ご挨拶

はじめまして。
おだしプロジェクトの土岐山と申します。
お読みくださいまして、ありがとうございます。


この度ドキュメンタリー映画『弁当の日』を製作することとなりました。
監督は映画『はなちゃんのみそ汁』の原作者である安武信吾さん。

監督 阿久根知昭


『弁当の日』とは、子どもが自分でお弁当を作って学校に持ってくるという取り組みです。 
2001年に香川県の小学校で竹下和男校長(当時)が始めた 『弁当の日』は、18年の時を経て全国に広がっています。
おだしプロジェクトでも竹下先生の理念に賛同し『弁当の日』を広げる活動を今日までしてまいりました。

『弁当の日』には決まりがあります。
それは「親は決して手伝わないで」というルール。
何を作るかを決めることも、買い出しも、調理も、弁当箱に詰めるのも、片付けも、すべて子どもがするのです。
親も先生もその出来具合を批評も評価もしません。
自分で作ったお弁当は「自分だけの正解」なのです。


弁当の日を通して日本を変えたい

近年、痛ましい事件が相次いでいます。
表立った事件だけではなく、SNSを見れば他者同士で評価を巡るような争いが絶えません。
学校で知識を身につける目的は、世の中の人がみんな仲良く、幸せになるためのはず。
でも、もしその学力が他者と自分を比べるためだとしたら。
人を上下に分けるためだとしたら。
それは果たして、すべての人が望むことでしょうか。

竹下先生はこうおっしゃいます。
「弁当の日を通して日本を変えたい」
と。

それは竹下先生の思う通りの社会にしたいということではありません。
「この日本で命を授かって生きている一人一人が、誰とも比べない自分だけの幸せを感じて生きてほしい」
という願いなのです。

この竹下先生のお考えは、おだしプロジェクトの目指すところそのものです。
今回監督の安武さんから『弁当の日』の映画を作るお話を聞いて、ぜひご協力をさせていただきたいと申し出ました。

映画撮影は今年4月から来年3月まで。それ以降は編集作業となります。来年秋公開予定なので、製作期間は約1年半です。
映画の内容は、弁当の日の実践校の密着取材を軸に、竹下先生のインタビュー、福田先生のみそ汁の日、比良松先生の九大自炊塾の取り組みなどを撮影し、構成します。


安武監督の想い

クラウドファンディングをするにあたり、監督の安武さんからもメッセージを頂戴しましたので、そちらをご紹介させていただきます。

「竹下先生に恩返しがしたい」。僕が経験したこともない映画監督を無謀にも引き受けてしまったのは、極めて個人的な理由からでした。

あれは3年前。娘のはなが中学1年生の頃でした。娘は学校で一部の生徒たちから「“みそ汁”が歩きよる」と指を差されていました。机の中には「うざい、死ね」のメモ。いじめを受けていたのです。部活では無視をされ、いつもひとりぼっちでした。学校も休みがちになり、自分の部屋に閉じこもる毎日が続きました。

 そんなとき、たまたま、講演で福岡市を訪れた竹下先生と食事をご一緒する機会がありました。僕は、部活をやめたがっている娘の近況を竹下先生に報告し、「親子で乗り越えるつもりです。やめさせるべきではないですよね」と同意を求めたところ、「無理に部活を続けさせる必要はありませんよ。やめさせてください」。竹下先生の回答は、まったくの想定外でしたが、助言に従って、部活を退部。しばらくして、娘は以前の明るさを取り戻すことができたのです。

 当時、竹下先生からいただいた手紙にも、娘は勇気付けられました。

以下、手紙の一部を紹介します。

 私は66歳。はなちゃんは12歳。同じレベルで納得するはずがないんだけれど、「折角、親からもらって今日まで生きてくることができた命は、自分を理解してくれる人たちに喜んでもらえることに使いたい」と私は考えています。「自分の生き方を快く思ってない人に、自分の日々の気分を、かき回されない強さを持ちたい」と自分に言い聞かせています。支えは「自分の生き方を理解してくれる仲間がいる」ということです。おじさんは、「はなちゃんの仲間」です。

  手紙を読んだ娘は目を潤ませながら、こう言いました。

 「竹下先生ぐらいの人でも、くじけそうになることがあるっちゃね。こんなこと言ってくれる校長先生、なかなかおらんよ」。うんうん、と2人でうなずき合いました。

 そして昨年。プロデューサーの江森浩子さんから「『弁当の日』を映画化したい。力を貸してくれませんか」と相談を受け、いても立ってもいられなくなったわけです。

「弁当の日」を経験した子どもたちは、身近な人に感謝されることで自分の生を肯定できるようになります。他者を思いやる心が育ちます。映画を通して「弁当の日」への理解がより深まれば、いじめのない平和な世の中に少しでも近づくのではないか。そんな日が訪れることを願いつつ、今春、撮影に臨みます。

2019年1月28日
安武信吾


『弁当の日』書籍化も同時進行

争いは悲劇を生みます。
そして争いの種は、自分自身が「幸せだ」ということを感じられない心から生まれます。

『弁当の日』の映画は、同時進行で書籍も作っていきます。
書き手は城戸久枝さん。

代表作の『あの戦争から遠く離れて』は、ノンフィクション賞の三冠に輝いております。

城戸さんは「あとがき」の中でこう書かれております。
「私につながったこの確かな歴史を、ささやかながら、さらに未来へとつなげていきたい」そうした思いを根底に持つ城戸さんだからこそ、監督の安武信吾さんは『弁当の日』の本の執筆を城戸さんに託しました。

『弁当の日』の目的も
「過去と未来を感謝の思いでつないでいくこと」
だからです。

それぞれが一生懸命つくる世界で一つだけの弁当。
そこには正解などありません。
みんな違ってみんないい。
お互いの良さを認め合う笑顔がそこに生まれます。

書籍の完成予定は映画の完成予定の来年秋に合わせています。ドキュメンタリー映画ならではの生きた感動をそのまま城戸さんが文章にし、その出来立ての本を皆様にお届けいたします。


『弁当の日』で得られるもの。それは明るく輝く未来。

自分の力で作った世界で一つだけの弁当を見せ合いながらキラキラした笑顔をふりまく上級生たちを見て、まだ、弁当作りを経験してない一年生は「私も上級生になったらあんなに幸せに輝くことができる」という未来を思い描くことができたり、弁当を作ることで「今自分がこうして料理ができているなら、将来一人暮らしをしても大丈夫なんだ」という自信がついたり。
『弁当の日』を経験して「誰とも比べない自分」「人との違いを分かり合える自分」の心地よさを知って大人になることは、大らかで優しい人になれる人生の切符を手に入れること。

『弁当の日』は単なる食イベントではありません。
弁当の日を経験することで、自己肯定感、人への思いやり、段取り力などを身につけるための取り組みなのです。
それらは本来の教育の目的でもあります。

そして、今回、映画製作スタッフは思いました。
「この映画は、できるだけ多くの人と作りたい」と。

竹下先生が始めた『弁当の日』で人生が変わった子どもたち
竹下先生の『弁当の日』の講演を聞いて心が動いた大人たち
そして、こうしてこの記事をお読みくださっている方々と
これからの日本の明るい未来のために『弁当の日』の映画を一緒に作っていきたい。
今回のクラウドファンディングはこのような思いで立ち上げました。

この映画は人から人へ、ずっと先の未来まで継がれる映画になると思います。
この18年の間の『弁当の日』の広がりがそうだったように。
「たくさんの人が、あなたたちの未来を応援しているんだよ」
このクラウドファンディングに参加していただくことで、そんな思いを一緒に映画に込めてほしい。
ですので、今回のクラウドファンディングは金額を達成することが目的ではありません。
たくさんの人に、ご参加いただくことが目標なのです。


御礼のお品について

今回のクラウドファンディングで集まった資金は、映画の製作費ならびに子どもたちに向けての無料イベントや、すでに依頼のある海外版の製作などの費用に充て、より『弁当の日』の映画をたくさんの方々に向けて発信していくために使わせていただきたいと思っています。
クラウドファンディングに参加してくださった方々のお名前はもちろんエンドロールに載せさせていただきます。
そのエンドロールの名前が多ければ多いほど、この映画はたくさんの人に継がれていくと思うからです。

今回のクラウドファンディングの参加費は5000円。
こちらの形式のみでございます。

そしてご参加くださった方への御礼のお品は
映画と共に完成予定の城戸久枝さん書き下ろしの書籍『弁当の日』(仮称)

城戸さんが一冊一冊に思いを込めて、参加者様のお名前入りのサインをいたします。

みなさんの思いを集めて、最高の映画を作りたい。
「広がれ『弁当の日』」を合言葉に、たくさんの幸せな笑顔で学校を、地域を、いっぱいにしたい。
みんなで一緒に、この『弁当の日』の映画を作りませんか?

たくさんの方々のご参加を
『弁当の日』製作委員会スタッフ一同
心よりお待ちいたしております。


映画『弁当の日』製作委員会スタッフ

監督:安武信吾(『はなちゃんのみそ汁』著者)
監督補:阿久根知昭(映画『はなちゃんのみそ汁』監督)
プロデューサー:江森浩子(代表作『1リットルの涙』『佐賀のがばいばあちゃん』等)
ナビゲーター:城戸久枝(『黒島の女たち』『祖国の選択』著者)
構成補:渡邊美穂
制作事務局:佐々原葉子
広報:土岐山協子


 応援メッセージをいただきました

俳優
滝藤 賢一さん

映画「はなちゃんのみそ汁」で広末涼子さんが演じた安武千恵さんの夫信吾さんの役をやらせていただきました。映画のテーマは「食べることは生きること」。幼い娘が台所に立ったり、家族で食卓を囲む場面が多く、親として、その意味を娘にしっかり伝えることを心がけて演じたつもりです。

妻と三男一女のわが家も、僕が仕事じゃない日はいつも一緒に食卓を囲みます。そこから会話が生まれて、楽しい話ばっかりじゃないけど、コミュニケーションを取る。何もしゃべんなくても、妻が家族のために作ったご飯をみんなで一緒に食べる。それって、とても大事なことなんじゃないかって思うんです。

先日、熊本市でのトークショーでご一緒した安武さんにドキュメンタリー映画「弁当の日」の企画書を手渡され、読ませていただきました。ふだん何気なく使う「いただきます」を「弁当の日」提唱者の竹下和男先生はこう解釈されています。「料理を作るために費やした時間は、その人の寿命の一部。食べてほしい人のために、自分のために、寿命を費やしている。だから、(あなたの命を)いただきます」。

この作品は、映画「はなちゃんのみそ汁」の原作者である安武さんが監督を務めるからこそ、しっかり伝わるんじゃないか。そう思いました。はなちゃんは、千恵さんの命をいただいたんですものね。そして、今度は、はなちゃんが未来の家族につなぐ。この映画を通して、料理を作った人の思いが食べる人にきちんと伝わるようになるといいですよね。

はなちゃんに影響を受けたわが家の長女も昨年から料理教室に通っています。子どもたちが台所に立って、食べた大人が子どもに感謝する。子どもたちは、大人の喜びに幸せを感じながら「生きる力」を蓄えていく。そんな家族のあり方が特別なことではなく、「普通の日常」になることを願っています。


GROOVE  X 株式会社
代表取締役
林 要さん

子供時代に「正しい答えを出す」訓練に傾倒すると、結果として「自分のやりたい事、好きな事がわからない大人」ができる傾向があるようです。
特に日本の子供は10歳くらいから、急激に自己効力感(=将来の困難を乗り越えられると信じる能力)がおちるそうです。
これを防ぐには「既に正しい答えがわかっている問題に対して、正しい答えを出す」のではなく「答えのない問題に、何らかの答えを出す」という経験が必要です。

「お弁当をつくり、自分で食べる」これはまさに「仮説を構築し、仮説を検証する」プロセスそのもので、自己効力感を高める事に大いに役立ちそうです。

この自己効力感に加えて、ディベートの経験を積む事ができれば、グローバルの時代に重宝される人になるための基本的な素地は出来たと言える気がします。
単語を一つ余分に覚えるより、弁当を自分で作れることの方がずっと大事だという事が、この映画を通して一人でも多くの人に伝われば、日本の子供達の未来は今より必ず明るくなるはずです!


株式会社鯖や
代表取締役/サバ博士
右田孝宜さん

一番最初に、竹下先生の講演を聞いたのが8年前。講演を聴きながら涙が止まらなかった事を覚えています。
私も3児の男の子を持ち、食を仕事としております。
私自身が「親子お寿司体験」の教室を持っていることもあり、食育の大切さを実感しています。
『弁当の日』を広げることで、多くのメッセージを子供達、その親御さんに伝えることができます。
竹下先生が仰る「弁当の日を通して日本を変えたい」。
この映画が世にでることで、多くの方に素晴らしいメッセージを伝えることができます。
是非プロジェクトを成功させてください。


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