写真:少し風格がついた中川さんと再会。厨房で作業しているのは若手スタッフのナツキさんです。
同じビル内のコーヒーショップを承継。「みんなの居場所がなくなるのは困るから」
2019年8月に始めた本ウェブマガジン。記念すべき1本目の記事で登場してくれたのがジンジャーシロップ製造所「TEMTASOBI GINGER」の中川清史さんだ(前回の記事はこちら)。偶然にも、TEMTASOBIの開店は2018年8月なので、本ウェブマガジンとちょうど1歳違い。お互いに長生きしたいねと思っていたら、中川さんはTEMTASOBIが入居する水上ビル(豊橋駅前にある古い問屋街)全体を巻き込んで「朝市」を定期開催したり、近隣のコーヒーショップを事業承継したりしているようだ。長生きどころか巨大化を目指しているのだろうか。
「違いますよ。2022年夏ごろにこのお店のオーナーだったマミさんが『店を閉じようかと思っている』と相談してくれたんです。このお店がなくなるのは嫌だな、と思ってうちが引き受けることにしました。マミさんには社員として引き続き働いてもらっています」
そのコーヒーショップ「無名 coffee stand」の店内で、5年前とまったく変わらないのんびりした口調で話す中川さん。TEMTASOBIとほぼ同じタイミングに水上ビル内に開業したお店で、ご近所付き合いをしてきた間柄だったという。
「豊橋でカッコいいことをやっている人が自然と集まるようなお店なんです。そんな場所がなくなるのは困ります」
豊橋駅から東に1分ほど歩いた場所にある水上ビル(右)。向かいには新しい施設「em CAMPUS」があり、新旧の両方を楽しめる地域です。
初期投資をやりすぎて経営を圧迫。「2023年はかなり厳しかったです」
中川さんの話を証拠づけるように、平日の日中にもかかわらずオシャレな客が無名 coffee standに次々と入ってくる。新人スタッフのハジメくん(20歳)におひねりまで置いていく粋な若い客もいた。
「TEMTASOBIで長く働いてくれていたクメさんが辞める、とインスタで書いたその日に来てくれた子です」
このハジメくんとナツキさんという女性が週2、マミさんは週5で出勤。中川さんを含めると4人体制で、TEMTASOBIと無名 coffee standを切り盛りしている。
「現在育休中のホノカさんを含めて5名です。2023年は(経営的に)かなり厳しかったですね。イニシャルコストをかけすぎてしまいました……」
凝り性の中川さんは無名 coffee standをさらに洗練すべく、1脚17万円もする椅子を2脚も購入。アルミ作家の永瀬二郎さんの作品です、とちょっと誇らしげに紹介してくれるが、正直言って座り心地がいいとは感じなかった。機能性よりもカッコ良さを追求しているのだろう。この店の客は、コーヒーだけでなくスタイリッシュな空間を味わいに来ているのだ。
この日が無名 coffee standデビューだというハジメくんと。お母さんも豊橋市内で小料理屋をやっているとのこと。強力な新人ですね!
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