はじめに

INNA Project代表の山口韻奈です。このページをご覧いただき、ありがとうございます。

私は4年前にINNA Projectを立ち上げ、ガーナの首都アクラに住んでいる、ニジェール紛争難民の子どもたちのサポートをしています。

難民の子どもたちが安心して暮らせる家、そして学校としての役割を果たすシェルターを作ります。
ストリートで物乞いをしている子どもたちが、学びを通して広い世界を知り、夢を持って羽ばたいていけるようなシェルターを作りたいです。

ぜひみなさまのお力をお貸しください。

ガーナで暮らす、ニジェール紛争難民の子どもたち

私がサポートしているのは、ニジェールで長く続いている紛争から逃れてきた、40〜50人ほどの子どもたちです。
彼らの両親の世代から、故郷のニジェールを離れて暮らすようになりました。
子どもたちの中には、ガーナで生まれた子もいれば、ニジェール周辺の他の国で生まれた子もいます。
ガーナだけでなく、トーゴやナイジェリアなど周辺の国も行き来しているからです。

こちらの動画もぜひご覧ください。(ページ先頭の画像をクリックした場合も同じ動画をご覧いただけます)動画はこちら

子どもたちの日常

子どもたちは、朝から晩まで毎日毎日、物乞いをしています。
それが、子どもたちの仕事だからです。

クラブや、24時間営業のレストランの前で出てくる大人を待っています。
出てきた大人たちに、手を出して「お金ください」と話しかけます。
特に週末は酔っ払っている人が多いので、殴られたり蹴られたりすることはしょっちゅうです。
子どもが出した手に吸っていたタバコを擦り付けてくるひどい大人もいます。

なぜ物乞いをしているの?

▲街で大人たちが店から出てくるのを待つ子どもたち

そもそも、彼らは元々ニジェールのサハラ砂漠で暮らしていました。
太陽がのぼるのと同時に起き、月と共に眠りにつく…。
地球の自然と共に生きてきました。
過酷な砂漠の環境を生き延びる術を身につけた人々です。

だから彼らには、「働いてお金を得る」という概念がありませんでした。
子どもたちの親は働いていません。彼らにとって、生きていくのに必要なお金はもらうしかないのです。
彼らの親は、子どもたちが物乞いをして集めたお金で生計を立てています。
だから、子供たちが物乞いをやめてしまうと家族が生きていけなくなってしまうため、学校に通わせることができません。
とはいえ、子どもたちの親のなかで学校に行っていた人はほとんどいないので、学校教育の必要性を感じていないのです。

彼らにとって最も理想的なのは、再び平和な砂漠に戻って、今までのような伝統的な暮らしを続けることです。
しかし、子どもたちは今、砂漠にはいません。
新しい土地で生きていくには、読み書きや計算を身につけ、この社会で生きていく方法を学ばなくてはならないのです。

そこで…

紛争難民の子どもたちの自立支援のためのシェルターを建設します!!

子どもたちがいつも活動している、アクラの繁華街に3LDKの一軒家を借りました!
シェルターの役割は、大きく分けて以下の3つです。

1. 夢を叶えるための「学校」

学校に通うことができない子どもたちのために、シェルターで勉強ができるようにします。
子どもたちの将来の可能性を広げるには、基礎的な英語の読み書きや計算の能力があった方が絶対にプラスになります。そうすれば、将来は物乞いではなく、仕事をして収入を得ることができます。
ただ勉強を教えるだけではありません。
子どもたちが創作など芸術的な活動にも親しめるように、クレヨンや楽器も用意します。
もっと幼い子どもたちのために、おもちゃも用意します。

2. 安心して眠れる「家」

そして何より大切なのは、安全です。
子どもたちは早朝から夜中まで繁華街で物乞いをし、道端で睡眠を取っています。衛生的に劣悪な環境であるだけでなく、誘拐などの危険も大いにあります。物乞いをしていない時間、疲れた子どもたちが安心して眠れるように、布団もたくさん用意する予定です。

3. 収入を得られる「職場」

子どもたちの親や、年長の兄弟の多くは無職です。しかし中には、働きたいと申し出てくれる人もいます。彼らをシェルターの駐在スタッフとして雇用することで、この活動に対する理解を高め、子どもたちの成長の場としてのシェルターをさらに発展させることが期待できます。

シェルターでの学び

もう少し具体的に、シェルターの運用計画をご紹介します。

ベッドルームは男女一部屋ずつ用意します。
残りの一部屋に机・イスを配置して学習部屋とし、教科書(小学校高学年レベルの英語・算数)、積木・クレヨン・絵本などの幼児向けの教材を用意します。

年長の子どもたちには調理方法を教え、自分たちで健康的な食事を用意できるようにします。
他にも、裁縫など簡単な物づくりのスキルを与え、「自分たちでものを作って売る」ということを実際に体験しながら学習を進めます。

15歳以上の子どもには性教育も行います。特に女の子には、自分の体は自分で守れるように、女性としてのセルフ・リスペクトの重要性を教えます。

普段の活動

ではここで、私が普段どのように子どもたちをサポートしているのか、
また他にどんな活動を行っているのかをご紹介します!

▲食べ物をもらいに押し寄せる子どもたち

食事の手配

難民の子どもたちが寝泊まりしているところや、物乞いをしているところに行き、食べ物や飲み物を届けています。

生活用品の手配

彼らが生活していく上で衛生的に必要な物を重点的に届けています。(トイレットペーパー、生理用品、オムツ、石鹸など)

見守り

夜遅く道端で寝ている子供たちをタクシーに乗せて親の元へ帰したり、深夜物乞いをしている子どもが誘拐などの事件に巻き込まれないよう、彼らが帰るまでそばで見守っています。

▲新しい洋服をもらってうれしそう♪

子どもたちみんなの誕生日パーティー

皆さんにぜひご紹介したい活動が、年に一度の誕生日パーティーです!

子どもたちは朝から晩まで働いています。「一日だけでも、子どもらしくめいっぱい楽しんでほしい…!」という願いから、この企画がスタートしました。

実は子どもたちのほとんどは、自分の誕生日を知りません。
「お誕生日おめでとう」という言葉をかけられたことがないんです。
そこで、私の誕生日である7月7日を「子どもたちみんなの誕生日」とし、2020年に第一回の誕生日会を開催しました。
寄付をしてくださった方々、本当にありがとうございました!

子どもたちは毎年、一年に一度の誕生日会を心から楽しみにしています。

写真だと天使のように可愛い子どもたちですが、
当日はみんなテンションが上がりすぎて、怪獣のようでした…
当日の運営だけでなく、会場の用意や両親の理解を得ることなど、やることはたくさん。
特にガーナでは、難民のことをあまりよく思っていない人が多いので、会場を借りるだけでも一苦労なんです。
それでも子どもたちの笑顔を見ると、本当に癒されます…。

誘拐事件・失踪事件

残念なことに、楽しいことばかりではありません。

昨年6月、9歳の男の子、モハメッドが誘拐されました。

そして今年6月は、11歳の女の子、アイシャが行方不明になりました。

二人とも奇跡的に、無事見つけることができましたが、次もし誰かが行方不明になったら、無事に帰ってきてくれる保証はありません。子どもたちは、常にこうした危険と隣り合わせで、物乞いをしています。

悪い大人は、道端で横になって休憩している子どもたちに声をかけ、そのまま誘拐してしまいます。「お金あげるからおいで」などと声をかけられれば、子どもたちは簡単について行ってしまうからです。

「息子が3日間帰って来ていない」

早朝、モハメッドのお母さんから突然電話がかかってきました。お母さんは酷く取り乱して、号泣していました。

目撃情報はいろいろなところから入ってきました。ガーナは警察もまともに取り扱ってくれないので、不確かな目撃情報を頼りに、全て自力で捜索しなくてはなりませんでした。毎日、目撃情報のあった場所は全て探しに行きましたが、見つかりませんでした。

お母さんは日に日に衰弱していきました。
心配のあまりご飯も喉を通らず、寝ることもできませんでした。

モハメッドが見つかったのは、8日後のことでした。

ガーナ人の、14歳くらいの男の子。彼は、ある「孤児院」から、車で2時間の道のりを、一人で歩いて1人で帰って来たのでした。

男の子によると、街でモハメッドと一緒に居たところを、知らない大人につかまって、その「孤児院」に連れて行かれたのだそうです。場所の名前が分からなかったので、男の子に案内してもらって、モハメッドのお母さんも一緒にその建物に向かいました。マップにすら出てこない、街灯も何もない、草むらの中のある建物で、モハメッドは見つかりました。

モハメッドは、ずっと「怖かった」と泣いていました。そんな遠くの土地に1人ぼっちなんて恐ろしすぎます。もう二度と、こんな思いはさせたくありません。

その場所は孤児院などではありませんでした。詳しいことはわかりませんでしたが、モハメッドはずっと外から鍵をかけた部屋に閉じ込められていました。
あるときはそこから離れた薄暗い、牛の頭などが壁中に飾られた怪しげな部屋に連れて行かれたこともあったそうです。

自らの意思で、帰ることを拒んだアイシャ

アイシャの場合は、誘拐・監禁ではありませんでした。

目撃情報のあった孤児院は全て周りましたが、どこにもアイシャはいませんでした。あらゆる手段を使って、約3週間捜索を続けました。
ガーナで一番の大富豪や、世界的なミュージシャンにお願いして、テレビやラジオで捜索を呼びかけてもらったり、アイシャの写真つきのポスターを町中に貼ったり…
捜索を続けていたある日、ある孤児院の役員の方が「シェルター」という形で子どもがいるところがある、と教えてくれました。

そこのシェルターに、アイシャはいました。

アイシャ曰く、道端で物乞いをしている彼女を見た誰かが、アイシャのことを両親がいない孤児だと思ってそこに連れて行ったそうです。

シェルターでの生活は普段している生活とは全く違くて、朝起きて綺麗な水で顔を洗い、歯磨きをしてシャンプーもできる。新しい洋服もたくさん貰って、美味しいご飯を1日3食食べれるし、そのシェルターで勉強もできて、ミシンを使って裁縫の仕方も教えてもらえたそうです。

彼女は自らの意思で家に帰ることを拒んでいました。

もちろんお母さんには本当に会いたいし、悲しくて夜泣いたことも沢山ありました。でも、物乞いの生活に戻る恐怖の方が強かったみたいです。

お母さんには、アイシャをシェルターに残すよう何度も説得を試みました。アイシャのためには、シェルターに住まわせた方が絶対に良いからです。車で15分の距離ですから、お母さんだって毎日会いに行くことは出来ます。

それでも、お母さんは「ダメ」の一点張りでした。

前から学校に行きたいと何度も言っていた彼女がようやく学べることが出来るのに、また明日から物乞いの生活に逆戻りです。

ーお母さんに会いたい。

ーでもお母さんに会ってしまったら物乞いの生活に戻らなくてはいけない。

すごい選択だと思いませんか?

私達には想像もつかないほどの葛藤だったと思います。
もちろん、一緒に暮らしたいお母さんの気持ちは分かります。でも、子どものためを思ったら、勉強させてあげると思うんです。
ここまでダメだというのは、子どもが働かなくなってしまうと親が生活できなくなってしまうからなのではないかと、どうしても思ってしまいます。

資金の使い道

今回みなさまに頂いたご支援の大部分は、シェルター1年分の家賃として使わせていただきます。

  • 家賃一年分 140万円

  • クラウドファンディング手数料 35万円(早期振り込み手数料14%)

  • 家具一式 30万円

  • 2ヶ月分のシェルター運営資金 80万円(毎日の食料・生活用品・光熱費など)

  • 1月に1年分の家賃の支払いがあるため、支払いができない場合は借りた家を手放さなくてはなりません。どうか、ご協力よろしくお願いいたします。

実施スケジュール

2021年 11月中旬 HP開設
2022年 1月20日 シェルターオープン
     2月6日 オープニングパーティー
     3月下旬 リターン発送

<募集方式について>
本プロジェクトはAll-or-Nothing方式で実施します。目標金額に満たない場合、計画の実行及びリターンのお届けはございません。

最後に

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

私はこの数年ニジェール難民の子ども達と誰よりも一番近い所で彼らを見て、苦楽を共にしてきました。どんなに厳しい環境の中でも、強く逞しく、美しい心を持ち続けている子ども達に、私がいつも助けてもらっています。

毎日頑張って物乞いの仕事をしている子ども達が、どうやったら今よりも少しでも楽に暮らせるんだろうとみんなで一緒に模索してきました。

そして今、このプロジェクトが彼らの人生の大きな転機となり、彼らがもっと広くて明るい世界へと羽ばたいていくことを確信しています。

物乞いという選択肢しかない世界から、子どもたち一人一人が自分の意思で未来を決められるよう、今後も一生懸命サポートしていきます。

皆様どうか、ご協力よろしくお願い致します!

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