2023/09/03 09:18

トンガリーズ顧問の森田です。

イベント終了から1週間、後片付けや後援団体への事後報告、書類の作成に支払いなどに追われ、落ち着いてイベントを振り返ることが出来す、皆さんへのご報告が遅れてしまったこと大変申し訳なく思っております。

8月26日(土)、無事に「平塚こども縁日」を実現できたことをご報告させていただきます。

イベント当日は、終盤に雨に降られてしまいましたが、総勢100名のスタッフで運営し、たくさんの笑顔を生むことが出来ました。

人と人の温かな繋がりを感じるコミュニケーションをスタッフの皆さんが心がけてくれたおかげで、幸せな空間となりました。

「平塚こども縁日」を実現できたのも、一重に皆様の暖かいご支援があったからだと改めて感謝申し上げます。

思い返せば、1年前。

企画者である高校3年生の川島那月が、「自分の想いをカタチにしてみたい!」と口にしたことがきっかけでした。

トンガリーズが昨年実現したプロジェクトである「箱根での林間学校」の時からメンバーに加わった川島ですが、最初は遠慮がちで、自分のことを多く語らない高校生という印象でした。

そんな彼女が、箱根での林間学校を終え、「自分でプロジェクトを立ち上げたい」と言うとは思ってもいませんでした。

最初は、「何をやってみたいの?」と聞いても、「うーん。」って言う感じ。

「誰が喜んでくれるとあなたは幸せなの?」「どんな自分になりたいと思っているの?」「これまでで許せないなと感じた出来事は何かあったりする?」

何を聞いても「うーん。」から入る。笑

「これは時間がかかりそうだぞ。。。」と思いながら、彼女が自分と向き合う時間、過去の出来事を振り返る時間を長く、深くとるようにしていきました。

いくつもの問いを通して、彼女のことを理解していくことが出来ました。

好奇心と愛情に溢れ、遠慮がちではあるけれど人のことが大好きで、間違っていることは間違っていると自分の思いを口にすることができ、行動することで未来を切り拓いてきた自分の心に素直な子なんだと。

約3ヶ月ほど、週に1回コミュニケーションをとり、「誰がどうなってくれれば、あなたは幸せなのか?」と言う問いの答えが徐々に明確になっていきました。

将来、看護師になりたいこと、手話に関心があり手話教室にも通っていること、子どもが喜んでくれている姿を見ることが好きで、そのために自分の力を発揮したいと考えていること。

「自分と向き合う作業」を彼女自身、根気強く続けていきました。

紆余曲折はありながらも、耳の聞こえない人たちに何かをしてあげたいというスタンスではなく、耳の聞こえる人たちが無意識に抱いている「聾者との心の壁」を取りはらえるようなプロジェクトを実現したい、という方向性に固まっていきました。

穏やかな時間が流れる地元が好きで、人との繋がりから多くのことを学んできた彼女が、「誰もが人との温かい繋がりを感じられる地域社会を創っていきたい。」と感じるのは必然だったように思います。

いくつものピースがハマるように、聾難聴と健聴の小学生たちがコミュニケーションを楽しみながら、たくさんの笑顔を地域に生んでいくことができる「平塚こども縁日」にたどり着いたのが、昨年の12月。

そこからは怒涛の日々でした。

よく、今年に入ってから9ヶ月の間ここまでやって来れたなと、思い出したら笑ってしまうほど。笑

準備の段階でスムーズに物事が進んだことなんて、たった一度もありませんでした。

右を見ても、左を見ても、壁壁壁。

次の壁はどうやって乗り越える?

超えられなかったら、次はどんな方法を用意しておこうか?

仲間がなかなか増えない。ろう難聴の小学生ってどうやって募集する?

お金めちゃくちゃかかるね。集められるかな?

もう、ここに書ききれないくらい、「平塚こども縁日」実現のために、やること、考えることの山やまヤマ!!

なかなかプロジェクトが前に進まず、疲れもたまってきたある日のミーティングで川島に聞きました。

「たくさんの人を巻き込んで実現しようとしている手前、俺も結構プレッシャーをかけたり、甘えを許さなかったりする部分もあると思うけれど、森田嫌だなとか、苦しいなとか、やろうとしたことを後悔したり、辞めようと思ったりしないの?」と。

そうすると川島が「苦しいなとか、もっと自分がしっかりやらないとなと思うことはあっても、辞めようとか、森田さんが嫌とか、そんなことを思ったことは一切ない。むしろ感謝しています。」という言葉が返ってきて、「自分も最後まで何があっても諦めないぞ」と心に誓ったことを覚えています。

正直、「もっとちゃんとやりなさい!」と思う時もありました。

部活を言い訳に、試験を言い訳に、いろんなことを言い訳にせずに、自分で立ち上げたプロジェクトに120%を注ぎなさいと思う事もありました。(※ 直接言ってはないです。笑)

それでも、普通に考えてみれば、1年を超える長丁場、上手くいかない事だらけの中、よく最後までやり切ったなと思っています。

イベント後、涙する彼女の姿を見て、「ずっと自分と闘い続けていたんだな」と、目頭が熱くなりました。本人は、「私が人前で泣くところなんてレアですよ!!!」と訳のわからないことを言っていましたが。笑

ちなみに、涙を流していたのは、彼女だけではありません。

他のトンガリーズのメンバーも胸熱なことを言っていました。

「自分は(体調の関係で)通信制の学校に通っているから、もしクラスがあったらこんな感じなんだなと、仲間がいることの幸せを感じることができてとても嬉しかったです。」と言う子。

「トンガリーズのメンバーは、みんな変わっている。(笑)だから、自分が変わっていても、受け入れられている安心感が温かかったです。」と語る子。

「『泥臭く、泥水を啜ってでも前に進め』と言っていた森田さんの言葉が、何のためにあったのか、今日たくさんの人の笑顔を見て、ようやく分かった気がします。」と言ってくれる子。

苦しい、辛い、やめてしまいたい。

そんな谷を越えて、一緒に笑い、一緒に涙し、一緒に心に刻むことができた仲間の存在を喜びあえるプロジェクトになりました。

本当に、実現のために背中を押してくれた皆さんには感謝しかありません。

文字を打ちながら涙が流れてくるほど感謝しています。

「僕が涙を流すことなんて、レアですからね!」とでも言って誤魔化しておきます。笑


交流会のたびに、「今日はどんなことをするの?」と楽しみにしてくれていた小・中学生。

どんなことでも積極的に手助けをしてくれたボランティアの方達。

トンガリーズやプロジェクトに共感してくれた行政、民間、地域団体の皆さん。


たくさんの方の支えがあり、プロジェクトの終了を迎えることができました。

このプロジェクトの真価は、関わってくれた子どもたちが10年、20年後に見せてくれると思っています。何も、すごいことをして欲しいと言うわけではありません。

ただ、自分の将来にワクワクしながら、自分の手で人生を創り、デコもボコも楽しみながら笑って前に進んでくれる子どもが1人でも増えることことを期待しています。


人との温かい繋がりを感じさてくれる機会を。

心に大切な存在を増やしてくれた機会を。


そんな、人生にワクワクしていく機会を皆さまからいただきました。

トンガリーズに、そして僕に、全力で生きる機会を与えてくれてありがとうございました。

クラファンのリターンについては、9月中にお送りできるように、準備していきますので、今暫くお待ちいただけますよう、ご理解いただけますと幸いです。

今後とも、トンガリーズをよろしくお願いいたします。


トンガリーズ顧問 森田鉄平