2020/11/06 09:52

Shojinmeat Projectも参加している、農水省フードテック研究会の動きを受け、厚生労働省は細胞農業製品への対応を決めるため、情報収集を始めました。厚労省の判断によっては、細胞農業製品が世に出るのが数年遅れたり、自宅で作るDIY培養肉も含めて、何らかの制限がかかる可能性があります。

通常、食品を不特定多数に一般提供(一番多いパターンは「販売」です)する場合、それをするための基準を満たしていることを各自治体の保健所に届け出したり認可を得る必要があります。

基準とは、主に原材料と衛生管理体制です。(個人経営レストランも対応しているので、そんなに難しいものではありません。)

届け出だけで済むか、認可が必要かの分かれ目は、何を一般提供したいかによります。包装されたお飲料類は届け出だけでOK、生肉加工製品は許可が必要です。

原材料で「よく分からないもの、新規なもの」がある場合、各自治体の保健所から厚生労働省を経由して食品安全委員会に質問が行くこともあります。遺伝子組み換え食品や、未許可の食品添加物がこれに当たります。

問題は、培養肉の製造は保健所でOKが出るものなのか、食品安全委員会に行くものなのか、という点です。

(ここ以下は「推進派」の言い分であることを念頭においてくださればと思います。)

原則から言うと、培養肉のOK/NGについて、保健所が厚生労働省(を経由して食品安全委員会)に問い合わせるかの判断は、法令に照らし合わせて行われます。

例えばShojinmeat Projectにて公開されているようなDIY細胞培養肉であれば、基本的に一般人でも買える食品や調味料(食品添加物)の類しか使っていないので、原材料はセーフです。実際にDIY細胞培養をやった人は痛感していると思いますが、コンタミだったり衛生管理の方法がまだ確立していないので、今はまだ衛生管理の点でNGでしょう。ただ、衛生管理は設備機械の問題なので本質的な所ではありません。

海外の純肉スタートアップでは、成長因子を入れたり、増やす細胞を不死化するなどがおこなわれていますが、これはほぼ確実にNGです。成長因子は食品の原材料としては新規で安全性データも乏しく、不死化は遺伝子組み換え食品にほぼあたるので、食品安全委員会行きです。

「デザイナー・ミート」など、栄養を増強したり健康効果のあるものは「医薬品」や「機能性食品」の類となり、特にその効果を謳って売るのであれば「景品表示法」という話になります。つまり効果を主張する根拠をちゃんと出せば、それをパッケージに書いていいよ、ということです。でも、この「効果を主張する根拠をちゃんと出す」のところは、数億円がかかる臨床試験だったりで、かなり重いです。

なので結論から言うと、衛生管理がしっかりしていて、「デザイナ・ミート」の類の主張をしていなければ、DIY細胞培養や、それに基づいた方法で作られた培養肉は、そもそも厚生労働省や食品安全委員会に問い合わせる法的根拠が保健所には無いことになります。

逆に言うと、培養肉の扱いが厚生労働省の中でもまだ流動的な中で、デザイナー・ミートや成長因子、不死化を持ち込んでしまうと、細胞農業製品そのものを規制する方向に話が飛んでしまうので、要注意といえます。

CampfireやTwitterなどを通じてShojinmeat Projectや純肉・細胞農業を支援して下さっている方々には、この辺りの情勢も念頭に入れた情報拡散をして下されば幸いです。

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