ヤングケアラーは病気や障害のある家族のケアを要する人がいる場合に、大人が担うような家事や負担を家族の世話、介護などのサポートなどを行なっている18歳未満の子供をいいます。

10歳・男の子

僕は精神疾患のお母さんと二人で暮らしている。
夜になると昼間の優しいお母さんは急変して、いつも死のうとするんだ。
手首を切ったり、薬を飲んだり、飛び降りようとしたり。
ある日朝目覚めた時、僕の枕元にナイフが刺さっていた。
僕もいつか殺されちゃうのかな。
いつものようにお母さんは夜中に死にたいと騒ぎ始めた。
「僕はずっとお母さんといるよ。それでも、やっぱり死にたい?」
僕の言葉はお母さんに届いていないようだった。
お母さんは家を飛び出した。必死に探したよ。でもお母さんを見つけられなかった。
疲れ果てて帰ってきて、
「明日もお母さんは生きているといいな」と願って寝るんだ。


17歳・女の子

母は私が高校に上がった頃に統合失調症と診断された。
小学校高学年から母の不調は現れ、ずっと原因がわからないと病院をたらい回しにされていた。
私には弟がいるが、弟は一切介護を手伝ってくれなかった。
小学校高学年から最近まで私は一人で母のケアをしてきた。
そんな中、部活にも行って、ずっと皆勤賞だった。
高校2年生のある日、ひどい風邪をひいて数日間学校を休んだ。
それから私は急に学校に行くことができなくなった。
不登校になり、今は通信制の高校に通い始めた。
介護を手伝わない弟の事をどう思うかとよく聞かれるけど、
「半分羨ましくて、半分安心している。壊れるのが私だけでよかった」


18歳・男の子

僕の母親はうつ病。だけど、症状はそこまで重くない。
普通に生活できているし、外から見たらわからないと思う。
それでもどうしようもならない時はあって、そういう時は僕が支えている。
そんな僕がヤングケアラーであることを知ったのは最近のこと。
でもヤングケアラーと検索すると、出てくる事例は衝撃的なものが多くて、
そこまで重くないうつ病の親のケアをしている僕は、
ヤングケアラーと名乗っていいのか不安になる。
きっと僕はヤングケアラーのグレーゾーンなんだと思う。
「耐えられないほど辛い訳ではない。けど辛くない訳ではない」


ヤングケアラー協会 髙尾 江里花(元ヤングケアラー)

中学2年の秋、母が脳出血で倒れ、その後遺症として右半身付随と失語症を患いました。

元々、私から見た母は仕事も家事もなんでもこなす「できる女」という印象だったので、障害を患ってからの母と以前の母とのギャップに日々戸惑うばかりでした。

母が倒れた後、そのショックで父が精神的な病気になってしまい精神科の病院に入院することになり、中学2年生の私と小学5年生の妹との2人暮らしが始まりました。

近所に住む祖父母の協力を得ながら母の介護をしていましたが、母のオムツを取り替えたりする度になんとも言えない感情になりました。

中学3年になり進路を選ぶ時期になっても、私の進路を選ぶ基準はいつも「ケアと両立できるかどうか」。自分が何をしたいか、ではなく母の介護が最優先でした。そのため、高校入学後も部活動への入部は諦め、放課後は母の介護をしに帰宅する、そんな毎日でした。

当然、高校3年生になれば、再び進路を決める時期がやってきます。前述した通り、母の介護が最優先の私は「大学には行かない方がいい」と思っていたため、受験することすら諦め働くことを選びました。

そんな矢先、私が23歳の時、母が亡くなりました。

母のことを第一に考えてきた10年間だったため、当たり前にあったケアの毎日が急になくなり喪失感に襲われました。「自分が過ごしてきたケアの10年間に意味はあったのか?」「ケアを頑張ってきた毎日は何にも繋がっていないのではないか?」と自問自答する毎日でした。その疑問は今でもふと感じることがあります。

私は、ヤングケアラーが窮屈に過ごすのではなく自分自身の存在を誇りに思えるような社会を作っていきたいと思っています。ヤングケアラーの中にも、まだまだ「自分がヤングケアラーだ」と気づいていない子供たちも多くいます。ヤングケアラーという言葉を知らない子供たちもいます。そんな子供たちに周りの大人たちが気づいて声をかけられる様な、そんな社会になるといいなと思っています。

ヤングケアラーが希望を持って生きることのできる社会を作るための第一歩として、クラウドファンディングを通して下記の①〜③のことを実現させます。

① ヤングケアラーがもっと気軽に相談できるツールを整えます

 ヤングケアラーがいつでも悩みや不安を相談できるよう、LINEの相談窓口を開設します。


② ヤングケアラーという言葉をもっと世間の人に知ってもらうため、情報発信ツールを整えます

ヤングケアラーという言葉を世間の人に知ってもらうためのツール(Twitter/Facebook)の運用を始めます。


③ ヤングケアラー協会としてこれからもヤングケアラーを支援するために、組織体制を強化します

ヤングケアラー協会に所属する、LINEの相談員、地域へ派遣可能なヤングケアラーコーディネーター、オンラインサロンのコミュニティマネージャー、啓蒙コンテンツのクリエイターを充実させます。

▼800万円達成の場合の資金の利用用途

【A】ヤングケアラー協会の活動資金
A-1:ヤングケアラーが気軽に相談できるLINE相談窓口の構築 / 472.8万円
画面はイメージです。

A-2:ヤングケアラーをもっと世間の人に知ってもらうためのSNSツール運営費用 / 100万円

A-3:ヤングケアラー協会の運営費 / 148万円

【B】消費税と利用手数料

B-1:消費税(10%)/ 7.2万

B-2:Goodmorning利用手数料(掲載手数料4%+決済手数料5%)/ 72万円

【A】+【B】=800万円(税込)


 ※ LINE相談に関しては、相談数に応じて相談員の増員のタイミングを早める可能性があります

クラウドファンディングのリターンの設定以上に大きな金額の寄付をご検討いただいている方は、contact@youngcarerjapan.comまで一度ご相談いただけますと幸いです。


リターンには、ヤングケアラー協会オリジナルのクリアファイルやステッカーなど様々なリターンをご用意しております。
※ リターンのデザインは変更になることがあります。

ロゴのデザインコンセプト

ひとり、ひとり違う悩みのあるヤングケアラーに向けて
ひとつ、ひとつ意味の異なる想い「希望」、「安心」、「自信」、「繋がり」、「癒し」、「広がりの輪」を込めてロゴを作りました。そして、ロゴを組み合わせることで、子供たちの明るい社会、そして未来を作りたいというメッセージを込めてデザインしました。


【リターンのサイズについて】
※リターンのサイズは全て想定となります。発注の都合上、変更となることもございます。

・ステッカー
100mm×100mm

・クリアファイル
220mm×310mm

・ピンバッジ
直径16mm

・トートバック
横×縦×マチ:約330×340×90mm
持ち手サイズ:約25×560mm
容量:約7L

・Tシャツ
【Sサイズ】
身丈:66cm
身巾:49cm
肩巾:44cm
袖丈:19cm

【Mサイズ】
身丈:70cm
身巾:52cm
肩巾:47cm
袖丈:20cm

【Lサイズ】
身丈:74cm
身巾:55cm
肩巾:50cm
袖丈:22cm

・パーカー
【Sサイズ】
身丈:64cm
身巾:47cm
肩巾:41cm
袖丈:62cm

【Mサイズ】
身丈:67cm
身巾:50cm
肩巾:44cm
袖丈:62cm

【Lサイズ】
身丈:70cm
身巾:53cm
肩巾:47cm
袖丈:63cm

・ヤングケアラーと共に育つ「苗」
3号ポットサイズ

僕は15歳の頃から約17年間、難病の母をケアしてきた元ヤングケアラーです。そして、ヤングケアラーという言葉を知る人がほぼいなかった2018年からヤングケアラーの支援や啓発活動をしてきました。当時は「ヤングケアラーを助けたいんです!」と豪語しても、関心をもってくれる人はいませんでした。ときには「そんな子どもが本当にいるの?」という冷たい言葉も掛けられ、活動を挫折しかけたこともありました。

そんな社会の認識は急激に変わりました。元ヤングケアラーたちの小さな声が集まり、大きなうねりとなって国を動かし、厚生労働省がヤングケアラーの全国調査に乗り出します。すると、ヤングケアラーがクラスに1〜2人いることがわかり、社会問題としてクローズアップされました。これは認知を広めるという意味で大きな一歩だったと思います。ここからが本番です。なぜなら認知は広まってきていますが、行政として有効な支援策をまだ見出せていない状態だからです。ヤングケアラーの置かれた状況は多様で(年齢はもちろん家族の人数や、病気や障害の重さによっても抱える課題はまったく異なり)行政が一律に支援を行おうとしても一筋縄ではいかないのです。このままでは支援が必要な子どもに、適切な支援が届かないという状況になりかねません。では、どうすればいいのでしょうか。

「お守りのような相談先」を広くヤングケアラーに届けることが必要です。ヤングケアラーは子どもなので、成長スピードが早く、生活環境も短い期間で変わります。その変化にともなって、抱える悩みや課題も変わってきます。なので、たとえば中学校3年生の時点で「大丈夫?」と聞いて「大丈夫!」と答える子が、高校2年生の頃には「辛い。助けて。」と答えるかもしれません。そのため必要なのは「今すぐじゃなくてもいい。でもこの先いつ何が起こったとしても、すぐに相談できる。」という安心感です。そして、必要なときに適切な支援にちゃんと繋がれることが重要です。いつも味方でいてくれる、長い目でみてずっと支えてくれる、だから本気で信じていいと思える、そんなお守りのような存在が、ヤングケアラーには必要不可欠です。
このクラウドファンディングで作りたいのは、そんなLINE相談窓口です。

ヤングケアラー協会 代表理事 宮崎成悟



私が21歳の時に、母は事故に遭い脳に障害を負うことになりました。退院直後の母はほぼ寝たきりの状態で、満足に学校に行くこともままならず、ケアに没頭する日々を過ごしました。学業と就職活動とケアを同時並行することの難しさをこの時に経験しました。学校の友人に遊び誘われる度に、「ごめん、バイトだから」といつも寂しい嘘をついていました。きっと母親の介護をしていると言っても理解されないし、変に気を使われるだけだろうと思い込んでいました。嘘をつくのに疲れ、次第に友達を避けるようになり、孤立していき、さらに辛くなりました。

この時の経験から、寂しい嘘をつく必要がない、ありのままの自分を語れる場所を作りたいと考えてきました。その第一歩が、このLINE相談窓口です。

私はヤングケアラーの子供たちは日本の宝だと考えています。本来大人になってから経験をする介護や様々な困難をヤングケアラーは早くに経験します。いわば、人間の器を強制的に大きくさせらている状態だと思います。もしその器を壊れないように我々大人が守ることができたら、ヤングケアラーは思いやりに溢れる、深みを持った大人に育つことでしょう。

今はまだ、器が壊れてしまうかどうかは「運」に任されています。これを「運」ではなく「必然」にすることが重要です。家族のケアを優先し自分の人生を諦め続けていると、“家族のために“ではじまったケアも、いつの日か“家族せいで“になってしまうことがあります。子どもの家族に対する“愛情“を憎しみに変えないためにも、周囲に話すことが大切です。そう言った側面でも、LINE相談窓口は子供の気持ちを守るセーフティーネットの役割を担うことができます。

子どもの家族に対する“愛情“を守りたい。子供が子供でいられる時間を守りたい。
これは我々の願いであり、原動力でもありますが、我々だけで解決を目指すにはあまりにも大きすぎる課題です。皆様と一緒に守っていきたいという思いでこのクラウドファンディングをスタートしました。ヤングケアラーを支える活動に、どうかご支援のほどよろしくお願いします。

ヤングケアラー協会 代表理事 吉井理比古


ヤングケアラー協会について

ヤングケアラー協会は、元ヤングケアラーによる、ヤングケアラーのための団体です。
日本最大のヤングケアラーのオンラインコミュニティ(Yancleコミュニティ)の運営や、ヤングケアラーの就職支援(旧ヤンクル株式会社)、ヤングケアラーが自身と向き合うための自分史制作、自治体・企業・教育機関向けの講演・研修、その他ヤングケアラーが社会に広く認知されるための啓発活動を行っています。


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