2022/02/20 07:00

(※本活動報告掲載の表紙および誌面イメージは制作中の仮のものです)

宇野常寛です。
この『モノノメ #2』のクラウドファンディングも、今夜0時で終了です。今回もたくさんの支援をありがとうございます。残り24時間を切りましたが、まだ間に合うので、興味のある人はぜひこのタイミングで購入をよろしくお願いします。

さて、この『モノノメ』は、批評や寄稿文、小説やルポルタージュの載ったいわゆる「総合誌」です。ただ、普通の総合誌とちょっと違うのは、あまり時流に「ノッた」ものを扱わないことと、写真やイラストをふんだんに使っていることです。あまり時流に「ノッた」ものを扱わないのは、この雑誌が僕の提唱する「遅いインターネット」という運動の一環だからです。僕はタイムラインでシェアされる話題に大喜利的に答えてポイントを稼ぐゲームにも、そのゲームに勝つために「やらかした」人に石を投げることで誰かを貶めたくて仕方がない卑しい読者を集める政治家や言論人たちにも、軽蔑しか感じません。ただ、こういう人たちを批難するのではなくて、自分ならこうするという対案を示すことで対抗していきたい。そう思って僕はこの運動をはじめました。だから基本的にこの雑誌には、そういった相互評価のゲームに夢中になっている人は出てきません。そうではなく、タイムラインの潮目とは無関係に、本当に価値のある問題設定を試みている人たちだけを集めているつもりです。

そして、写真やイラストをたくさん使用して、デザインに凝っているのはその読書体験が「楽しい」ものでなければいけないと思うからです。誰かを貶めて「あいつら」より自分はマシだ、「まとも」だという安心(思考停止)に対抗するために、僕は部屋で独りで雑誌を開いているだけで、誰とも比べることなく充実できる時間を提供したい。だから、人間同士のつながりではなくあえて人間とモノとのつながりの力を活用したい、そう考えたわけです。

ただ……はじめてみて改めて分かったのだけれど、この路線で、この内容の雑誌を作るのは想像以上に制作費と時間がかかります。現場からはもっとここに予算を使いたいと突き上げられては創意工夫でなんとかして欲しいと頭を下げ、広告も集めようと思っては「特集がSDGsとかだったら……」と苦い顔をされるなんてことを繰り返しています。そういう背景があって、このクラウドファンディングにも頼って制作しているのが実情です。

でも、どんなつらいことがあっても創刊号を手にとってくれた人たちが面白かった、他の雑誌では絶対にできないことをやっている、そう言ってくれたのを思い出して、がんばって作り上げています。いまはまだ、部数も出ないし、続けていくのがやっとの雑誌ですけれど、これを2年、3年と続けていけば必ず、この雑誌は少しずつ浸透して、タイムラインの潮目を読み合うゲームよりもずっと、こっちのほうが長い目で見れば本質的で、深いことを扱っているともっと多くの人に理解してもらえると信じています。それが10万人とか、100万人じゃなくても良い。今の何倍かの読者がいれば、もっともっとやりたいことを、スタッフにいい環境を作った上でじっくり創ることができるようになる。それが僕の野望です。

この雑誌はまだヨチヨチ歩きをはじめたばっかりで、ちょっとした感染症や家庭内事故で亡くなってしまうような存在です。でも、全力で、じっくり育てていきます。今号でできなかったことは次号で、それでできなかったらまた次号で、少しでもたくさんかたちにしていきます。そうやって、最高のものを目指していくので、みなさんもじっくり付き合ってくれたら嬉しいです。すぐ古くなるようなことは扱っていないので、次の号が出る半年後まで、ゆっくり読んでください。
(そしてもし、創刊号やこの第2号が面白かったら、周囲にオススメしてあげてください。)

それでは、今日の夜0時まで、よろしくお願いします。このクラファンが最速かつ、特典付きで購入できる機会なのでぜひ、気になった人はここから購入してください。よろしくお願いします。