2022/11/05 19:28

漆の塗場は蒔絵場と共有です。

当初はデスク&チェアの設えも検討しましたが、座布団であぐら仕事が総合的に良いと判断しました。

そうなるとやはり部屋には靴を脱いで自由に移動できる設えが好ましいので、部屋全体にコルクを敷くことに。

昭和6年と墨で書かれた下駄箱が良い感じです。

漆室(うるしむろ)は、ガラスにすることで作り手も見学者も中の様子を視認できるようにしています。

最大6人程度の塗師または蒔絵師が利用できる設計ですが、レイアウトは使い手の動線などを考慮し、使い手が動きやすい配置に変更予定です。

そしてこの部屋は負圧。隣接する上塗り場にゴミを流してはならないので、大切な部分です。

そして隣は「上塗場」です。

会津塗は「花塗」という研がずに塗りっぱなしで仕上げる技法が特徴。部屋の中にゴミがあると塗膜に付着して製品にならないので、せいぜい2名が気を遣いながら宙にゴミが舞わない配慮をしながら作業を行う配置にしています。

夫々に「置き室」を配置し、湿度を与える室と空室を使い分けらるようにしています。

中央には、幅2mの回転室。それぞれがあまり体を動かさずに利用できる配置にしています。

機械が設定した時間で回るので、漆塗膜が重力で下にたまるのを防ぐ仕組みです。昔は若手が夜中に何度も起きてひっくり返す作業をしていましたが、ここ数十年はこうした機械のお陰で楽になりました。

塗師は自宅の部屋で仕事をするのが通例なので、一般の方が仕事を見れる機会はほとんどありません。ましてやゴミを嫌う上塗場はメディア取材ですらなかなか機会がない場ですので、来場者にはとても希少な体験をして頂けます。

本格稼働は、既に卒業していて塗場に困っている若手への対応から。直ぐに会津漆器技術後継者訓練校の次期卒業生の動向も分かってきますので、この冬から徐々に活用されることになります。

会津塗関係者だけでなく、他所や他産地にお住まいの作り手でお困りの方、興味がある方がいらっしゃったらお声がけ下さい。会津に移住さえできれば、この場を有効に活用頂けます。

建物1階には端から端まで全フロアに床暖房システムが入っています。寒くない環境で仕事に向き合えると思います。