はじめに

島根県大田市で活動しているNPO法人文化のタネといいます。
私たちは2021年6月に団体を結成しました。

私たちの暮らす大田市には、若者の集まれる場所がありません。飲食店という意味でも、いわゆる「居場所」的な施設もなく、中高生は図書館や公共施設のエントランスホールなどで時間を過ごすことが多いです。

もう一つ、大田市にないものが美術館です。
私たちは当初、大田市に多世代の交流を生む美術館をつくりたい、という思いで団体を結成しました。
「多世代の交流を生む」という視点を深めていくと、行き場のない若者と、他人に無関心・無理解な大人の多い社会的な課題がうかびあがってきました。

そこで私たちは、まちの課題を解決していくために、小さな美術館と十代の若者の居場所づくりを行うこととしました。


このプロジェクトで実現したいこと

日常生活はなんとかこなしているけど、居場所感がなくて生きづらい。そんな若者たちが安心して過ごせる居場所カフェをつくります。カフェでは低価格で飲食ができますが、お手伝いをすることで対価とすることもできます。飲食やお手伝いを介して、カフェの大人と若者が会話をしていくことで、自然とそこがその子の居場所になるような空間をつくりたいんです。

また、小さな美術館を併設することで、文化的な刺激のある場とするだけでなく、何かやってみたいことができた子は、それを地域の大人と一緒に具体化していけるような仕組みをつくります。

カフェオープンに向けて、コーヒーの淹れ方を練習中です

カフェ「サクラテラス」

拠点となるカフェは地名をとって「サクラテラス」と名づけました。2023年5月にオープン予定です。建物は、1950年代に建てられらた木造建築の病院跡です。数年前までカフェ店舗として利用されていた場所を、リノベーションして使用します。
メンバーには飲食店を経営するのに必要な資格をもつ人もいて、皆で協力してカフェをつくっていきます。


リノベーションも、可能な限り地域の大人や中高生のボランティアによるDIYによって行います。カフェそのものをつくるところから、「居場所」を得る体験は始まると思うからです。


けれど、電気工事やトイレ改修など、どうしても専門業者でないとできない作業があり、それには費用がかかります。そこで、クラウドファンディングでのご支援をお願いすることとしました。


わたしたちの暮らすまち大田市

大田市は島根県の中央部に位置します。北は日本海に面し、周囲は山に囲まれています。
出雲大社で有名な出雲市からは、車で一時間ほど西へ進んだところにあります。

ファストフード店は1軒。コンビニは2種類。
鉄道は海沿いだけを走り、バスは平均1時間に1本。
ですがショッピングセンターなどもあり、島根県西部ではそこそこの街です。

人口は約3万2千人で、15~19才の若者は約1200人います。

大田市には高校が二つありますが、大学はありません。島根県内にも大学はありますが、大田市からは交通の便が悪く、若者の多くが高校を卒業する年代になると、進学や就職のために大田市を出ていきます。


都会にあるようなものはないですが、シンボリックな形の三瓶山、鳴り砂の琴ヶ浜、広くて青い海に空、夜は満点の星空と、自然がとても豊かな地域です。知る人ぞ知る世界遺産「石見銀山遺跡とその文化的景観」などもあります。


解決したい社会課題 ー「居場所」感のない若者の存在 ー

地域の実態を探るため、私たちの団体では高校生118人を対象に、居場所に関するアンケート調査を行いました。その結果、家や学校以外の居場所が欲しいと回答した子のうち、約20人が「保護者と仲が悪いから」や「家の居心地が悪いから」などの理由をあげました。

一見普通に生活をし、学校にも通っている子どもの中には、家庭環境になんらかの問題を抱えながら、つらさを我慢して過ごしている子どもがいます。

そのような若者たちが安心して過ごせる居場所をつくりたい、という想いから居場所づくりのプロジェクトを始めました。

若者の家庭環境をとりまく問題は複雑化しています。確実にいえることは、居場所感がなく生きづらさを抱えたまま大人になっていくと、それが次の世代に連鎖するということです。

私たちは若者支援という形でその連鎖を断ち切りたいと考えています。


なぜ「居場所カフェ」をつくるのか

生きづらさを抱える若者を支える仕組みは、フリースクールや放課後等デイサービスなどさまざまな形があります。
ですが、それらの仕組みは親が子どもの異変やサインに気づき、親がバックアップする形で通うことができます。親が無関心であったり、子どものしたいことに対して非協力的であったりすると、その子どもは支援の網からこぼれてしまい、生きづらさを抱えたまま大人になります。そうして、生きづらさの連鎖がうまれてしまいます。

私たちは、子どもが自分の意志で訪れることができ、第三者であっても「自分に関心を示してくれる」大人に肯定的に受け入れられる場所をつくることで、この課題を解決したいと考えています。

そして、なぜ「小さな美術館」をつくるのか

私たちのアンケート調査で見えた、生きづらさを抱える子どもたちの存在は、実は学校や地域の大人も気づいていない事実でした。ともすれば社会から孤立してしまうかもしれない若者の存在に、地域の大人が気づいていなかったり、無関心だったりする実態があります。

LIFULL HOME’S総研の「47都道府県の寛容と幸福、人口移動に関する調査」※で、私たちの暮らす島根県は寛容性の高い都道府県ランキングの最下位でした。寛容性は他者を受け入れたり、理解して支えあう社会をつくるのに必要なものです。

残念ながら大田市でも、UIターンの人が来てもなかなかなじめずに出て行ってしまう事例があります。若者を支えるには、地域の大人の寛容性や他者理解の促進が必要になってきます。寛容性の向上に効果的なものが、文化芸術だといわれています。

だから、居場所カフェに併設する小さな美術館をつくります。

小さな美術館が、若者と地域の大人の交流の拠点となり、地域の大人の寛容性や他者理解が進むことで、ひとりぼっちの人をつくらないまちにしたいと思っています。

また美術館があり文化的な刺激にふれることで、若者たちが都市部へ出ていったとき、都会で育った人との間の文化教養面での格差是正にもつなげたいと考えいます。
※LIFULL HOME’S総研 2021『地方創生のファクターX 寛容と幸福の地方論』より


必要な経費

旧松田医院さんの建物は2階建てで、全てを一度に直そうとすると500万円程度が必要になります。ひとまずは1階部分だけを直し、使いながら2階はゆっくり直していきたいと考えています。

今回ご支援をお願いするのは、1階の改修費用です。

いただいたご支援は、トイレ改修や電気設備工事、空調設備工事費等に使用させていただきます。

トイレ改修費     20万円
電気工事費        80万円
空調設備工事     100万円
その他        50万円(リターン経費、送料、手数料等)

<募集方式について>
本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。

実施スケジュール

【「サクラテラス」オープンまで】
1月中旬 改修工事
3月下旬 「サクラテラス」関係者内覧会
4月   プレオープン・検証作業
5月上旬 カフェ「サクラテラス」オープン
※天候や工事の進捗状況のため、当初から少し変更しています。


【「サクラテラス」がオープンしたら】
小さな美術館&居場所カフェという面を活かして、広く活動していきたいです。

・十代のためのお抹茶入門講座などの体験講座
・大人向けの物づくりワークショップなどの体験講座
・若者がオトナに教えるスマホ教室など、若者と一緒に取り組む企画
・展示室をギャラリーとして貸出し、多彩なアーティストさんとの交流機会づくり
・個別指導型の学習支援サービス(有償)

などを考えています。

講座などは開催しますが、基本的には、利用する若者たちは普段はここで自由に過ごしてもらいます。
自習をしても良いし、ただお喋りやゲームするだけも良いです。
「サクラテラス」は、一人でも多くの若者が「自分らしくいられる時間」を過ごしてもらう場所だからです。
もちろん、何かをやってみたい人がいたら、その実現の場としても機能させます。


【「サクラテラス」の運営について】

運営が軌道に乗るまでの1年程度は、土日と火曜日(大田市の図書館等の公共施設の休館日)に、ボランティアスタッフを中心にカフェを開放する計画です。
施設の運営には、大人向けの体験教室の収益や学習支援サービスの利用料をあてていきます。

NPOのメンバーには多様な経歴や世代の人がいるので、それぞれの得意を活かしながら、若者たちの受け入れや事業の企画を行っていきます。「サクラテラス」で活動する中で深刻な問題を抱える若者を見つけた時には、専門機関と連絡を取りながら対処していきます。


リターン

  1,000円・・・お礼のメール
  3,000円・・・お礼のお手紙+オリジナル缶バッチ
  5,000円・・・お礼のお手紙+特製クリアファイル
  10,000円・・・お礼のお手紙+特製手ぬぐい
  50,000円・・・お礼のお手紙+全部セット(缶バッチ・クリアファイル・手ぬぐい)+ネームプレート(白黒)掲示
100,000円・・・お礼のお手紙+全部セット+「サクラテラス」にネームプレート(カラー)掲示
300,000円・・・お礼のお手紙+全部セット+「サクラテラス」にネームプレート掲示(カラー)+展示室の7日間利用券


むすび

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

私たちの暮らすまち大田市は、いわゆる「田舎」のまちです。人と人のつながりが強い反面で、自分たちのもともとのコミュニティと異なるものは、なかなか受け入れるのが難しいことがあります。例えば、一人親世帯や貧困家庭、ヤングケアラーの問題などは都会のことだと、どこか他人事に受け取っている人も多いのが現状です。

けれど、目立たないところでしんどい思いをしている人は、田舎の大田市に実際に存在します。地域の中で孤立したり、ひきこもりになったりする人や若者もおり、一度ひとりぼっちになってしまうと、どんどん地域のつながりの中から置き去りにされてしまいます。

私たちのつくるカフェ「サクラテラス」が、つらい気持ちを我慢して孤立していく若者たちの居場所となり、ひとりぼっちになってしまうことを防げればいいな、と思っています。

また、私たちの活動を発信していくことで、地域にある課題に気づく人も増えて、地域全体で若者やしんどい人を支えようという雰囲気になってほしい、という願いもあります。

島根の小さなまちでの挑戦ですが、どうかご支援のほど、よろしくお願いいたします。


NPO法人文化のタネとは

島根県大田市で活動しています。
2021年6月にメンバーが団体を立ち上げ、9月にNPO法人となりました。
メンバーは、30~70代まで。
元保育士・教員、社会教育や福祉関係者、店舗経営者から美容師まで、幅広い年代と経験の人が集まっています。

私たちには、まだ拠点となる場所がありません。

そのため、これまでは廃業した料亭の宴会場をお借りして、仮設の会場を組み、高校生と一緒にアート展を開催するなどの活動をしてきました。2022年3月に開催したアート展は、二日間の会期の間に127名の来場者がありました。来場者アンケートの結果も、とても好評でした。


【さいごのさいごに】
NPO法人文化のタネ、代表理事の野島智実と申します。
この度は、私たちのプロジェクトに関心を寄せてくださり、本当にありがとうございます。

さいごのさいごに、なぜこの団体やプロジェクトを立ち上げるに至ったのか、少しお話しさせてください。

私達の団体は、皆それぞれが本業を抱えながら活動しています。私も、普段は考古学関係の仕事をしています。
東京出身で仕事を求めて大田市に流れつき、10年以上が過ぎました。
仕事をする中で気づいたことは、文化のないところには産業は成り立たないということです。
もちろん、いろいろな考え方はありますが、地域の強みや特色ある文化があって、はじめてその地域ならではの産業がうまれます。産業ができ、文化がまた成熟していって新しい産業がうまれる…そんな連鎖があると私は考えています。

大田市は、市の財政状況が厳しいため、「産業振興」を優先し文化振興は置き去りになっています。
行政ができないのなら、民間からどうにか流れを変えていけないか。そんな想いに賛同してくれた仲間と一緒に、「文化のタネ」という団体を立ち上げました。

私達がつくる小さな美術館は、ただモノがあるだけの展示施設ではなく、対話と交流によって新しい文化の芽吹く場となってもらいたい。

メンバーでそういう対話を繰り返す中で、いま若者の居場所がなく、世代を越えた交流が少ないという話になりました。
若者の現状を調べていくと、不登校や「保健室登校」の子が多いこと、「居場所感」のない子が存在するなど、見えていなかった課題が見えてきたのです。そんな課題を抱える若者たちは、放置しておけば地域で孤立したり、引きこもりになってしまう可能性があります。

私自身が中高生の時はどうだったかというと、実は我が家も問題を抱える家庭で、いつも受け入れてくれる大人や、居場所を求めていました。家にいるのが嫌で、学校のない日は朝から閉館まで図書館で自習や昼寝をして過ごしていました。
私はまだ我慢していましたが、弟は家出を繰り返していました。
誰かに認めてほしいとか、褒めてもらいたいと思うのは甘えなんだと言い聞かせて過ごした結果、自分を肯定できない大人になりました。自分を肯定できないと、社会生活で人間関係がうまくつくれなかったり、心を病んでしまうなどとても苦労をします。

今、家や学校に心を許せる人や場所がなくて我慢している子どもたちに、同じ経験をさせたくありません。
だから、小さな美術館と併設する居場所カフェをつくることとしました。

ここに来れば、信頼できる誰かがいる。ワクワクする何かがある。
成長して大田を出て行った後でも、しんどい時はいつでも安心して帰ってこれる。
そんな場所を作りたいんです。
団体のメンバーと、そして、共感してくださる皆様と一緒に、そんな素敵な空間が作れたらいいな、と思っています。

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