
財務戦略は飲食店経営の柱とも言える極めて重要な領域です。そんな飲食店経営に切っても切り離せない「お金」にまつわるサポートをしてくれるのが、ミライーツパートナーにもなってくれているビーワンフードさんです。
同社は、今をときめく繁盛飲食店・飲食企業を多数顧問にもつ業界随一の財務コンサルティング企業です。
ミライーツでは、ビーワンフードさんにご協力を頂き、今知っておくべき税務や財務の知識をコラム形式で定期的にお届け頂きます。
ちょっと難しいですが笑、私も一緒に学ばせた頂きたいと思います。
それでは、ビーワンフード担当の林さんからの情報です。(大山)
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株式会社ビーワンフードは、飲食業界の社外CFOとして戦略財務コンサルティングを提供させていただいております。
一般的な会計事務所様が会計データの作成・税務申告に従事されている一方、
弊社では飲食業に特化した会計・税務に加え、銀行目線での財務体質を強化し、クライアント企業の資金力最大化に向けて、様々なサポートをさせて頂いております。
弊社からは、飲食業界にまつわるお金の話を記事にまとめて投稿させて頂きます。
今回は、コロナ禍において重要な資金調達のポイントを融資制度・助成金も含めてお伝えして参ります。
【ポイント】
①制度融資を用いた融資を受けられているか?据置期間は取れているか?
②返済額が小さい借入金については、借換をして据置期間を取れているか?
③利子補給を受けられているか?
④利用できる助成金を全て申請しているか?把握できているか?
⑤自社のキャッシュフローを把握しており、必要調達額を調達しきれているか?
この中でも特に⑤自社のキャッシュフローを確認することが最も重要なポイントです。
このまま進んだ場合、いつ会社のキャッシュが底をついてしまうのかを理解し、倒産しないためにいくらのキャッシュが必要かを逆算、その上で融資の相談をすることが重要です。
この論点の詳細は次回の記事で取り扱えればと思います。
お金が足りなくなる、心許ない場合には、下記にまとめた融資制度・助成金を駆使して資金調達に動いていく必要が出てきます。
①制度融資を用いた融資を受けられているか?据置期間は取れているか?
コロナ禍において、国としては、様々な融資制度を展開しています。
まず始めに確認したいポイントは、それらの制度を利用した資金調達ができているかということです。
特にこれらの制度は「融資期間最初の3年間に、利子の軽減サポートが受けられる」「返済開始までの据置期間がある」という大きな特徴があるため、積極的に活用していきたいところです。
[融資制度のポイント]
今回のコロナウイルスに対応した融資制度の主なポイントは下記の2点です。
[1]据置期間を設けられること
通常、融資を実行するとその翌月から返済がスタートします。今回のコロナウイルスに伴う特別な融資制度では融資の実行から返済がスタートするまでに一定の据置期間を取ることができます。審査によって、期間の長短はありますが、弊社でサポートさせて頂いている企業だとおおよそ1年~2年になっているケースを多く見ます。
この据置期間によって、直近一番厳しい状況下での資金繰りを緩和することができます。
[2]3年間実質無利子で融資を受けられること
業績が昨対で20%以上減少している企業であれば、最初の3年間は利子の支払いが実質無しになります。据置期間を取っている中で、無利子の状態を作れれば、より資金繰りを良くできます。
【融資制度】
■政府系金融機関(日本政策金融公庫・商工中金)
■日本政策金融公庫
日本政策金融公庫は、政府系金融機関の1つです。融資のハードルは一般的な信用金庫や地方銀行、メガバンクと比べて低いと言われており、独立開業を支援する創業融資などを手がけています。この日本政策金融公庫では、コロナウイルスの影響を受けている事業者を支援するため、以下の融資制度が出来ています。
一般の金融機関で取り扱う特別融資制度に加えて、資本性ローンを取り扱っていることが大きな特徴だと思います。
・新型コロナウイルス感染症特別貸付
前年または前々年と比べて1か月の売上が昨対で5%以上低下していれば、審査を受けることができる融資制度です。
融資枠:8,000万円
金利 :(当初3年間)基準金利▲0.9%(1.26%→0.36%)(4年目以降)基準金利
※特別利子補給制度を併用することで、当初3年間は実質無利子となります。
利下げ限度額:4,000万円
据置期間:5年以内
・特別利子補給制度
売上高が急減した事業者などに対して、最長3年間分の利子相当額を一括で助成する制度です。
対象:中小企業であれば、売上が前年または前々年と比べて20%以上落ちている企業
期間:最大3年間
補給対象貸付上限額:4,000万円以内
つまり、融資を受けた内の4,000万円までは利子が発生しないことになります。
・資本性劣後ローン
融資枠:7億2,000万円(中小企業事業)
7,200万円以内(国民生活事業部)
返済期間:5年1ヵ月、10年、20年のいずれか(期限一括償還)
金利 :
[中小企業事業]
ご融資後3年間は0.50%。
ご融資後3年経過後は、毎年直近決算の業績に応じて、次の2区分の利率が適用されます。
税引後当期純利益額
期間5年1ヵ月
期間10年
期間20年
0円以上
2.60%
2.60%
2.95%
0円未満
0.50%
0.50%
0.50%
[国民生活事業]
ご融資後3年間は1.05%。
ご融資後3年経過後は、毎年直近決算の業績に応じて、次の2区分の利率が適用されます。
税引後当期純利益額
期間5年1ヵ月
期間10年
期間20年
0円以上
3.40%
3.40%
4.80%
0円未満
1.05%
1.05%
1.05%
この制度の一番の特徴は、着金したお金の区分が通常なら負債扱いとなるところを、純資産として捉えられるという点です。銀行が融資を行う際は、対象企業の財務諸表(BS・PL)を見て判断をします。コロナの影響で債務超過になっている企業が、資本性ローンの支援を受けられた場合、債務超過の解消と現預金残高の増加を同時に実行できます。その上で、融資期間末の一括返済に向けて、事業拡大を図っていく流れになります。
■商工中金
商工中金は、日本政策金融公庫と同様、日本の政策金融機関です。
日本政策金融公庫と似た融資制度を取り扱っています。
・新型コロナウイルス感染症特別貸付
融資枠:8,000万円
金利 :(当初3年間)基準金利▲0.9%(1.21%→0.21%)(4年目以降)基準金利
※特別利子補給制度を併用することで、当初3年間は実質無利子となります。
貸出期間:設備:20年以内(据置5年以内) 運転:15年以内(据置5年以内)
利下げ限度額:2億円以内
■民間金融機関による信用保証付融資
信用保証協会によるセーフティーネット4号・5号・危機関連保証での特別枠融資
民間金融機関(地方銀行・信用金庫・メガバンク)では、一般的に2種類の融資を行っています。信用保証協会が債権を保障してくれる保証協会付き融資、銀行が独自に融資を行うプロパー融資です。
信用保証協会が1企業に対して行う保証枠は、8,000万円と言われています。
通常、これ以上の保証は出ません。ただ、今回はコロナ禍という状況を加味して、通常の一般枠とは別に特別枠という形で合計1億6千万円の保証が追加されています。
この適用を受けるには、条件があり、保証内容を合わせた表は下記の通りです。
4号
5号
危機関連保障
売上減少要件
(前年・前々年
同月比較)
△20%
△5%
△15%
限度額
無担保:合計8,000万円
担保有:2億8,000万円
無担保:合計8,000万円
担保有:2億8,000万円
保証率
100%
80%
100%
業種指定
無し
有り
無し
保証料率
約1%以内
約1%以内
約0.8%以内
推奨使用用途
新規借入
借換
新規借入
合計1億6千万円の内訳は、4号・5号の8,000万円と、危機関連保証の8,000万円です。
それぞれの大きな違いは、保証率にあります。
4号・危機関連保証はどちらも100%の保証になっており、銀行の立場からするとこの制度を使っての融資実行ハードルは低くなります。(仮に融資先から債権が回収できない場合でも、保証協会から債権回収できるため)
このため、この2つの制度については新規借入として、会社の現預金を増やすために活用することを推奨しております。
②返済額が小さい借入金については、借換をして据置期間を取れているか?
③利子補給を受けられているか?
反対に、5号認定は保証率80%となっており、通常時の融資と同じ保証率になっています。
このため既存融資の借換として、この制度を活用し、据置期間を取り、かつ3年間実質無利子の状態を作れる利子補給制度を活用することで、毎月の返済金額を抑えることができ、直近、コロナ禍で厳しい資金繰りを緩和させることが可能となります。
よくあるケースでは、特別枠に余力がある中で、ニューマネー(いわゆる真水)を調達しているが、この借換ができていないケースを見ます。もし可能であれば、銀行の担当者に相談の上、据置期間付き、かつ3年間実質無利子の制度活用を目指すことをおすすめします。
[融資制度のまとめ]
ここまで主となる制度を紹介して参りました。
経産省のHPにも制度をまとめた記事がありますので、内容を見て、利用できるものがあれば、ぜひ検討してみましょう。
※URL:https://www.meti.go.jp/covid-19/pdf/shikinguri_list.pdf
〜後編に続く〜
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