2020/08/13 11:29

8月9日みなとシティバレエ団自主公演
「真夏のくるみ割り人形」へのご支援をありがとうございました。
174名から1,037,000円という貴重なご支援を受け、無事終演を迎える事ができました。
感謝の気持ちで一杯です。

エンタテインメント界のみならず、新しい生活様式においてLive配信の必要性は急増しており、同時接続の非接触型コミュニケーションは必要不可欠なものとなってきています。
ここに公演後記の一つとして、私たちのような小規模なバレエ団が、スタッフの手の数も機材も充分ではない中で、少しでもクオリティの高いLive映像の配信を行うための試行錯誤した記録を、今後自社内で同じような配信をされる方への参考になればと共有させて戴きます。


記録は取り止めもない箇条書きとなってしまいましたが、
なぜ自分たちで今回、Live配信することにしたかも併せてシェアいたします。


<当日配信だけでなく制作の様子も積極的に発信しました>


 第一に、もし予算があれば外注して高品質のLIVE配信を提供できる本職さんにお願いしたいのですが、バレエの公演はチケットが完売しても興業の原価と言われています。今回のようにソーシャルディスタンスに配慮して席数を半分以下にしている場合は赤字です。外注はできませんでした。


 また今年はバレエ観賞が大好きでも、新型肺炎感染拡大予防のために家族や職場の安全を考え、劇場に直接足を運ぶことが難しくなっている方が沢山おられます。本当に沢山おられます。主催者側も自粛からの中止、延期が相次ぎ、私たちの自主公演も最後まで色んな意見を頂戴しました。


そんな中、6月にゲスト出演させて頂いた無観客公演のLIVE配信には、驚くほどの反響をLive配信のお客様から得ました。


終わりの見えないコロナとの戦い、すっかり変わってしまった日常の中で、ものすごく貴重になってしまった芸術を、人の心が求めていたように思います。


 

配信中、劇場の暗闇に浮かぶZoom画面には物言わぬ観客のIDが並び、聞こえるはずのない拍手まで聞こえるような気がしました。そしてZoom越しでも、二度と分かち合うことができないその瞬間をLiveで配信していく事が必要だと切に感じた瞬間でした。 

 それぞれの場所から安全に、観賞に耐えうる配信の品質で、芸術に親しんでもらう機会を先駆けて提供し続けていくことは私たちが向き合うべき喫緊の命題で、自分のやるべき事だと考えました。


正直に話すと悔しいのですが、配信の品質に関しては8月現在、まだ映画鑑賞のような完成度は至っていません。しかしこの新しい生活様式の日々は私たちの技術や設備が完璧になるまで待ってくれません。前回の配信(6/7)もご覧になっている方は、この二ヶ月に劇的な改善があったと共感してくださることと思います。日々、試行錯誤を重ね、さらなる配信の品質向上に努めて参りますので、引き続きご支援をいただければ幸いです。


2020/08/09 「くるみ割り人形」Live配信設備記録

出演:みなとシティバレエ団

場所:なかのZERO 大ホール

配信方法:

ZoomからのFacebook内コミュニティ限定LIVE

配信用にレンタルしたルーター:

PANDA STUDIOより下記2点

商品名: 【上り・下り無制限(予備1回線付)】 

SoftBank回線 モバイルルータ(ライブ配信用)

https://rental.pandastudio.tv/mypage/products/2139/review?utm_source=returninfo&utm_medium=email&utm_campaign=pandarental

商品名: 【上り無制限】DoCoMo回線 モバイルルータ(ライブ配信用)

https://rental.pandastudio.tv/mypage/products/232/review?utm_source=returninfo&utm_medium=email&utm_campaign=pandarental

*残念ながら両方とも劇場内では低速になり、配信に使えず。

本番は岡脇(岡脇Macbookホスト用)、千葉(後藤Macbookサブでログイン用)のスマホよりテザリング配信。

仕込み中から配信に使っていた岡脇の携帯の使用容量は15ギガ。約4時間。
岡脇端末プランのテザリングMAXは30ギガ。

使用機材

カメラ⑴ α7III+標準レンズ+音響さんからの音源をα7IIIに直刺し

カメラ⑵ Sony5100 +135m

スイッチャー:Atem mini


>音源:音響さんからの音源をα7IIIに直刺し、ただしこれだと拍手がZoomに乗らないので今後は改善する必要あり。今回はフィナーレの曲が終わったタイミングで音源から、ガンマイクに変更したが、あまり拍手の音らしく拾えなかった。

>その他必要なもの

延長コードx2 /(コンセント8個口くらい PC2台、カメラバッテリーチャジャー2台、Aitem、ルーターankerチャージャー)/作業台/椅子/イヤフォン(できれば有線x2)/ミニHDMIx4/オーディオケーブルx2/typeC USBケーブル(MacとAitem min接続用、長め)/ガンマイク/モバイルバッテリー(急速充電可能)とUSBtypeBx2/養生テープ/三脚xカメラ台数分(簡易でないもの)/手元用ライト(光が漏れないようにカバーつける)/(ルーター、LANケーブル)

使用PC

岡脇Macbook pro Zoomホストログイン、配信用

後藤Macbook pro Zoom 同じアカウントでサブログイン、ホスト代替用、音声確認用

配信映像スイッチングに関して

カメラ⑴全体

カメラ⑵アップ

今回配信ブースに後藤しかいなかったので、その他の現場カバーで離席中は全体を流す、戻って来れたときはカメラ⑴と⑵をスイッチング。

・演目の振付とフォーメーションを把握しておく。

・スイッチングは音楽の小節の区切りで行うと自然。アップで追い過ぎると不自然なので移動系の動きは全体を写す。

(これはワンオペのトリアージで、カメラ、スイッチャー、配信それぞれに担当がつけられるときはもっとドラマチックな配信ができるはず)

次回以降への記録

配信ブースには最低2名を置きたい(スイッチングとカメラ)

受付係に一人Zoomログインしてもらって配信音声のモニタリングをして欲しい。

今回は途中から受付(有珠、インカム保持)にモニタリングを依頼。基本音声が途切れてないか聞いてもらうだけ。配信ブース付近でZoomオーディオにログインするとハウリングが心配なので。

今回のα7IIIバッテリーの連続耐久時間は一時間強。予備バッテリーと交換&充電を繰り返すかモバイルバッテリー接続で給電しながら配信する。電池交換の際、手ブレが発生するのでカメラをスイッチングしてから交換する事。交換後は電源を付け直しているので、画角、フォーカスの調整が必要。

Sony5100はもう少し高頻度でバッテリー交換が必要。チャージャーは二個同時に充電できるが、一つ交換する間にもう一つはフル充電されない。

使えなかったYAMAHA AG06

Goproも左右に足してカメラを増やしたいが、ケーブルと観客の動線とクロスさせたくないので位置を考える必要がある。また、Gopro自体、振動で転がるほどの不安定さと、ケーブルの脱落しやすさを養生テープなどで補助しないと恐ろしすぎて設置できない。


>観覧者からの音声が聞こえない、というコメントがあった

→オーディオに参加していなかったので参加をお願いする。

>音声が途切れた際のトラブルシューティング

→Zoomに正しくスイッチャー(音源引いてるところ)が認識されているか接続を再確認。

→イヤホンジャックや音響系の物理的な接続が甘くなっていないか再確認。

→音声確認用の端末での聞こえを再確認。

事前準備

カメラ、モバイルバッテリーなど充電が必要な物はフルに充電しておく
以上、ありがとうございました。


この記事を書いた人

The Society For Art In Japan 副理事長 後藤 奈津子
明治大学商学部卒。文化交流大使として米国に1年間滞在。
一部上場企業 翻訳通訳事業部に従事。環境教育NGO、バレエ団などで海外交渉を担う。
現在はSAJ副理事長として国内外にて芸術振興活動を行う。
アフリカ、中国、ベトナム、フィリピンなど様々な国での活動経歴を持つ。

2020年より、コロナ共生社会における写真、動画、配信によるバレエ振興のために、撮影・編集にも携わる。「クリエイティブの現場から」シリーズはみなとシティバレエ団が日々リハーサルを重ねて公演当日を迎えていく様子を記録したもの。動画をYouTube、写真をInstagramで掲載している。

後藤奈津子のTwitter

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