1.はじめに ・ご挨拶

はじめまして。株式会社necco(ねっこ)代表 梶谷美由紀と申します。

島根県大田(おおだ)市三瓶(さんべ)町、三瓶山の麓、西の原という原っぱの前で、大田市の指定管理者としてレストハウス(休憩所)「山の駅さんべ」を運営しております。  

最初に少しだけ、私たちが拠点にしている三瓶と、山の駅のことを。

国立公園三瓶山は、国立公園になってもうすぐ60年、手つかずの自然と、人の営みとが共生している山です。

特に西の原は、江戸時代から続く放牧牛がいる風景がひろがり、その美しい景観は、春の火入れ(山焼き)や近隣住民による芝生の手入れ、環境保護団体による絶滅危惧種保護活動など、沢山の人々によって守られています。

4000年前に噴火した、火山灰の土壌で、高原野菜やお米の栽培、そして、湧水や温泉も豊富な活火山。   

山の駅さんべのある西麓・西の原からの三瓶山。左が1番高い男三瓶山(1126m)右が子三瓶山(961m)


こんな素敵な場所でお店を運営し始めることになった経緯は、話せば長いので割愛しますが、三瓶愛が強すぎて、大田市の指定管理者として応募するために慌てて会社を作ったという破茶滅茶な歴史もあったりします。

いろいろなことがあった8年。現在2代目の代表として、いま、ここにおります。


「山の駅さんべ」という名は、道の駅のように、旅の入口、休憩にふらりと立ち寄りやすい場所になったらいいな、と思い名づけました。


2015年のオープン以来、「観光地の飲食店」としての立ち位置で、三瓶山の食や自然を通じて、三瓶山の素晴らしさを発信する拠点であることをミッションとし、育った場所と育てた人の顔が見える、地域に根ざした地産地消のお店を目指して、運営してきました。 

三瓶放牧牛のスジをコトコト煮込んだカレー

コロナ禍を経て、待っているだけの飲食店としての営業形態を見直し、三瓶の食や自然を通して発信できる商品の開発や、通販サイトを始めたり、試行錯誤の日々です。

三瓶の米粉と牛乳&平飼い卵…とことん地産素材にこだわった、グルテンフリーのカヌレは通販の人気商品




2.このプロジェクトでやりたいこと

私がやりたいことは、単刀直入に言うと、


国立公園や耕作放棄地にはびこる、嫌われ者の外来種「セイタカアワダチソウ」をアロマオイルにし、

この地域のお土産品、特産品にしたい。

ということです。


みなさん、セイタカアワダチソウってご存じですか?


秋に田んぼや河原、道端に沢山生えている、北米原産のキク科の黄色い花。

すでに日本に定着した帰化植物なのだそう。

まずは、なんでセイタカアワダチソウなのか、お話します。


3.セイタカアワダチソウとの出逢い

遡ること20年。長男を出産したとき、出産祝いに1冊の本をもらいました。

家庭でできる「自然療法」東城百合子

東京から北関東に移住し、畑をしながら田舎暮らしをしている大学時代からの友人からの贈り物でした。

彼女からの贈り物には、足元に何気なく生えている野草を取り入れた、いわば「おばあちゃんの知恵袋」が沢山詰まっていて、間違いなく、私の東京暮らしに新しい彩りを添える存在になりました。

足元のささやかな緑を楽しんでいました


私の生まれた1970年代に書かれたその本に、見開き3ページにわたって「セイタカアワダチソウ」の記述があったのです。

喘息・アトピーなどのアレルギーに効くとされ、花をお風呂に入れたり、お茶にするなどの活用法が紹介されていました。


私が上京する前の子ども時代、三瓶山周辺でセイタカアワダチソウは見かけなかったので、私はこの本でその存在を知り、いつか出逢ってみたい憧れの(笑)植物となっていました。



4.311を機に、東京から三瓶(島根県大田市)へUターン

平穏に子育てしながら東京暮らしをしていた私に転機がありました。


2011年3月11日、東日本大震災でした。

いろいろあって(中略)島根へのUターンを決めたのは、その年の秋。

(311を機に田舎移住した方、結構いるんですよね。私もそのひとりです。)


島根に帰ったとき出会った、三瓶のとある農園のお母さんに、その夏に悩んだこと、そして移住してきたことなどをお話したら「大変だったねぇ」と優しく声をかけて下さり。育てているブドウや、オクラの花など、畑にある美味しいものを沢山いただきました。他にも、近所の方から夏野菜の差し入れ多々…田舎では当たり前の光景ですが、そこで気付いてしまった。

作った人、育った場所が見える食べ物って、なんて贅沢なんだろう、と。 


今、山の駅で大切にしていることは、その時からずっと、変わりません。


…脱線しましたが、セイタカアワダチソウ。あの秋、車窓から見かけた花畑。そして、道路わきにもズラリと並んでいる、黄色い花。

「ああ、これが、かの植物、セイタカアワダチソウなのか!」と分かった時、小躍りしたのは言うまでもありません。


5.外来種は邪魔者、排除されるべきもの?

そして、もちろん採りまくりました。やっと出会えた憧れの植物ですもの。


アスファルトの隙間から。地下茎でも増殖するセイタカアワダチソウ


本に載っているように、刈り取って干して、煎じて(ちょっぴり苦いけどハマる味です)。

春にヨモギやワラビを摘むのと同じように、おばあちゃんの知恵袋を楽しんでいた私ですが、近所の人からはびっくりするほど嫌われ者でした。(世の中的にも、基本嫌われていますね)

誰に話しても、迷惑だ、増えて困る、身体に悪そう…悪口のオンパレード。なんとも悲しくなりました。


そんなこともあって、実際のところどうなんだろうと、色々調べるようになり。

セイタカアワダチソウは、秋のアレルギーの犯人とも言われますが、実は花粉の生成量は少ない上に比較的重い「虫媒花」で、形状も風で飛ぶのには不適であるため、無関係と考えられていること。同じ時期に花粉を飛ばす風媒花「ブタクサ」とよく似ているため間違われやすいと言われていることも。

国立公園三瓶山で店を始めた関係で、国立公園内でさまざまな自然保護活動している方とも知り合いました。絶滅危惧種を守る活動をされている方などにとっては脅威であること、自然保護・景観保全のため、駆除活動がされていることなども知りました。 

ブタクサ、よく探すと、セイタカアワダチソウの後ろに、地味に咲いていて、そりゃ目立つ方が犯人にされちゃうよね、と納得します。 

(ブタクサは地味です


***

2020年の秋の終わり、いつものように、子どもたちに手伝ってもらって道端のセイタカアワダチソウを摘み取っていたのですが、ふと、「これってアロマオイルにしてみたらどんな香りになるのだろう?」って思ったんです。

当時はネットで探しても、セイタカアワダチソウの精油を見つけることはできませんでした。

(フランスや北米産のオイルが輸入されていることを、後日知りました)


気になったら試したい…好奇心の塊な私は、我が子を巻き込んでドライブしながら、段ボール箱いっぱいに摘み取りし、アロマオイルにしてくれる会社をネットで探し、ワクワクしながら送りました。  

  

巻き込まれた息子たち(笑)段ボールいっぱいに詰め込んだセイタカアワダチソウ。
これが全ての始まりになるとは
初めてのアロマオイル。段ボールいっぱいの花から15mlの精油が出来上がりました。





返ってきたアロマオイルは、思いがけず、私の好みの香りでした。

セイタカアワダチソウのアロマオイルについて調べると、ヨーロッパのあるメーカーの品物ではGoldenrod精油として抗炎症作用、皮膚の収れん作用が謳われ、販売されている!

日本では、ただの駆除対象の嫌われ者なのに。


もともとは観賞用に日本に持ち込まれたといい、実はミモザにも似ていて、よく見ると可愛い花。

おばあちゃんの知恵袋として、古くから薬草として親しまれている一面もある。

活用しようと持ち込まれ、拡がったら外来種だ悪者だと嫌われ…人間の都合で、何と切ない話なんでしょう。

「駆除する為に抜くなら、それを逆手に取って、焼いたり捨てたりするんじゃなく、ちゃんと活用したらどうだろう?」と。


種が芽を出しました。



6.嫌われ者を、地域の新しい価値に。

嫌われ者のセイタカアワダチソウ。

きっと私は三瓶一、親しみを持って眺めているんじゃないか、と思ってきた10年来の日々でしたが、2021年、芽を出した想いを形にしようと、少しずつ動き出しました。


コロナで売り上げが落ちる中、私たちが小さく始められることからと、まずは県の観光の補助金で小さな蒸留器を手に入れ、花の摘み取りから蒸留、そしてアロマオイルを取り出す一連の行程を体験できる「体験プログラム」を企画しました。



悪者なだけではない、活用できることも知ってほしい。参加したお客様からは、摘み取りは収穫体験のようで楽しかったとか、秋の道端の風景が少し違って見えるようになった、なんていう嬉しいお声もいただきました。

そんな取組からスタートしましたが、理科の実験か魔女のようにちまちま蒸留する私を笑うこともなく、「飾ってみても可愛いですね」と、スタッフが小さなフラワーベースに挿して店内に飾ってくれたり。

嬉しいものですよね。 


国立公園でそれらを発信するのですから、もちろん、いいことも悪いことも、いろいろな方向から知ってもらいたい。この地で景観保全、環境保全などの活動をされている先人たち、取り組みに共感して下さり刈り取りを手伝ってくれている方にもお話を聞きました。

  

〈大田市林友会〉 
森林学習を通し林業や野山への関心を深める活動をしている、山を愛する人たちの会。森林学習の企画や、地元産の木を使った学習机の天板を学校へ寄贈したり、市内でも珍しい「ヨロイマツ」の保護活動等をしている。

〈NPO緑と水の連絡会議〉
自然環境だけでなく、福祉や国際交流など、幅広い分野で活動するNPO法人で、特に三瓶山周辺では、草刈りや野焼きなどを通じ、国立公園の草原景観の保全活動を進めていらっしゃいます。数年前から始まった、外来種駆除の活動もその一環。

〈大田の自然を守る会〉 
国立公園三瓶山など、大田市内各地で活動する自然保護団体で、希少野生生物の保護や生物多様性の保全活動を幅広く展開しています。特に三瓶山では、オキナグサやユウスゲなど絶滅危惧種の保全・増殖活動、食草の増殖などによるウスイロヒョウモンモドキの保護活動、姫逃池に自生するカキツバタの保全活動などを、精力的に実施。


私たちの活動が、長年続けていらっしゃる活動の邪魔にならないように、ちゃんと連携を取りながら進んでいきたいです。

刈り取りを手伝ってくださっている、大田市林友会有志のみなさんと 



この秋は、花のシーズンに合わせ、セイタカアワダチソウの利活用をPRするためのイベントを企画しました。 

蒸留器を納めてもらった業者さんから教えていただいた、「モバイルアロマラボ」という蒸留器搭載のトラックに来ていただき、三瓶山の前の原っぱでセイタカアワダチソウ蒸留を実演してもらいたくて、アタック笑  
(協力・アットアロマ株式会社さま)

そのほか、セイタカアワダチソウアロマのことをいろんな場所で話しまくって繋がった、日本統合医学協会の方からは、メディカルアロマの講師さんを紹介していただいたり。


(本当に、やりたいことや夢は人にどんどん話すものだ、と実感しております。)


当日は晴天にも恵まれ、沢山取材もしていただき、嫌われ者を価値に、のテーマ通り、活用してできたアロマオイルの出口を提案するイベントになりました。


※このイベント開催費用は、別の補助金でまかなっており、今回のご支援の使い道にはなっておりません。

 
日本に一台しかない蒸留器搭載トラック「モバイルアロマラボ」(協力・アットアロマ社さま)参加者のみなさんとチョキチョキおよそ80キロのセイタカアワダチソウから、300ml程度の精油が採れました。精油は貴重ですね。







7.SANBE botanicals(さんべボタニカルズ)

今回の商品開発では、3点の商品が出来上がる予定です。

セイタカアワダチソウを蒸留して生成した精油(アロマオイル)


②精油を使って作られたファブリックウォーター

 

③大田市の海水から焚かれた「百済浦の藻塩」の粗塩を活用したバスソルト


※精油は、蒸留後すぐはキク科そのもの、春菊みたいな香りとえぐみがあり、香りが落ち着くまで寝かす必要があります。

(いろいろ試しましたが、1か月以上置いたあとのオイルが良さそうです。)

精油はほんのり薄黄色

寝かせるとびっくり。ティーツリーや、ユーカリなどとも似たすっきりした香りに。

そして、そこから時間を置くと、少し甘い香りになっていきます。成分分析をしたところ、リモネンという柑橘に含まれる成分を多く含み、1年多く置いたものは、リモネンの量が増えていることもわかりました。

スッキリした香りも甘みが増した香りも、ブレンドにも向いていて、ベルガモットや、ラベンダーなどとの相性も良いです。

お好みの期間寝かしながら香りの変化を楽しむのもオススメ。

ファブリックウォーターや、バスソルトは、ふんわり優しく香る配合で「カモミールティーのような」香り。

(野山の嫌われ者が、こんな香りに変身するなんて!2年前の驚きを、みなさんにも感じてもらいたいです。)


バスソルト原料の「百済浦(くだらうら)の藻塩」は、山の駅の厨房でも使用している人気の塩。

大田市の海水から2日間、薪を燃やして焚き上げた塩です。

海水をくみ上げ、2日間かけて薪で焚き上げる

塩焚きの作業で年間数十キロ生じる「粗塩」活用を、このプロジェクトで実現しました。



藤井保さんとの出会い。

こんな風に突っ走っている私ですが、最近、一つの大きな出会いがありました。

写真家の藤井保さんです。

藤井さんと言えば、「その先の日本へ。」のコピーが記憶に残るJR東日本の広告や、シュワちゃんがやかんを持っているカップ麺の広告、映画「幻の光」の江角マキコさんの写真などなど…
広告の世界で長年ご活躍されてきた藤井さんは、実は三瓶のご出身。
そしてなんと昨年、東京から同じ大田市の石見銀山に拠点を移されていました。

今回、このプロジェクトに共感していただき、デザインをトータルでお願いさせていただいている6B(ロクビー)さんも石見銀山に最近移住して来られたデザイン事務所さんなんですが、プロジェクトの打ち合わせに銀山のオフィスにうかがった際、偶然藤井さんがふらっと立ち寄られたのです。(なんという町なんでしょう笑)

世界遺産・石見銀山も島根県大田市にあります。三瓶山からは車で20分。意外とご近所なのです。


私も三瓶出身です、とお伝えしたことがきっかけで、いろいろなお話をしました。
実は、私と藤井さんは母校の小学校が同じ。三瓶で育ち、東京から故郷へUターンした共通点だけでなく、暮らしや環境、未来への想いを互いに共感する中で、このプロジェクトの写真を引き受けて下さることに。


そして、藤井さんのご提案で、奇しくも今年閉校する母校最後の子どもたちを迎え、撮影をすることになりました。


母校の子どもたち+三瓶山+セイタカアワダチソウが藤井さんの作品に。


※このプロジェクトでは、リターンに藤井さんの写真も使わせていただく予定です。こちらは詳細が決まりましたらレポートしていきますね。





8.資金の使い道・実施スケジュール

11月吉日〜12月31日 クラウドファンディング

     ↓

現在、刈り取りから蒸留作業を含む商品製造が始まっています。

コツコツと蒸留作業(オイル製造)刈り取りも大事な作業です。

大田市の海水から焚かれた藻塩「百済浦の藻塩」の粗塩を活用したバスソルト・リネンウォーターの試作やパッケージデザインなども同時進行で進めています。

経過を逐一報告していきます。

11月中 デザイン・商品内容確定

12月初旬~ 予約販売開始


2023年1月~ 商品製造

2023年2月以降、順次発送予定(写真パネルなどは3月~)

*早めにご支援頂いた方から順番に発送します。

(充填作業など手作業の部分もあり、多くの方々にご注文を頂いた場合にはお待ち頂く場合がございます )

プロジェクトでいただいた資金は、商品作りの為の資材購入、商品の試作&製造・パッケージの製作、今後のプロジェクトの活動費用などに使用させていただきます。(一部は、このクラウドファンディングの手数料にも使用されますことをご了承ください)

*資金の使い道は概算で、以下の通りです。

商品の試作・製造(人件費・委託製造含)→約60-70万円
資材費→約35-40万円
パッケージ・リーフレット等の印刷費→約50万円(リターンの制作費含)
広報費(Web含)→約40万円

クラウドファンディング手数料→達成した場合、42万円ほどかかります。
その他、リターンの送料等にも充てられます。

みなさまから支援していただいた資金を大切に使わせていただきます。

プロジクトの進行状況につきましては、活動報告にて随時ご報告いたします。



9.リターンのご紹介

デザインは今年関西から石見銀山に拠点を移してきたデザイン事務所、6Bさん出来上がったアロマ商品をお返しするものと、
neccoが運営する山の駅さんべのお食事券や、ドリンクチケット、三瓶米粉使用の地産はちみつトースト
(さんべの生乳からできた「地アイス」のっけ)

地域で採れた果実やハーブで手作りしたコーディアル(ソーダやホットで)
その他、山の駅さんべオリジナルのオススメ商品もリターンに企画予定です。

藤井保さんが撮り下ろした写真を含めた内容のリターンも、ご用意します。早朝の撮影風景。母校の子どもたちとの撮影オフショット

(プロジェクト進行中にお見せできるかと思います。お楽しみに。)

デザインも進行中。決まり次第随時、写真をアップしていきます。


10.「100年先の三瓶に子どもたちの笑い声を」-おわりに-

以上、私の長い話にお付き合いいただき、ありがとうございました。

視点を変えることで、嫌われ者を価値に変える。

そんなメッセージを乗せた、このプロジェクトですが、

人間の社会もおんなじだと、私は思っています。

誰にでも、得意と苦手があって、得てして社会では苦手なことで評価されがち。でも、視点を変えると、ちゃんとみんな良いところがある。

得意なところで活躍し、苦手なことはフォローし合う。

そんな優しい地域、生きやすい社会を目指すため、まずは小さな社会「会社」から実現していきたい。

neccoは「凸凹な人たちのまるい組織」を目指したいといつも思っています。

実は代表の私が一番デコボコ笑

「100年先の三瓶山に子どもたちの笑い声を」

壮大すぎる会社理念にはそんな想いが詰まっています。

たとえ絵空事だと笑われても。

三瓶山の麓の黄色いお花畑は夢のように美しい。みなさんも、そう思いませんか?



(まとめ)<募集方式について>

本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。



このプロジェクトの問題報告はこちらよりお問い合わせください