まじめで勤勉、高潔な人々という国名にもあらわれているブルキナファソの人々。
しかし、そこには厳しい現実がありました。
私たちハンガー・フリー・ワールドは、25年以上にわたり、ブルキナファソを含むアジア・アフリカの4か国で活動してきました。ブルキナファソ前活動地での16年間の活動を終え、私たちは2021年に新たな事業地として、バゼガ県のヴォセ村とワルドゴ村の人々と出会いました。
首都から70キロ以上離れ、車で3時間以上かかる場所にあるその2つの村。村と周囲の町をつなぐ道路が未舗装であるため、雨季にはぬかるんだり、川ができて道が塞がったりして通れなくなることもしばしばです。そうした環境の中でも、負けずにひたむきに暮らす、「ブルキナファソ=高潔な人々の国」という国名のような、真面目で勤勉な性格の人びとが暮らしていました。
そんな村の人々ですが、現地で調査を行ったところ、厳しい現実が浮かびあがりました。村には小学校があるものの識字率は低く、井戸が足りないためきれいな飲料水を得づらいです。ヴォセ村には医療機関もなく、5歳未満児の約7%が中〜重度の栄養不良を抱えています。住民たちからは、これまで教育等の支援の手が入ってもプロジェクト終了後は何も残らず、外部からの支援に期待が持てないという声もありました。でもハンガー・フリー・ワールドが何度も村に足を運び、住民たちの声を聞くことを行った結果、住民たちは今の状況を打破するための活動に関心を持ってくれるようになったのです。
なぜ「食べられない」のか?
ブルキナファソは、サハラ砂漠の南に位置する内陸国で、乾燥した厳しい気候が特徴です。国民の大半は自給自足の小規模農家であり、雨水に頼る伝統的な農業を営んでいるため、気候の影響を受けやすい状況にあります。さらに、土壌の劣化による農業生産性の低さも重なり、常に食料不安に直面しています。こうした問題は、近年の気候変動による干ばつなどにより、さらに深刻化しています。
活動地ワルドゴ村、ヴォセ村でも、住民の99%が土壌劣化を経験していますが、本来あるべき農業当局からの技術指導を受けたことがなく、どう対処すればよいのか分からないという状況に置かれていました。住民たちが問題への対応策を学び、実践する力を付けることが必要です。
厳しい環境に加え、近年では周辺6ヵ国と接する国境地域で、武装集団によるテロや誘拐事件などの暴力が頻発しています。その結果、4万2000人が壊滅的な食料不安に陥り、200万人以上が避難民となっています *1。しかし、国際社会からの支援は十分に行き届いておらず、ブルキナファソは「世界で最も忘れられた危機」として2年連続で1位となっています。
ブルキナファソにおける不条理な暴力
・2014年10月 25年間のコンパオレ政権が反政府デモにより失脚
民主化が進展するが政情不安が続く
・2016年~ イスラム過激派組織による襲撃や誘拐事件が頻発
・2022年1月 ブルキナファソ国軍がクーデターにより権利を掌握
・2023年11月 ザオンゴ村にて女性とこどもを含む100名近くが武装勢力により殺害
・2024年8月 バルサロゴ村にて武装勢力の襲撃により女性とこどもを含む600名近くが殺害
※これらの事例は一例であり、不条理な暴力と言える事態は各地で起きています。
ハンガー・フリー・ワールドでは2020年にブルキナファソ憲法に国民の「食料への権利」保障する条項を盛り込むよう活動をすすめていました。この取り組みは新憲法の草案作成まで進展しましたが、2022年初頭のクーデターにより中断を余儀なくされています。
*1:The world’s most neglected displacement crises in 2023 (NRC)
住民たち自身がみんなが食べられる地域を作ります!
住民たち自身による5か年計画を応援
2025年4月より、活動地ヴォセ村、ワルドゴ村の住民たち自身による「みんなが食べられる地域づくり」を目指すための5ヵ年計画がスタートします。
住民たち自身が農作物の生産量減少の原因を調査し、解決策を考え、活動を計画します。この計画の中心には、住民たちが自らの意志で活動内容を決め、実施するという共通理解があります。
支援がなくとも自分たちで問題を解決できる力をつける
ハンガー・フリー・ワールドは「食料への権利」を実現するため、住民が自分たちの未来に対して決定権を持ち、自分たちが必要と考える地域活動を続けられるように、エンパワーする活動を行ってきました。
住民たちが自分たちで問題に立ち向かい、現状を打破する力があれば、気候変動、不条理な暴力といった新たな課題が次々に起こる厳しい環境の中、ハンガー・フリー・ワールドの支援が終わった後でも、生活の根幹である「食」を守り、生活を安定させることができます。そうした「レジリエンス=困難な状況・出来事に遭遇してもしなやかに立ち戻る力」をこの活動で住民たちが身に付け、自立を目指します。
村人たちの「成功体験」を応援
2024年度はパイロット事業(お試し事業)を実施し、住民たちが自分たちで地域の抱える課題を把握し、どの分野で活動するかまでを自分たちで考えて実行し、成果を実感することで成功体験を積むことを目指しました。
結果、住民たちは研修の学びを活かして土壌改善のためのたい肥作りに取り組み、トウモロコシやゴマの生産を実施した結果、良い生育状況で収穫ができました。
これは住民たちにとってとても大きな「成功体験」になりました。
2024年度に積んだ成功体験によって、住民たちはやる気に満ちており、次の5年間で本気で自分たちの状況を打破しようと頑張っています。
2025年4月、今まさにスタートする住民たちの「みんなが食べられる地域づくり」に向けた挑戦を、クラウドファンディングでぜひ応援してください。
住民たちの声
支援は2年で目に見える形で現れています。研修の実施、農業機材の支給、雨期前には種や肥料配布が行われ、生産性の向上に貢献しています。
それは実際、私たちの畑で目に見える成果となっています。昨年よりも良い収穫が期待できると確信しています。
「犬の喜びは尻尾の動きで分かる」
(嬉しいときは行動や言動から気持ちがにじみ出るという意味) とモシ族の諺にあるように、私たちはヴォセ村での支援に心から感謝しています。
私は27歳で2人の子どもがいます。
ここ5年間、私たちの作物の農業収穫量は少なくなり、減少していました。
これは、土壌の貧弱さ、適さない種子、気候変動が原因です。
しかし、今年ハンガー・フリー・ワールドが私たちに種子や肥料を支援してくださったおかげで、2024年には非常に良い収穫が得られるでしょう。私たちはそれを肌で感じ、畑で実際に目にしています。
※住民たちの声は2024年10月時点のものです。
ご支援金の使い道
国内の金融行政方針等を踏まえたCAMPFIREの方針により、当クラウドファンディングでの支援金はブルキナファソ本国へ送金することができません。
そのためみなさまからのご支援は、ブルキナファソでの活動を推進するために必要な国内における経費に使わせていただきます。
ハンガー・フリー・ワールドは、現在支部国への送金を止めておりません。
不条理な暴力に見舞われているからこそ支援が必要な中、国際社会からの支援が届かない状況は、ブルキナファソを更に孤立させる事態になります。
気候変動と理不尽な暴力にも負けず、自身の手で「みんなが食べられる地域づくり」を目指す住民たちの5年間の挑戦を、応援してください!
寄付金控除(税制優遇)について
ハンガー・フリー・ワールドは、2023年に東京都より認可された認定NPO法人です。当団体へのご寄付は寄付金控除(税制優遇)の対象になります。
たとえば1万円寄付した場合
所得税:(10,000円-2,000円)×40%=3,200円が控除されます。
東京都在住の場合(地方税分の寄付金控除も受けられます)
所得税+地方税:(10,000円ー2,000円)×50%=4,000円が控除されます。
最新の活動報告
もっと見る【応援メッセージ】認定NPO法人ハンガー・フリー・ワールド副理事長 原田麻里子
2025/04/08 07:38本日も当クラウドファンディングへの応援メッセージをご紹介します!本日は前理事長で、3月20日からは副理事長に就任いたしました、原田麻里子からのメッセージです。 ━━━━<応援メッセージ>━━━━ 「住民参加の地域開発は国際協力の手法のひとつ。よく使われる言葉だな」という印象を持たれるかもしれません。しかし、ここに至るまでには、2021年に支援を終了した事業地で、15年以上にわたってブルキナファソ、日本双方の職員が積み重ねてきた、たくさんの試行錯誤と経験が詰まっていて、その経験があるからこそ、いま取り組んでいる参加型開発が活動地の未来を変える力になると信じられるのです。どうかブルキナファソ支部の新しい挑戦を応援してください! 認定NPO法人ハンガー・フリー・ワールド 副理事長 原田 麻里子 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ もっと見る【応援メッセージ】認定NPO法人ハンガー・フリー・ワールド理事長 鶴見和雄
2025/04/07 06:26当クラウドファンディングにあたたかいご支援を頂き、誠にありがとうございます。ご支援と共にあたたかい励ましの言葉も頂き、とても嬉しく思っております!本日からは、当クラウドファンディングへ頂いた応援のメッセージをご紹介して参ります。一人目は、3月20日に認定NPO法人ハンガー・フリー・ワールドの新しい理事長に就任いたしました、鶴見和雄からのメッセージです。国際協力NGOの業務に携わり、今年で25年目となります。この間、国内外の多くのNGOと共に歩み、SDGsに掲げる開発課題に日夜取り組んできました。その立場からすると、ハンガー・フリー・ワールドは設立以来、一貫して途上国での食料問題に果敢にチャレンジし、目覚ましい成果をあげているNGOと考えています。また内外に向けても高い説明責任力と透明性を達成しています。若い世代が高い使命感を持ち牽引し躍動するハンガー・フリー・ワールドに是非ご支援を宜しくお願い致します。 認定NPO法人ハンガー・フリー・ワールド理事長 鶴見 和雄 もっと見る
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