも伴います。
どの状態なら使えてどのダメージだと使えないかを把握しましょう!
こちらの表に当てはめてお使いのスピエラ濃度から還元力を確認しましょう!
STEP01-4【ダメージレベルに合わせたスピエラの添加量目安】
今回はお使いの美容師さんの多いオレンジコスメとパイモアで説明します。
オレンジコスメスピエラ/還元力17%
パイモアスピエラ/還元力33%
ダメージレベル0~1(健康毛)
主にはバックのアンダーミドルに多い部分
ダメージリスクよりも矯正力を優先する必要がありますので
オレンジコスメ/10~15%
パイモア/5~10%
健康毛の場合はさらにGMTが必要にもなります。
GMTは酸性領域で強い矯正力を発揮できるチオ系の還元剤です。
ダメージリスクがありますので健康毛にしか使えませんが
スピエラのみでは健康毛は伸ばせませんのでさらにGMTを
オレンジコスメ/10~15%
パイモア/5~10%
ダメージレベル1~2(細毛の健康毛)
主にはサイドやトップ
カラー履歴1回もしくは細毛の新生毛がここに当たります。
オレンジコスメ/10%
パイモア/5%
この髪質にGMTはケースバイケースです。
あまりにも強い癖であれば数%必要ですがそうでなければスピエラのみでのアプローチがおすすめです。
ダメージレベル2~3(ライトダメージ毛)
カラー履歴のみのケース
こういったケースこそアルカリではなく酸性ストレートにスピエラが非常に質感の効果が出るケースです。
ですが、髪質によってはスピエラを非常に吸ってしまいます。
ダメージによって髪内部にはダメージホールが生まれますので乾いたスポンジのように
クリームタイプの基材よりも油のスピエラの方が圧倒的に吸ってしまいます。
オレンジコスメ/
太毛:10%
細毛、普通毛:5%
パイモア/
太毛:5%
細毛、普通毛:2~3%
ダメージレベル3~4(ミドルダメージ毛)
矯正履歴や度重なるカラー履歴ダメージ毛
酸性ストレートも非常に理論や知識が必要なケースになります。
伸ばせないこともないのですがスピエラの添加量、アイロンテクニックなど
経験が必要な部分となりますのでここ以上のダメージ毛へのアプローチは
基礎をしっかり学び、その上で技術面を鍛えましょう。
オレンジコスメ/3%
パイモア/1%
ダメージレベル4~5(ハイダメージ毛)
毛先がダメージによってカラカラに乾燥するケース(ビビリ毛手前)
このケースというのは濡れて弾力がなくなり(ゴムのように伸びるまではいかない)
乾くとカラカラに乾燥して硬くなるようなダメージ状態。
スピエラもリスクですが薬剤自体がリスクになります。
無理に伸ばそうとせずにトリートメントでリスクヘッジをするようにしましょう。
STEP01-5【ダメージ毛を把握する】
上記で書いたように、スピエラを基本的にはマストで使用して酸性矯正を行います。
スピエラ=油
これは基本情報として頭に入れて頂きたいです。
仮にスピエラを10%どの髪質でも関係なく添加した場合、
健康毛以上に当然のことながらダメージが進行するほど吸ってしまいますので
同じ10%でもリスクの差が大きく変わります。
(ビビるリスクが上がってしまいます。)
STEP01-6,7【各ダメージ毛の解説】
健康毛:硬毛のバージン毛
このケースは酸性ストレートでは伸びないケースがほとんどです。
sinsストレートT7という微アルカリの薬剤がベストです。
sinsストレートT7
pH8:0(TG6.2%)
チオグリコール酸2%
チオグリセリン5%
アルカリ:アルギニン6.2%
硬毛の強い癖にアプローチする場合は微力のアルカリで軟化をさせ、
スピエラとGMTを効かせることで通常アルカリストレートよりもローリスクで矯正が可能となります。
ベストの選定
sinsストレートT7:スピエラ:GMT(濃度次第で添加量が変わります)
加温25分もしくは10分前後で2度塗りでW還元アプローチ
細毛
細毛の健康毛は芯の強さがありますがGMTが必要なくても矯正が可能のケースが多いです。
太毛や硬毛に比べてキューティクル枚数が少ないという点でスピエラとsins酸性ストレートのスペックでおそらく十分かと思われます。
sins酸性ストレート6+1
pH6.8
システアミン6%
チオグリコール酸1%
ケースバイケースですが細毛リタッチは微アルカリでも軟化しすぎてしまって長時間放置できず
還元ムラを起こす可能性があります。
STEP01-8,9【ダメージレベル3への対応策】
主にはミディアム、ロングレングスの中間ゾーンによくあるケース
中間ゾーンは矯正アプローチの非常に難しいゾーンです。
このゾーンは様々な履歴でダメージしておりますがハリコシや芯がありますので
リスクヘッジをすると伸びなければ攻めるとダメージリスクが上がってしまいます。
STEP01-10【スピエラ、GMTを再確認】
実践での使い方を最初に確認したところで改めてスピエラ、GMTのメリットデメリットを把握しておきましょう!
〈スピエラ〉
【メリット】
pH6.8が最も矯正の効果を発揮しますのでsins酸性ストレートのpH設定と最も相性が良く設計されております。
①柔らかく矯正が可能でダメージが少ない(タンパク質流出が少ない)
上記で沢山書いたとおりですが、使い方次第にはなります。
使い所をしっかりと把握しておけば少ないダメージリスクでクオリティの高い矯正が可能となります。
②産毛や細毛、エイジング毛などの難しい髪質との相性が良い
sins酸性ストレートとの相性としても非常に良いケースです。
sins酸性ストレートは還元力スペックが少し強めに設定しておりますが
緩やかに還元するように設計しておりますのでスピエラの還元をコントロールしながら反応をします。
本来過還元を起こしやすい産毛やエイジング毛もスピエラの矯正力をコントロールしながら矯正できますので
スピエラ✖︎sins酸性ストレート✖︎エイジング毛
相性が非常に良く施術が楽になります。
【デメリット】
①強い癖にスピエラのみでは不向き
スピエラは柔らかさを作れる分、強い矯正力があるというわけではございません。
こういったケースはGMTを使用しましょう
②独特な臭い
これはスピエラ特有のものなのでどのメーカー様のものも出てしまうのは仕方がありません。
sins酸性ストレートには消臭効果を入れておりますので
混ぜた瞬間に臭いがある程度軽減できるように設計をしております。
〈GMT〉
【メリット】
①強い癖に酸性領域で矯正が可能
sinsではGMTは強い癖への最終手段として考えております。
それくらいの強い矯正が可能ですのでバックアンダーミドルによくあるような
捻転毛には非常に効果的と言えます。
こういったケースをアプローチをする場合、酸性だけでのアプローチですと
可能ではありますが放置時間が長時間必要となってしまいます。
そこでsinsが辿り着いが答えが【微アルカリ】という選択肢
”微”とはどういうことかと言いますと
アルカリ剤には4つ存在しております。
【アンモニア】
揮発性のため刺激臭はあるが毛髪へ残留が少ない。
反応は早いが、オーバータイムしにくい。手に対する刺激がある。
【モノエタノールアミン】
不揮発性のためニオイは少ないが、毛髪への残留が多い。
反応は遅いが、オーバータイムしやすい。手に対する刺激がある。
【炭酸水素アンモニウム】
弱アルカリ性のアルカリ剤。施術時間の経過とともに、
炭酸とアンモニアに分解され、アルカリ性になるため反応が強くなる。
【アルギニン】
塩基性アミノ酸のひとつで、毛髪との親和性が高い。
アルカリ剤の作用としては弱く、反応は穏やかである。
この中で最も反応が弱く、さらに保湿剤になってくれるのが【アルギニン】です。
基剤単体ではかなり弱いですがここにスピエラとGMTが加わることで矯正力が上がります。
特にGMTに関して
最も還元が働くpH(PKA)はpH7.8になります。
sinsストレートT7はpH8.0設定のため、GMTが最も効果を発揮できる設計になるので
より効率的に矯正が可能なんです。
では、酸性のメリットを活かしながら強い癖のアプローチをまとめてみましょう。
このケースを強アルカリではなく、酸性でもなく微アルカリの選択肢が増えることで
根元の強い癖をローリスクで矯正しながら
中間毛先のダメージ部分の広がりを酸性ストレートをできるば施術の幅は大きく広がります。
微アルカリによる矯正に関してはいくつかアプローチ方法がございます。
その方法とは、【W還元】
やり方は簡単で”重ね塗り”になります。
単純な技術ですが追い還元は非常に効果的で
バックアンダーミドルなど特に強い部分のみW還元をしたり細かく癖の出方へのアプローチが可能となります。
〈ケーススタディ①〉
エイジングしている強い癖への微アルカリアプローチになります。
根元10cmの新生毛は強い癖があり、お白髪混じり。
中間以降は酸性ストレートでのアプローチが可能ですが
新生毛の幅が広い場合で癖もしっかりとある場合には微アルカリを使いましょう。
(スピエラ/オレンジコスメ GMT/パイモア)
根元
sinsストレートT7:スピエラ:GMT=1:10%:2%
中間
sins酸性ストレート6+1:スピエラ=1:10%
毛先
sins酸性ストレート0.5単品
自然放置25分
ここで注意しないといけないのは中間の癖が強いですがエイジングによるダメージも相当負担がかかっているということ。
酸性ストレートの中でも最も強いsins酸性ストレート6+1:スピエラのアプローチでも
ゆっくり時間をかけないと芯にある強い癖を伸ばすことはできません。
加温ではなく、自然でゆっくり時間をかけて還元させましょう。
〈ケーススタディ②〉
濡れても癖が強く、乾くと相当強い癖がございます。
このケースにはW還元が非常に効果的です。
効率的というのは”しっかり矯正できて放置タイムも時短になる”という意味になります。
sinsストレートT7:スピエラ:GMT=1:10%:10%
加温10分後
sinsストレートT7:GMT=1:15%
加温10分
シングルでは到達のできない芯にある強固な癖を矯正にはT7(スピエラ、GMT)→T7(GMT単品)というアプローチが最も矯正力が上がります。
強い癖の幅が広がれば、ミドルダメージへのアプローチの考え方もスムーズに考えることができます。
酸性ストレートはビビり毛以外の施術が可能です。
様々なダメージへの対応策は実践動画にケーススタディを公開しておりますので是非ご覧ください!
ご質問がありましたらLINEにご連絡お待ちしております。