2020/12/31 11:49

少年院を出院した子どもたちに寄り添い、更生自立を支え続けるプロジェクト
パトロンのみなさま

本年も、本プロジェクトを支えてくださり、誠にありがとうございました。ひとのつながり、ひととのかかわりが強く制限されました。少年院の「中」と「外」をつなぎ、少年の更生自立に貢献する活動も、2020年度当初から大きな壁にあたりました。

毎日、完封試合。試合数は不明。

少年院や刑務所の感染症対策は、私たちが理解しているなかで最も高い警戒レベルだったと認識しています。私たちのような外部の人間はもとより、ご家族などの面会も制限されました。

ある少年院の関係者と話をするなか、野球に例えるなら「毎日、完封試合をしなければならない。試合数が何試合なのかは不明だ」という言葉をいただきました。

完封試合とは、相手に一点も取られてはいけないこと。それも厳しいものですが、何より、終わりのない戦いは、法務教官の先生方のストレスを非常に高いところに引き上げたのは、想像に難くありません。

感染症対策のなかで、少年院の「中」での活動はほぼできなくなりました。私たちは保護司さんのように制度内で少年をかかわっていません。そのため、少年院を出院する少年とは特別な形で出院前に面談の機会をいただきます。

その際、私たちの連絡先を少年院を通じて少年たちに伝えることはできますが、彼ら・彼女らの連絡先をいただくことはできません。つまり、彼ら・彼女らが出院後に連絡をくれれば会うこともできますが、連絡がない場合、こちらからアクセスする手段がありません。

特別な形であっても、出院前に面談できることは、少なからず私たちに、そして少年にも安心感をもたらす機会でありました。それもなくなってしまったことで、どれくらいの少年と会えそうか、どのような少年が連絡をしてくれそうか、ということがわからなくなりました。

一緒に仕事を探す、それは私たちにもできる

まったく少年と会えなかった一年でなかったというのは、本プロジェクトが積み上げているひとつの役割だと再認識しました。

在院期間中には出会えなくても、法務教官の先生方からの情報提供がしっかり少年にあることで、連絡をもらうことができました。

※自己申告なのでご本人が少年院にいたかどうかは、こちらですべて把握をしていません。

職員と少年が面会をする。別の職員につなげていく。しかし、職員同士はオンラインと対面を並立しながら情報を共有する。

システム上のチャットでは、少年のどこらへんがうまくいっており、どこらへんにリスクがありそうか。限られた情報のなかで、事実と予測の共有がなされ、具体的にどのような仕事を探すのがいいか。ある可能性がダメだった場合にはどんなプランがあり得るか。

そのような形で少年一人ひとりに合った「はたらく」を、少年とともに考え、伴走していく就労支援がそこにありました。できないことが多いなかでも、少年と一緒に仕事を探すこと。それは私たちにもできる大きな支援でした。

ほとんどの少年は、ご家族の資力や余力に乏しいため、少年を支えていく活動に、パトロンのみなさまのご支援は大変助かっております。

塀の向こうに行けた日、行けなかった日。インターネットの可能性。

夏以降くらいから、外部の人間として少年院に入ることができる施設も出てきました。ここらへんは施設ごとの判断です。

たちができることは、訪問許可が出たときに訪問できる体制を維持すること。そして、訪問ができなくなったときのために、代替案を考え、提示することです。

学習支援やキャリア研修などを続けるなかで、もし訪問が再度難しくなったとき、どういう継続の方法があるか。

参考:少年院内でのキャリアカウンセリング講座のご報告および法務省による非行少年の再犯防止にソーシャル・インパクト・ボンド(SIB)導入検討 について 

ある少年院では、少年が学習したプリントを郵送していただき、〇付けやコメントを添えて返送する方法を試しました。

新潟少年学院とは、インターネットをつないで、法務教官の先生方にプログラミング教育の一部を受講していただく研修を開催しました。本来は少年向けのものですが、法務教官の先生方に体験していただくことと、もしインターネットを通じて少年に研修ができるとした場合のテストケースとしてのチャレンジでした。

参考:オンラインを通じて法務教官のみなさまに、プログラミング学習についての研修をさせていただきました!

育て上げネットに限らず、就労支援や学習支援を行うNPOや企業では、オンラインを活用してどのようなことができるか(できないか)を模索し、チャレンジした一年だったかと思います。

一方で、インターネットの活用に制約のある少年院という場でも、少しずつ現状下でも少年の未来のための活動に対して、インターネットをどう活用していくかという議論がなされています。

この先、どのようになるのかはわかりませんが、仮にインターネットも活用することができるようになった際には、少年の更生自立に貢献できるよう対面とオンラインのどちらの機会も提供できるように準備をしてまいります。

最後に

本年も私たちの活動を支えてくださり、心より御礼申し上げます。スタディツアーやリアルイベントが難しくなりました。パトロンのみなさまに対して、少年院分野とのリアルな接点をなかなか作れないこと、本当に申し訳なく思っています。

一方、2021年以降はリアルな接点を模索しながら、オンラインでの活動の量を増やせるようにしていきます。

[予定]

2021年1月30日(土)20:00-21:30前後

上記時間帯、オンラインにて現役法務教官の方と識者・実践者を交えて少年院と教育について話す機会を開催する予定です。今回は外部への配信は行わず、パトロンのみなさまおよび関係者のみにて実施させていただく予定です。

正式に決まり次第、パトロンのみなさまにこの場を通じてご連絡させていただきます。

本年も、本プロジェクトを応援くださり、誠にありがとうございました。一般的にはかかわりづらい分野かもしれません。一方、このプロジェクトを通じて多くの応援団、仲間が生まれていることも実感しております。

引き続き、少年たちの更生自立に貢献できるように努力していきます。来年も何卒よろしくお願い申し上げます。


文責:工藤啓

育て上げネット
プロジェクト事務局

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