【御礼とネクストゴールについて】
皆様のお陰で、目標金額を大きく達成することができました。
応援していただいた皆様には心から深く、御礼申し上げます。
『扇子の未来を次の百年へ』と繋ぐ旅路は始まったばかり。
次のゴールを120万円に設定して、リスタートいたします。
頂いた資金は、扇骨のつくり手にとどまらない、支援に遣わせていただきます。
扇ルームフレグランスかざは、白檀という香木を使った白檀扇から
デザインのヒントを得ています。
扇の一本一本を縫い合わせていくのは、簡単にそうに見えてとても難しいもの。
繊細な骨が割れてしまわないように、それぞれの柄が合うように、
そっと、きちんと、縫い合わせる技術が必要なのです。
この技術を残す職人の方はとても少なく、私の知る限りではお一人のみ。
今回いただいた資金は、この「かがり」という工程をできる作り手を
育成するために使いたいと考えております。
今だからこそ伝えられる技術を未来に伝えるために、できることから一歩づつ。
心からの感謝を込めて、一段下がったところから、御礼申し上げます。
大西里枝
□自己紹介
はじめまして、大西里枝と申します。京扇子の製造・販売を家業とする家に生まれ育ち、
今は四代目若女将としての修業をしています。
Photo by Tigertakashi & Maiko Fukuno.(licensed CC BY-SA 2.0) http://55maiko.net/
□1200年前の京都で発明された「扇子」
Photo by gaap & Maiko Fukuno.(licensed CC BY-SA 2.0) http://55maiko.net/
扇子は、平安時代の京都でうまれた伝統工芸品。約一千二百年間のもの間、その形を変えることなく、時代を超えて人々の生活に寄り添ってきました。
涼やかな風を呼び起こす便利品として、能や日本舞踊をはじめとした伝統芸能の小道具として、そして時には神への奉納品として。様々な用途でこの国の人々に愛されてきました。
□京扇子の素材と技術を使った商品で、産地の未来と作り手を育てたい!
扇子の材料である竹と、その加工技術を活かした新商品「扇ルームフレグランス かざ」を製造・販売することで、産地の未来を作ります。このプロジェクトに支援してくださったお金は、扇子の部材である「扇骨」の作り手を雇用し、育てる資金として運用します。
提携している企業との協力で、あらたな職人候補を雇用します。目標金額の約50万円で、約三か月間の雇用支援を実施したいと考えております。また、それ以降も、ルームフレグランス「かざ」の販売拡大につとめていくことで、安定した雇用継続に繋げていこうと考えています。
<扇ルームフレグランスかざ とは>
一般的な扇フレグランスはこのように、ラタンの棒状スティックが香料を吸い上げることで香りを発散します。
【従来のルームフレグランス】
一方、この「扇フレグランス かざ」は、扇子の材料である「扇骨」が香料を吸い上げ、
「香り」と「文様」でお部屋を飾ります。
【扇ルームフレグランスかざ】
香りを保つ力が高い扇骨(竹)の特性と、京扇子の加工技術を活かした、あたらしいルームフレグランスです。
<扇ルームフレグランスの魅力>
扇ルームフレグランス「かざ」は 香り と 文様 でお部屋を美しく彩る商品です。
文様をうつした薄い竹の繊細さ。清水焼のたおやかな色合い。お部屋にひろがる、ほのやかな香り。
器や香料についても、もちろん京都のメーカーがつくったもの。
□香料の種類
それぞれにご用意した香料は三種類。どれも京都の工房でつくられた、たおやかな香りです。
□器の種類
雰囲気や色をもとに、日本につたわる美しい名をあてたフレグランスたち。お部屋の雰囲気や、お好みでお選びください。
①翠
②素
③玄
器と香りはイメージをあわせ、セットで御用意しておりますが、おこのみの香りに変更していただくことが出来ます。(※違う香りをご希望の方は備考欄にご記入いただきますようお願い申し上げます。)
□「伝統産業は、先の明るい商売と違う」
私は、扇子屋を営む家にひとり娘として生まれました。大学卒業後五年間ほど企業に勤め、
一昨年ほど前に家業に戻ってきました。
父に会社を継ぐように言われたことは、一度もありませんでした。
家業に戻ってきたのは、出産中の里帰りで実家に戻ってきたときがきっかけでした。
幼いころから見てきた、職人の丸まった背中。
きらきらと雲母が輝く扇子の地紙。
扇面に広がる花鳥風月の世界。
遅くまで仕事場に残り、必死に家族を養ってきた、父の厚い手。
大好きな人たちが大切にしている、扇子という美しい工芸品。
幼いころに何気なく見ていた、あたりまえの景色。私の大好きな扇子を商売をしている家族の姿を
誇りに思っているからこそ、さらにこの商売を成長させて、未来へつなげたい。そう思ったわたしは、
会社を退職し、家業を継ぐことを決意しました。
「ええか、わしらが生きてきた時代と違う。昔ほど需要もない。伝統産業は、先の明るい商売と違うのは
分かってると思うけど、じゅうぶん、覚悟してやり。」
父にかけられた言葉の意味を分かりはじめたのは、それからすぐのことでした。
扇子は一人の職人さんがすべてを作るのではなく、細分化された分業制によって製造されています。
高齢の職人さんがお亡くなりになられるのも、珍しいことではありません。
そして、その職人さんには後継者がおられないことも多くあります。
「このままでは扇子業界は沈んでしまう。需要を作り続けるだけではいけないんだ。
需要を作りながら、作り手を育む、新しい循環を必要なんだ」と考えるようになりました。
□継続的な需要を作ろう。そして、作り手をはぐくもう。
扇子の工程は約87工程あると言われており、それぞれの工程にあたる職人はまんべんなく減少しています。中でも、特に危機的な状況にあると言われているのが、滋賀県高島で作られる扇子の骨となる部分「扇骨」の部材の製造です。
滋賀県高島は、江戸時代から続く扇骨の産地であり、今現在も高島の扇骨のほとんどが京都に出荷されています。
その品質は折り紙つきで、この高島扇骨を使用した扇子だけが「京扇子」と認められるほど。
扇骨の確保は伝統産業品である「京扇子」の将来性を語る上で外せない、重要なものなのです。
最優先に解決しなければいけないのは、「扇骨」の部材の製造と、それに携わる作り手。
そこで、扇骨に着目した商品開発に向けたプロジェクトをスタートさせようと考えたのです。
□扇骨のすばらしい特性を、最大限に活かせる商品をつくろう
何か、継続的に需要をつくれる商品を開発しなければ。そして、その商品を売ることで、つくり手を育成できるようなサイクルを作らなければ。そう考えて焦る日々が続きました。
気持ちと裏腹に、なかなかよいアイデアは浮かびません。最終的に商品開発の決め手となったのは、お客様の一言でした。
「扇子って扇ぐと、ええ香りしますけど、なんでですの?」
扇子を作る中で、扇面と扇骨(竹)を糊で接着する「附け」という工程があります。
骨を香料に浸した後に、附けにかかります。この一瞬の香りづけにより、約一年間ほど香りが継続します。
これは、0.5mm以下に加工された薄い扇骨に、毛管現象が発生しているためだと考えられています。
この特性に着目して作った新商品がこの「扇ルームフレグランス かざ」です。
もちろん、商品を販売して需要を底上げするだけでなく、つくり手への支援も両輪で進めなければいけません。
このプロジェクトのリターンを購入して頂いた代金から、サイト手数料/製造コストを除いた金額すべてを作り手の雇用と支援に使わせていただきたいと考えております。
□日本の扇骨を、世界のフレグランス市場へ
欧州における、フレグランス市場は日本の約20倍だと言われています。一家に一台ならず、一部屋にひとつはルームフレグランスが置いてある家も少なくないそう。
このルームフレグランスを、日本だけでなく、世界の需要に繋げられたら。そしてより多くの扇骨需要を開拓して、もっとたくさんの作り手を育みたいのです。このプロジェクトを軌道にのせ、海外の需要に応えられるだけの生産体制を整えて、より明るい未来を作りたいと考えています。
「伝統産業は、先の明るい商売だよ」
次の時代を生きるこどもたちに、胸を張ってそう伝えられる日が来るまで。
私たちのように小さな事業者ひとりひとりの取り組みが、伝統産業の、未来を明るく照らすのだと信じて、強く前に進んでいきたいと考えております。
みなさまのあたたかいご支援を、よろしくお願い申し上げ、筆をおかせていただきます。
ご高覧いただき、ありがとうございました。
大西里枝拝
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