はじめに

声の録音をする佐藤仁美さん

仁美さんの子供たち。21歳の長女と高校三年生の長男

十勝毎日新聞11月8日

こんにちは、佐藤仁美と申します。1980年生まれ、今年で41歳になります。
2019年8月、突然、左足の違和感が始まりました。どんなに靴紐をきつく縛り直しても、脚の感覚がありません。
どうにもならず、人に勧められた5千円もする靴底のスポンジを使ってみたりもしましたが、足の違和感は消えず。その後も、どんどん酷くなり11月頃には、重いものも持てなくなり、仕事で高い場所に上がるのが怖くなってきました。2020年3月、とうとう足の麻痺に我慢することができなくなり、近所の整形外科に行きました。「紹介状書くから、今すぐ総合病院へ行きなさい」。医師にそう言われました。私はわけがわからず。
「明日は仕事あるので行けません。1週間後ではだめですか?」。私がそう言うと、医師は「そんなこと言ってる場合じゃないよ!お姉さん!歩けなくなるよ!いいの?車いすになっても!」と厳しい口調で私に言いました。

紹介された総合病院に半年通っても足の麻痺の原因は不明。

さらに半年、その病院に通いましたが、症状は悪化、左足に激痛が襲い、大きな脳神経内科のある別の病院を紹介されました。そちらで精密検査をしてくださいと。

 その間にも症状は悪化していき、仕事は続けられなくなりました。車の運転もできなくなりました。

入院してさまざまな精密検査を受けることになりました。 
一通りの検査が終わり、病院に娘と息子を呼ぶように言われました。そして、子供たちの前で医師からALSの告知を受けました。

2021年4月1日のことです。

頭の中が真っ白になりました。
最後は呼吸もできず、心臓が止まり死んでいく、と説明されたことを断片的に覚えています。
それから2日ほど、誰とも連絡も取らず、真夜中に涙が溢れ出しました。巡回の看護師さんに心配されました。

告知を受けてから半年が経ちました。今は歩くことができなくなり、車いすの生活です。8月からは、朝から夕方まで、介護ヘルパーさんが来てくれるようになりました。

車いすの業者さんと打ち合わせ

この半年間でたくさん出会いがありました。今の私は、たくさんの人に支えてもらっています。私の気持ちは、病気と向き合えるように変わってきました。私は、もうくよくよしない!負けない!私は絶対にALSなんかに負けない!

ALSの症状が進行して、私の構音障害(筋肉の麻痺によりうまく話せない状態)は強くなってきています。今のうちに、手遅れにならないうちに、私の声を残しておきたい。
皆さんの力をお借りして、私の声を残したい。どうかご支援をお願いします。

子供たちと


プロジェクトメンバー紹介

東洋(日本ALS協会北海道支部帯広支会) 
こんにちは、東洋(あずまひろし)と申します。
私の妻も2009年にALSと診断されました。

きっかけは構音障害から。

その頃はALSになったら声は失われていくものという認識でしたが、今は資金的なハードルはあるものの、自分の声を残しておいてPCでの発話に自分の声を使えるという時代になりました。それも機械の棒読みのような抑揚のないものではなくて、自然なイントネーションも付くものです。

ALSは進行すると全身の筋肉が動かなくなります。この、手も足も表情も動かなくなっていく病気であっても、現在のテクノロジーにより言葉はその人を保ち続けていられる。そんな方法があるなら是非使えるようになって欲しいと願います。

話せないことは想いを伝えられないこと。これがどんなに辛いか今まで患者さんを見てきた中で感じてきたことですが、この技術を使って今まで諦めざるを得なかった普通のコミュニケーションに近いものが得られる時代となったのであれば、それを使ったコミュニケーションから新しいALS観が見えてきます。

目が悪ければ眼鏡をかけるように、息ができなければ人工呼吸器を用いるようになった日本のALS患者さん達が次の世代に目指すものは、声が出なくなったら自分の声を代わりに発する機械を用いるようになることなのでしょう。そんな希望を試してみたいという仁美さんを応援します。


熊谷 博輝(アクリエイティブ 代表・日本ALS協会北海道支部帯広支会)

皆様、こんにちは。アクリエイティブ 代表 熊谷博輝と申します。

私は、個人事業にて事業の一つとして主にALS患者さんとか関わることが多い、重度障害者に向けた【視線入力型の意思伝達装置】の導入・サポートの福祉事業を行なっております。

私は普段の仕事で関わらせていく方々が、この視線入力型の意思伝達装置により意思を伝え、コミュニケーションが始まり、笑顔が生まれるところをたくさん見てきました。

が、その中で一つ残念なのが、この意思伝達装置の発話時の音声が【自分の声ではない】というところです。しかし近年、テクノロジーの進化により自分の声を残しておくことで、意思伝達装置の音声が自分の声で発話できるようになってきました。

自分の声を残し、自分の声で伝えられることで、障害があってもより想いがこもったコミュニケーションになると信じています。

佐藤 仁美さんとはお会いして間もないですが、このおそらく北海道・道東初となるプロジェクトに挑戦すると聴いた時には、お人柄もあり、私ができることはお手伝いしたいと思いました。

そして佐藤 仁美さんこの挑戦・取り組みは、声を失うかもしれない方々への希望となります。

すでに構音障害が進んでいる佐藤さんには、今まさに、このタイミングしかないという状況です。

皆様のお力添えで、佐藤 仁美さんの声を残し、笑顔の輪が広がるところを見て頂きたいです。


水口迅(NPO法人みんなのポラリス代表) 


こんにちは、NPO法人みんなのポラリスの水口迅(みなくちじん)と申します。    
当法人では3年前から日本ALS協会北海道支部帯広支会の東さん、熊谷さんと連携して茶話会などのイベントを実施してきました。       
佐藤仁美さんとは、Facebookを通じて9月に知り合ったばかり。仁美さんの娘さんがうちの子供と同じ歳ということもあって、個人的にさまざまなサポートをしています。
私が初めて仁美さんとお会いした時、既に構音障害が進行していました。そんな時に東さんから、仁美さんの肉声を残して、今後が進行して人工呼吸器を装着して話せなくなった時に人工音声に彼女の肉声を使える技術があると聞きました。

声を失う疾病は、ALSだけではありません。佐藤仁美さん個人への支援だけではなく、このプロジェクトを通じて、そうした病気と戦う人たちに「声を失う前にできることがある」という可能性を伝えることができたらと思っています。

仁美さんの構音障害が今より進んでしまうと、明瞭な肉声を残すのは困難になります。それは明日かもしれない。ALSがどのように進行するのかは、誰にもわかりません。もしかしたら、彼女には時間がほとんど残されていないかもしれません。
どうか皆さんの力を貸してください。よろしくお願いいたします。


このプロジェクトで実現したいこと・スケジュール

本プロジェクトは佐藤仁美さん個人への支援だけではなく、彼女と同じように進行性疾患などで声を失う可能性のある患者とその家族の皆さんに「このような技術で自分の声を残せる」ということを広く啓蒙していくのが大きな目的です。本プロジェクトを実施していくことで、当事者の皆さんにこうした技術があることを知っていただけたらと願っています。

具体的には、以下のスケジュールでプロジェクトを進めていく予定です。

2021年11月30日(クラウドファンディング開始時期によって変更あり)

(クラウドファンディング開始)

2022年1月9日

クラウドファンディング終了

自分の声再現ソフト「ボイスター」の申し込み

2022年1月20日

「ボイスター」むけ声の録音

2022年2月1日〜2月10日

返礼品の作成開始

    肉声にて個々のCF賛同者へ向けた御礼の言葉など

    同じく動画による御礼

    返礼品の編集やサイトの構築

    サイトにて返礼品の周知・発送

2022年3月10日

「ボイスター」納品

「ボイスター」をPCへセットアップ、動作確認

2022年3月30日

報告会の開催

病気の進行に伴い失われてゆく中、代替のコミュニケーション手段が確保されたことを報告します。

ポラリスから仁美さんへの「ボイスター」贈呈式を行い、関わってくれた方やCFに賛同してくれた方々を前に「ボイスター」音声を披露します。

このとき仁美さんが発話可能であれば肉声で報告をしたいと考えています。

追記

本プロジェクトチームを立ち上げたのは9月ですが、申請と審査に手間取り12月になってしまいました。この間にも仁美さんの症状は進行して、嚥下障害(飲み込みづらくなる)が強くなってきたため、12月1日に胃ろう(腹部に小さな穴を開け、チューブで直接胃に栄養を注入すること)造設手術のために入院。また車いすを自力で漕ぐことが困難となってきていて、年明けには電動車いすに乗り換える予定です。

ALSの進行は予測がつかず、仁美さんは明日にも呼吸器を装着することになるかもしれません。彼女には時間がありません。皆さまの強いご支援を心からお願い申し上げます。

資金の使い道

機器(ボイスター)購入費:約105万円
機器保守費(1年間):約5万円
リターン経費:約3万円
手数料:約15万円 (9%+税)

<募集方式について>
本プロジェクトはAll-in方式で実施します。

もし、目標金額に満たなかった場合は、ボイスターと同種のフリーソフトである「マイボイス」によるPCからの発話環境構築を行います。集まった額は対応スペックを満たすPCとスタンドの購入、音声編集を行なってくれる方への謝礼等へ使わせていただきます。

リターン

5000円
支援していただいた皆さん1人ずつに向けて、佐藤仁美さんの「お礼メッセージ」をメール添付にて音声データ(30秒程度)でお送りします。


10000円
支援していただいた皆さん1人ずつに向けて、佐藤仁美さんの「お礼メッセージ」動画(30秒程度)をメール添付にてお送りします。


※ALSは進行性疾患のため、上記リターンは確約できるものではありません。その場合は、仁美さんの病状を考慮しながら、また、支援してくださった皆さんとご相談しながら、代替リターン品を考えていくことをご了承ください。
また、リターン品としてお送りした音声、動画データの無断転載は申し訳ありませんが、ご遠慮お願いします。

チーム/団体/自己紹介・活動実績など

本プロジェクトをサポートするNPO法人みんなのポラリスは、2016年に若年生脳梗塞の患者会として設立、2017年に法人となりました。現在、会員数は当事者、医療者、福祉専門職、研究職など60名。
主に、難病患者、障害者、がん患者などのピアサポート(当事者同士の相互支援)に取り組んでいます。当事者が積極的に社会参加して、発信できるように、オンラインカフェ、パラスポーツ、アートなどさまざまな活動を帯広を拠点として展開しています。2018年には、北海道唯一のボッチャのクラブチーム「ポラリスとかち」を創立、パラスポーツの分野でも積極的に活動しています。

本プロジェクトチームのメンバーは、NPO法人みんなのポラリスと、当法人と連携してきた日本ALS協会北海道支部十勝支会の仲間から構成されています。


■特定商取引法に関する記載

●販売事業者名:NPO法人みんなのポラリス

●代表者または通信販売に関する業務の責任者の氏名:水口迅

●事業者の住所/所在地:〒089-1242 帯広市大正町基線98-101


●事業者の電話番号:Tel: 080-3293-9945

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