1.はじめに

1-1.本プロジェクト紹介動画


1-2.弊会の紹介

こんにちは! 特定非営利活動法人国際協力NGO風の会です。

弊会は、早稲田大学の学生を中心に子どもたちの教育支援を行っているNPO団体です。

この度、ラオス人民民主共和国で「初等教育支援事業」を開始いたしました。

事業を始めた当初からコロナウイルスが猛威を振るっていました。

支援先のラオスに限らず、日本においても深刻な被害が出ています。

弊会においてもこれまで当然のように行われていた対面活動や渡航調査が難しい状況が続いてきました。

しかし、そのような状況だからこそ支援の必要性はさらに拡大していることを忘れてはいけません。

私たちは弊会の理念である「すべての子どもたちが未来への希望をもてる世界」の実現に向けてコロナ禍の今だからこそ、歩みを止めずに支援の輪を広げていくことを胸に誓い、活動を続けています。

当ページにお越しくださった皆様と一緒なら、子どもたちの笑顔が輝く社会を創っていくことができると信じています。


2.支援先について

2-1.ラオス(支援国)の紹介

弊会は、カンボジアでの教育支援を中心にこれまで活動してきましたが、自立した支援先が増えてきたことから、支援先の範囲を広げることにしました。当時(2014年)、ASEAN諸国の中で最もGDPが低かった国はラオスでした。(現在は10か国中9位)ラオスについて調べていくうちに、教育にも多くの課題点があることが分かってきました。具体的には、初等教育の純就学率は高いものの、最終学年到達率は低いままであることや、ボロボロの校舎が多いこと、多民族国家であるがゆえに少数民族や農村部の人々に適切な教育が行き渡っていないことなどがありました。私たちは、小学校の建設を通してこれらの課題を少しでも解決したいと考え、今回の事業及びクラウドファンディングを行うことを決めました。

参照サイト:東南アジアの成長ランキングを名目GDPと実質GDP成長率で紹介!(https://gakumado.mynavi.jp/gmd/articles/4504)


もう少し具体的にラオスにおける教育の課題について見ていきましょう。ラオスの初等教育過程において児童生徒が最終学年まで残るパーセンテージは2013年時点で70%(ベトナムでは94%)であり、厳しい状況が続いています。様々な要因がありますが、大きく分けて学校設備、教育、カリキュラム、教科書、家族の5つの観点から考えることができます。

参考文献: ラオスの初等教育問題と日本の国際協力( https://opac.tenri-u.ac.jp/opac/repository/metadata/3848/AGR001306.pdf)


2-2.学校設備


現在のラオスでは、「一村一校」を目標に掲げています。しかし、村の数が10574に対し、小学校の数は8486校であるため、充足率は80.1%となっています。学校が不足していることから、アクセスによっては学校に通うことができない子どもたちも多くいます(2004年時点)。学校があったとしても、約43%の学校が義務教育を最後まで提供できない不完全な校舎であったりと教育環境は厳しい状態にあります。

(画像:ナンサイター小学校)


2-3.教員の課題


教員数や教育法は教育の質を維持する上で非常に大切です。しかし、地方においては教員の数が足りていない現状があります。また、教員がいたとしてもその教員が小学校卒の場合も多く存在し、週数民増の生徒とはコミュニケーションをとることすらも難しいといった問題が生じています。加えて、教員に対する待遇もよいものではなく、給料が安く、副業として教員をしている人々も存在し、仕事がおろそかになっている状況があります。結果として子どもたちが十分な教育を享受することが難しい要因になっています。 

(画像:ナンサイター小学校)

2-4.カリキュラムの問題

ラオスには様々な教科がありますが、特に小学校の算数に関しては70%以上の児童が習熟度が低い状況にあります。中等教育への進学が可能なレベルにまでの習熟度をもった児童は1%未満であるというデータもあります。母国語であるラオ語についても、中等教育へ進学が可能なレベルの習熟度に至った児童は 20%未満であり、国語教育に関する課題も明らかです。ラオ語については、女子は男子より総じて成績がよく、独自の生活言語を持つ 少数民族については総じて成績が良くない傾向にあります。 


2-5.教科書の問題

教科書についても同じく、数、質ともに悪いものが多いという現状があります。日本では一人につき一つの教科書を所有することが当たり前ですが、ラオスでは複数の児童で一つの教科書を共有しています。また、授業言語が日常言語と異なる場合も多く、学習に支障をきたしている状況も多くみられます。


2-6.家庭の問題

大きく分けると家庭の貧困と親の理解不足や慣習の違いなどがあげられます。ラオスの小学校の児童のうち、約28%が貧困層の家庭に属しています。貧しい家庭では、子供は労働力として期待されるため、教育を受けることが難しい傾向にあります。また、地方においては教育を受けたとしても、その学びを活かせる雇用機会が限られるために教育を受ける価値を見出せず、学校に行くことをやめるといった事例もあります。


このようにラオス全国で見ても教育においては課題が多く存在することが分かります。

続いて今回の支援先の村について見ていきましょう。


3.事業内容

3-1.ナンサイター村の紹介


今回事業を行うナンサイタ―村はラオス南部のチャンパサック県に位置しています。村には約154世帯が住んでおり、村にひとつある小学校には現在75名の児童生徒が在籍しています。南部の主要都市であるパークセーからも比較的近くアクセスの良い場所に位置しています。しかし、比較的恵まれた場所に位置していることによって支援が後回しになってしまった過去がありました。このような経緯もあり、この度、弊会とつながって支援をさせていただくことが決まりました。


3-2.学校の新設・移転


現在の校舎は、1997年に建設されました。現在に至るまで25年にわたって使用された校舎は、老朽化によって壁や天井がボロボロになり、今にも倒壊する危険性があります。壁に隙間があるために、天気の悪い日には雨や砂が入り込んでしまうため、生徒が集中して授業を受けることは難しいです。その他にも、道路沿いに校舎が建っているために生徒と車が接触する危険があること、車が出す排気ガスが教室に充満してしまうことなどの多くの課題があります。

今回の事業では現在の校舎を取り壊し、新しく選定した安全な場所に校舎を新設することで生徒と教師の安全を確保し、教育の質の向上を目指します。


3-3.井戸・手洗い場の設置


私たちが想像するような小学校には、手洗い場が当たり前のように設置され、きれいな水にいつでもアクセスすることができます。日本ではこれらの基本的な衛生環境が整っており、手を洗うこと、安全な水を手に入れることに関して支障をきたしているようなことはほとんどありません。

しかし、ラオスでは全国的にほとんどの小学校において手洗い場が十分に設置されていない現状があります。また、安全な水へのアクセスが保証されていないために下痢などの症状で体調を崩す生徒もおり、教育以前に健康状態が脅かされている状況があります。2001年の国家健康調査の結果によると、都市部では75.5%が衛生的な水にアクセスできているのに対し、農村部では37.6%の世帯しかアクセスできていないことが報告されています。ラオス国内ではマラリア、急性呼吸器感染症、下痢などの疫病が子どもたちのなかで多く見られ、衛生保険教育および衛生設備不足の深刻さを物語っています。私たちはこのようなラオスにおける学校保健の現状を一刻も早く解決したいと考えています。

支援先のナンサイター小学校も同様に手洗い場が十分に整備されておらず、また安全な水にアクセスできない現状があります。

よって、私たちは今回の事業で電動くみ上げ式の井戸を設置し、水の安定的な供給を可能にするとともに、汲み上げられた水を用いた手洗い場の設置を行い、安全な教育環境の実現に貢献します。

参考文献:ラオスにおける学校保健の現状と課題(https://ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/ja/list/HU_journals/AN10482914/12/2/item/16462)


3-4.トイレの設置


日本にいると急におなかが痛くなった時でも駅や街にある公衆のトイレに駆け込むことができますね。しかし、世界にはトイレへのアクセスが容易ではない国がたくさんあります。ラオスもその一つです。実際に、ラオスでは約半数の学校でトイレが普及していない現状があります。このようなトイレ普及の遅れは不衛生な生活環境をもたらし、寄生虫症等の流行の要因となります。さまざまな寄生虫症がありますが、子どもの場合、寄生虫症により貧血のほか低栄養による発達不振などがあり、最悪の場合、死に至る可能性もあります。また、トイレがない場合、女子は生理の日には学校に通えず、貴重な学習の機会が奪われてしまいます。

支援先のナンサイター小学校も十分な機能を備えたトイレはなく、生徒は家に帰るか、外で用を足すしかありません。よって、今回の事業では男子用、女子用、教師用の3つのトイレを設置します。

生徒が安心して使えるトイレを建設することにより、衛生面の問題や教育における男女格差の問題を解決し、子ども達全員が笑顔で過ごせる学校環境を整えることをめざします。

参考文献:ラオスにおける学校保健の現状と課題(https://ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/ja/list/HU_journals/AN10482914/12/2/item/16462)


3-5.机と椅子の寄贈


私たちにとって学校にきれいな椅子と机があることは当たり前ですよね。学校に行くのが少し億劫な日も、そうでない時も学校に行けば自分の机と椅子がありました。小学校において椅子と机は勉強に使うのはもちろんですが、友達と色々な話で盛り上がる大切な場でもあります。皆さんも誰かの机を中心にみんなでワイワイ話して、楽しく給食を食べた思い出があると思います。ラオスの小学校では、そんな椅子と机が十分確保できないまま学校生活を送っていたり、椅子や机が老朽化して亀裂が入っていたりする状況で学校生活を送っている子どもたちがいます。学習時の机と椅子は、生徒の学びの質に大きく影響します。

支援先のナンサイター小学校にある机と椅子もまた老朽化が進んでいます。立地の関係上、洪水の被害や排気ガスの影響で大きなダメージを受けてしまっていることが一つの要因として考えることができます。

私たちは適切な机と椅子を新調することによって支援先の教育環境の充実に貢献します。


3-6.事後支援(交流事業、他団体との協同事業)


弊会では例年春と夏に支援先に渡航し、視察や交流事業を通して本当に必要な支援、自立に向けた支援を策定しています。今夏はカンボジアに渡航し、コロナ禍でながらく止まっていた以前からの支援先との交流を再開することができました。現場を実際に見ることによって弊会ができること、やるべきことが明確になり、改めて渡航することの大切さと貴重さを認識することができました。来年(2023年)には本事業の支援先であるナンサイター小学校にも訪問し、視察や交流事業を通して建設後に必要な支援、弊会ができる支援を企画立案していきたいと考えています。渡航を中心として弊会がこれまで培ってきた継続的な支援体制をナンサイター小学校の支援でも十分に活かし、教育の質の向上を達成していきます。

また、本事業の事後支援では他団体の協同も企画しております。

特に雇用創出と食糧問題、栄養改善を目的とした「モリノエビプロジェクト」との協同に力を入れております。

なお、「モリノエビプロジェクト」は2025年大阪・関西万博TEAMEXPO2025「 次世代共創リーダー育成プロジェクト」(※)から生まれた「共創チャレンジユース団体」です

※次世代共創リーダー育成プロジェクトの詳細はこちら:https://www.edgeson-management.jp/


4.関係者様紹介

本プロジェクトに関わりのある団体・個人様をご紹介させていただきます。弊会は学生団体である以上、技術面や資金面においては関係者様のご協力なしにはプロジェクトを推進していくことは困難であります。関係者様の多大なるご理解とご協力にこの場をお借りして弊会一同厚く御礼申し上げます。


4-1.アジア教育友好協会(AEFA)様

AEFA様は、ラオス、タイ、ベトナム、中国雲南省、日本、ネパール、スリランカ、マレーシアの計8か国で活動を展開しており、18年間の活動の中で建設した学校は327校、図書館の建設は20館に及びます。その他、教育支援事業や日本国内ので講演も実施されております。

2021年度はラオスとベトナムにて学校7校、図書館10館の建設事業のほか、リーダシップ育成プログラム等の教育支援事業を実施されました。本プロジェクトでは 日本国内で行われる書類の作成や申請手続きに関して多大なるご協力いただいております。

★AEFA様の紹介:理事長の谷川様より

子どもが活動の真ん中にいる“教育支援プロジェクトを通して、地域力を高める活動を続けています。ラオスやベトナムで村人の参加・協力を得て「学びの場」を整えます。 学校建設は「地域の自立への第一歩」。建てて終わりではなく、継続的に見守る教育支援プロジェクトをその地域に合った形で協働。地域の自立を応援しています。 共にアジアに暮らす私たち。パートナーシップ精神でお互いに学び合い理解と交流を深め、助け合いながら生きる力を次世代へとつないで参ります。子どもが活動の真ん中にいる“教育支援プロジェクトを通して、地域力を高める活動を続けています。ラオスやベトナムで村人の参加・協力を得て「学びの場」を整えます。 学校建設は「地域の自立への第一歩」。建てて終わりではなく、継続的に見守る教育支援プロジェクトをその地域に合った形で協働。地域の自立を応援しています。 共にアジアに暮らす私たち。パートナーシップ精神でお互いに学び合い理解と交流を深め、助け合いながら生きる力を次世代へとつないで参ります。


4-2.Association for Community Development(ACD)様 

ラオス南部のサラワン県に拠点を置く、ラオス政府登録のNGO団体です。AEFA 様のパートナー団体としてもご活躍されております。長年にわたる活動実績から、教育省と村人からの信頼は極めて厚いものがあり、CIEDなど、JICAのパートナーとしても活動した経験がございます。

本プロジェクトではラオス政府・地元行政・各セクターとの申請手続き・連携・調整を行ってくださいます。支援先の情報提供や建設現場の監督に関しても多大なるご協力をいただいております。

★ACD様の紹介:AEFAのHPより

AEFA のパートナー団体で南部サラワン県に拠点を置く、ラオス政府登録NGO。
「子供と青少年のための教育の質改善」を目指す。
子供が昔ながらの民族の知恵を活かしながら、一方で教育を受け広い世界で生きるすべを学ぶための活動を行う。
「村人と一緒に」がモットーで、学校建設および村の開発(自立支援・環境保全と自然
資源の保護と活用・有機農業・基礎医療・
保健衛生・リーダーシップの育成・HIV/ドラッグの問題)に力を入れる。
長年にわたる活動実績から、教育省と村人からの信頼は極めて厚いものがあり、
CIEDなど、JICAのパートナーとしても活動。 


4-3.東京志村ライオンズクラブ 様

本プロジェクトでは資金面において多大なるご協力をいただいております。また、ラオスへの支援を担当している弊会の会員が東京志村ライオンズクラブ様の学生支部として入会し、共に活動を行っております。

★東京志村ライオンズクラブ様の紹介:HPより

弊団体は、1971年結成以来51年寛、その時勢に即すばかりでなく、遥か先まで視野に入れ、メンバー一丸となり、社会奉仕について、何を為すべきかと研鑽してきました。将来を担う子どもたちに明るい世の中をもたらすために、我ら志村ライオンズクラブは進むべき方向を日夜、議論し模索しております。この度、弊団体のチャーターナイト50周年を記念して風の会様の会員5名を当クラブの学生支部に迎え、本プロジェクトを協同することとなりました。皆様とともに本プロジェクトの成功とその先にある子どもたちの笑顔のために尽力していく所存です。


4-4.小嶋 様


今回のクラウドファンディングで使用しているリターンの雑貨(竹製コーヒーフィルター、ティップカオ、ピアス)を現地のラオスから調達してくださいました。

また、コロナ禍の影響で弊会が現地への視察に行くことが難しかった際に情報提供をしてくださるなど、平素から多大なるご協力をいただいております。

★小嶋様より

ラオス支援団体のサポート、日系企業のラオス進出コンサルティング、ラオス人を日系企業の紹介する人材事業を行っています。ラオスと日本の架け橋になることが目標です! ラオスに来る際は連絡ください!オーダーメイドのツアーなどをご準備します!技能実習生でラオス人をご検討の方、ご連絡くださいませ。


5.おわりに

5-1.資金用途

本事業の予算の内訳は大きく分けて新校舎の建設、トイレの設置、机・椅子の設置、井戸・手洗い場の設置、運営の5つに分類され、総額41,500ドルになります。

具体的には、

➀新校舎の建設:31000ドル

②トイレの設置:2500ドル

③机・椅子の設置:2000ドル

④井戸・手洗い場の設置:3000ドル

⑤運営:3000ドル

となっております。

今回の支援事業は東京志村ライオンズクラブ様をはじめとして様々な方と連携して行っており、弊会は上記の予算のうち100万円分(約7000ドル)の資金調達を目指して活動しております。

本クラウドファンディングでいただいたご支援は、掲載手数料及びリターン費用を除き、全額、ナンサイター小学校支援事業のために大切に使わせていただきます。

※目標金額に届かなかった場合においては不足分を弊会が補充し、事業の達成に向けて進めてまいります。


5-2.今後のスケジュール(2022年~2023年)

2022/11:クラウドファンディングサイト公開

2022/12:資金調達完了

2023/03:現地視察(春渡航)着工の確認

2023/09:竣工

2024/03:落成式


※支援国内でのパンデミックやクーデター等によっては事業スケジュールに延期が生じる場合がございます。


5-3.お問い合わせ先

〇国際協力NGO風の会 お問い合わせフォーム

https://afw-kazenokai.com/contact/

  • 2022/12/02 10:19

    こちらの活動報告は支援者限定の公開です。

  • 2022/11/30 12:05

    こんにちは!国際協力NGO風の会 26代代表の金澤大知です。私はこれまで現地に教育の自立支援を行う総合教育事業部に所属して主にカンボジアの支援に携わっていました。この夏カンボジアに渡航して、現地の子どもたちや風の会に大きな可能性を感じ、会をリードする立場である代表に立候補することを決意いたしま...

  • 2022/11/30 12:03

    初めまして!ラオス調査班リーダーの藤島碧と申します。私は3年前、ひょんなきっかけでカンボジアに渡航し、そこでみた教育環境の劣悪さと子どもたちのキラキラな笑顔のギャップに衝撃をうけました。この出来事が忘れられず、大学生になったら途上国の教育支援に携わろうと思い、風の会に入りました。引退まであと1...

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