2020/02/04 15:50

写真:はりしごとfukuの柴田夫妻とお針子さんたち。涼子さん(後方左)以外の3人は未経験から仕事を覚えた

外注や分業では「雰囲気」を出しきれない
一点ものを作って売るということ

 肌触りがいい、着心地がいい、他の誰とも似ていない――。愛知県岡崎市を拠点に活動する洋服ブランド、はりしごとfuku(以下、fuku)に作ってもらったシャツを初めて身につけたときの感想だ。丸い襟やオリーブ色も自分らしくて気に入っている。
 通常、fukuの洋服は注文から仕仕上がりまで半年~1年待たなければならない。現品をときどきWebショップに出品すると30着でも数分で売り切れてしまうほどの人気ぶりだ。
 しかし、外注をして生産量を上げることはしていない。代表の柴田浩美さん(55歳)がデザインした服を、修業を積んだ「お針子」たちがすべて手作業で縫い上げる。なお、浩美さん自身も縫製作業に参加している。仕上がりを確かめながら自ら縫うプロセスも大切にしているのだ。
「fukuは独特な形が人気なのだと思います。外注をするとその雰囲気を出しきれなくなります。一人で一着を仕上げることも大切です。分業をすると仕上がりがキレイすぎて、柔らかさが出ません」
 浩美さんは言葉を探しながらゆっくりと語る。工業製品のような服ではなく、単なるファッションでもなく、自分のために「はりしごとfuku」を着たい人を真っ直ぐに見つめていることが伝わってくる。職人気質の女性なのだろう。それに対して、隣でニコニコしている夫の淳二さん(61歳)は軽やかな雰囲気だ。おしゃべりも好きらしく、すかさず口をはさむ。
「1人で1着を仕上げることは無理のない働き方にも通じています。1着を仕上げるのに、半日かけても1週間かけてもいいのです。分業するとそうはいきません。うちのスタッフには小さなお子さんがいる方もいて、急な熱で仕事を休まなければならない場合もあります。お母さんでも楽しく働ける環境を私たちは作りたかったんです。週に何日働くかも各自の裁量で、誰が偉いということはありません」


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